今回はモンゴルへの旅。
世界最古の鷹匠の民カザフ族に会いに行きます。
旅に出たのは女優の佐津川愛美さんです。
こんなに何にもないの?氷点下の冬の大平原。
伝説の鷹匠が住むのはモンゴルの西の果てです。
こんにちは!言われたとおり更に西へと進むと山際にぽつりと建つ白い家が見えてきました。
何もない…。
広い。
あっ!いた!えっ?家の外には巨大な鳥が。
普通にいる!小屋とかに入ってないの?置物のように普通にいる。
カザフ族の鷹匠たちのパートナーはイヌワシ。
獰猛な性格で猛禽類最強の鳥といわれています。
目隠しされてる。
お邪魔したいと思います。
トントン。
お邪魔します。
訪ねると鷹匠の家族がそろって迎えてくれました。
アグライさんは4,000年続いてきた鷹匠の末裔です。
よろしくお願いします。
長女のアイさん。
カザフ族で初めての女性鷹匠です。
イヌワシはヒナから育て5年間だけ狩りに使い野生に返します。
全てメス。
体が大きく狩りのセンスがいいんだそうです。
ふだんは人を襲わないよう目隠しをしています。
(鳴き声)イヌワシの体重は6キロ。
翼を広げると2メートルを超えます。
鋭い爪でキツネやウサギを捕らえる最強の鳥です。
イヌワシを扱う鷹匠は地域の長として尊敬を集め伝統を受け継いできました。
その始まりは4,000年前。
イヌワシの勇猛な姿にほれ込んだ男が狩りに使った事です。
男は一代で財を築き以来カザフ族はイヌワシを神聖なものとしてあがめてきました。
中でもアグライさんはモンゴル最高の名手です。
アイちゃんは偉大な父に憧れて鷹匠となる事を決意しました。
格好いい。
イヌワシを使った狩りの目的はキツネやウサギなどの毛皮を取る事です。
冬には氷点下40度を下回る事もあるという酷寒の地。
動物の毛皮は何物にも代え難い防寒具だといいます。
狩りを成功させるにはイヌワシの体調管理が欠かせません。
餌は獲物となるキツネやウサギの肉を乾燥させお湯で戻したもの。
食欲をそそる血や脂肪分は落としてあります。
狩りに向け餌の量を減らしイヌワシの狩猟本能を呼び覚ましていきます。
餌は1日何回あげるんですか?狩りで得た肉はイヌワシ毛皮は人間。
分け前は平等です。
鷹狩りの本番は動物の毛が伸びる冬。
この日馬で1時間ほどの距離にある狩り場へと向かいました。
やって来たのは標高2,000メートルの岩山。
気温は氷点下10度を下回っています。
そんなに…大丈夫?眼下に広がる無機質な褐色の世界。
この岩陰のどこかにキツネやウサギが身を潜めています。
鷹匠と麓で獲物を追い立てる勢子との呼吸が狩りの成否を分けます。
山の両脇から追い立て鷹匠が身構える真下に獲物をおびき出すのです。
キツネやウサギが姿を現すのは岩から岩へ飛び移る一瞬だけ。
それを逃さずにイヌワシを放てるかが勝負です。
その時でした。
アイちゃんは反応できず代わりにお父さんが飛ばしました。
どこ行っちゃったの?放つのが遅れた僅か3秒の間にウサギは岩の下に逃げ込んでしまいました。
はあびっくりした。
やっぱ速いですね。
真剣勝負。
いつ来るか分かんないから。
アイちゃん実はまだ一度も自分の手で狩りを成功させた事がありません。
僅か数秒の遅れ。
しかしそれが一人前になれるかどうかの境目なのです。
帰宅したアイちゃん寒さで指が凍傷になりかけていました。
氷を当て急激に温め過ぎないようにするのがカザフ族に伝わるやり方です。
頑張って。
我慢だ…。
カザフ族の一日は家畜の世話から始まります。
牛の涙も凍ってるよ。
この日の気温も氷点下20度以下でした。
遊牧民であるカザフ族は一人一人自分の馬を持っています。
もちろんその世話は自分の仕事です。
アイちゃんの相棒は16歳。
物心付いた時から一緒に育ってきました。
イヌワシと馬とアイちゃんと3人はどんな関係かな?でも中学1年生のアイちゃん大好きな馬とイヌワシと過ごせるのは週末しかありません。
アイちゃんは1山越えた村の中心部にある学校に通っています。
(歓声)月曜から金曜までは学校の寮での生活。
放課後は友達と宿題をするのが日課です。
教科書は一冊をみんなで共有しています。
努力家のアイちゃん成績も優秀です。
実はモンゴルでは遊牧生活を続ける人が急激に減っています。
その割合はこの20年の間に半分に減りました。
鷹匠の数もこの10年で1/3に激減しました。
今ではモンゴル全土で僅か100人しかいません。
久しぶりの新人鷹匠アイちゃんに期待がかかります。
週末を迎える度アイちゃんは中学生から鷹匠へと戻っていきます。
家に帰ると真っ先に向かうのはイヌワシのもと。
狩りを始めて1年。
イヌワシと気持ちを合わせてきました。
翌日。
師匠であるお父さんと鷹狩りへ。
風はなく空気も澄み切っています。
狩りをするには絶好の日です。
勢子が追い込みを始めたその時でした。
アイちゃんが放ったイヌワシが…。
捕らえた!初めての狩りの成功です。
分かりましたか?岩の間から飛び出したキツネを目がけアイちゃんが目隠しを外しイヌワシを飛ばします。
獲物まで一直線。
見事捕らえる事ができました。
しとめたのは体長1メートルほどのキツネです。
(笑い声)すごい!見てたよ!格好よかった!すごい緊張感だった。
何か急に空気変わった…。
初めて自分の手で狩りを成功させたアイちゃん。
ついに一人前の鷹匠となりました。
家に戻ると飴をまきイヌワシに感謝を伝える儀式を行います。
4,000年の歴史を誇る鷹匠に立派な後継ぎが出来ました。
週末アイちゃんはお父さんと共に再び狩りに出ます。
初めての女性鷹匠アイちゃんに夢を聞きました。
世界最古の鷹匠の民カザフ族。
動物と共に厳しい環境の中を生き抜く誇り高き人々でした。
2015/09/20(日) 03:25〜03:45
NHK総合1・神戸
地球イチバン ミニ「世界最古のイーグルハンター モンゴル」[字]
地球イチバンの特選ミニ番組。舞台はモンゴルの西の果て。翼を広げると2m以上!最強の猛きん類「イヌワシ」を自在に操る地球最古のイーグルハンターとは?。
詳細情報
番組内容
翼を広げると2m以上!最強の猛きん類「イヌワシ」を自在に操るイーグルハンターの世界。モンゴルの大平原、マイナス40度の極寒の地。広漠としたアルタイ山脈で遊牧生活を送ってきた鷹(たか)匠の民に、4千年の歴史で初めて女性が名乗りをあげた。13歳の女の子のデビュー戦に密着。果たして彼女は狩りを成功させ、一人前になれるのか!?ハイスピードカメラや鳥の視点など、多角的な映像美で迫る「人と鷹と命の物語」。
出演者
【リポーター】佐津川愛美
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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