心の声
（丸尾栄一郎）ついにファイナルセット…。
（飲む音）心の声今の俺が難波江君に勝つビジョン…。
思いつくのは２つ…。
１つはストロークの球威を上げる。
もう１つはチェンジオブペースのパターンを増やす事。
もしこの２つがうまくいけば…。
心の声勝てるビジョンは見える！はず。
（審判）タイム。
心の声でも…この試合中にストローク全体を底上げすればミスが増えるのは避けられない。
しかもそんな状態で新しいチェンジオブペースを展開しなきゃなんないって事…。
（深沢）アニキ頑張って下さい。
心の声よし！このまま何もしないで負けるくらいならやってやる！勝つビジョンをこの試合で実現する！
（オープニングテーマ）
（セミの鳴き声）
（難波江）はっ！ふん！くっ！
（審判）アウト１５−０。
心の声
（難波江）積極性が戻った。
切り替えが早い。
はっ！くっ！心の声なんとか返った！うっ。
心の声ここで球威を上げて！はっ！
（審判）アウト３０−０。
心の声くそ。
でもいいボールは行ってる。
はっ！
（審判）アウトゲーム難波江１−０。
心の声
（難波江）これを無謀と決めつけない方がいい。
こういう展開から予想外の事が起きる…。
だとすれば絶対の正解は早めにたたく事！はっ！ふん！んっ！ああっ！
（観客たち）おお〜！
（審判）ゲーム難波江２−０。
（観客）難波江がいきなりブレイク！
（宮本）これはなかなか厳しいね。
どう思う？青井君。
（ラリーの音）うっ。
あっ！
（審判）ゲーム難波江３−０。
心の声新しいチェンジオブペースがうまくいかないと攻め込まれる。
球威を上げすぎるとミスが出る。
でも今はこれしかないんだから躊躇しない。
ガンガン行く！はっ！うっ。
心の声いつものパターン以外で勝負…。
浅めにスピン！はっ！心の声あっ！はっ！くっ。
（審判）０−１５。
心の声これじゃただのチャンスボールか！…その場で考えるとどうしても視野が狭まる。
心の声
（難波江）何かやろうとしている？心の声何かないか…。
そうだ！うっ。
ふっ！心の声ここで岩佐君のやったロブボレー！
（審判）アウト０−３０。
あ！心の声ダメか…。
でも他人の戦術はヒントになる。
心の声
（難波江）丸尾君は追い詰められると新しい何かを試そうとする。
僕が相手によってプレースタイルを変えるのとは違う。
何か新たに創造して変化してくる。
一見無謀だけどこれが池君と同レベルの成長速度の正体なのか？はっ！よし！
（審判）ゲーム丸尾３−１難波江リード。
心の声
（青井）あいつ開き直った事でゾーンに近づいてんじゃね〜のか？
（審判）ゲーム丸尾４−２難波江リード。
お互いキープの展開になったね〜。
アニキのってきましたよ〜。
（審判）０−１５。
心の声またゾーンに近づいてきた気がする…。
あ…いやいや！さっきはこれを考えてダメになったんだ。
もうゾーンは考えない。
はっ！つっ！ん。
心の声次は…。
うっ。
ハア…！心の声
（難波江）またボレー勝負か。
止まった！？心の声んっ！はっ！あっ。
ハア…ハア…ハア…ハア…。
（審判）０−３０。
よしっ！心の声前にタクマさんにやられた戦術がヒントになった。
とにかく今あるデータをヒントに思いつくかぎりのチェンジオブペースを強いストロークで。
ゾーンに近い気もするけどそこは今考えない！心の声
（青井）ファーストセット以来のブレイクチャンスだ。
心の声
（難波江）パターンが読みにくいだけじゃない。
時々来る球威を増したボールがラリーの緩急の幅を広げてる…。
感情を抑えるでもなく逆に解き放つでもなくコントロールしようとするテニス。
不安定だがハマッた時に怖さがある。
ワンブレイクリードのここが勝負！はっ！くっ！心の声あ！はっ！うっ！
（審判）１５−３０。
（観客）丸尾ツイてねえ〜。
心の声今のはサーブが良かったししかたがない。
はっ！
（審判）３０−３０。
（観客）サービスエース！
（観客）さすが難波江簡単に追いついたぞ！心の声これもどうしようもない…。
はっ！つっ！心の声返った。
でも甘いから攻めてくる。
はっ！心の声今の甘いボールを生かして一転強引に全力スイングでストレート！心の声
（難波江）ここまで決め球にはストレートを多用している。
心の声ハッ！いや…。
はっ！うっ！
（審判）３０−４０。
よし！
（観客）うめえ！心の声難波江君がこれまでのデータで読んでくるなら新しいチェンジオブペースのパターンをつくる。
そして難波江君に迷いが出てきたら球威をアップしたストロークを入れる。
相手をよく見て直前で変更できるようにする。
これだ！これが勝てるビジョン。
ってそれめちゃくちゃ難しいだろ！
（セミの鳴き声）ふ〜…。
はっ！はっ！フッ！心の声深いけど鋭角に強いスピン！はっ！心の声早めに前！あ…！読まれてる！うっ。
ぐっ！うっ。
心の声形勢不利でもスピンの次は強いフラットで。
んあっ！うっ。
ハアハア！うおおおおおお！うっ！ハッ！
（審判）ゲーム丸尾４−３難波江リード。
ハア！っし！
（観客）今度は丸尾がブレイクバック。
（観客）しぶてえ！
（観客）マジで強え！
（深沢）難波江が意地でも守りたいゲームをブレイクしましたよ！心の声
（宮本）難波江君の牙城を崩すとすれば誰かという話はよくされてきたけど意外な選手がいきなり候補に入ってきたな〜。
…ハア！心の声１ゲームだけど勝つビジョンが実現できた。
…でもそれがどれだけ難しいか分かった。
戦略面では新しいパターンをつくる創造力とそれをポイントにする実行力。
精神面では冷静さと気合が同時にいる。
戦略的にも精神的にも共存しにくい要素をバランスよく保って初めて勝つビジョンは実現できるんだ。
心の声
（難波江）競ってるここはポイントを捨てずに感情を排除したい。
できるかぎり純粋な意志の力で自分と相手を冷静に見つめてここをどう戦うのがベストか正確に判断するんだ。
（水滴が落ちる音）
（審判）タイム。
（セミの鳴き声）はっ！
（審判）１５−０。
（観客たち）おお〜！うっ。
よしっ！
（審判）ゲーム丸尾４−４。
（観客たち）おおお〜！アニキ３−０からついに並びましたよお！
（観客）ノーシードの選手が…難波江をここまで追い詰めるなんて…。
はっ！つっ！はっ！心の声
（難波江）丸尾君は無理をしている。
（審判）１５−０。
心の声
（難波江）このテニスは確かにこの先脅威になる。
でも今日勝つならこっちはリスクを下げればいい…。
フラットとスピン両方に的を絞って攻めるのはリスクが高い。
より安全なスピンだけに絞るべきか。
（審判）１５ー１５。
はっ！
（審判）アウト３０−１５。
心の声勝つビジョンで勝負してのミスはしかたない。
外から見ればただのミスでも俺にとっては多分ベスト…。
前回全く歯が立たなかった全日本のチャンピオン相手にファイナルセットで競ってるんだから間違いない。
あれからフロリダで学んでサーブを強化して更に肉体改造してここまでひたすらチェンジオブペースの事を考えたうえで！はっ！くっ。
心の声この１球を打ってるんだ！
（審判）３０−３０。
（観客）まさか丸尾がここまでやるとはな！
（審判）４０−３０。
う〜ん…。
勢いだけなら丸尾君なんだけど…。
ん！心の声前に来た！はぁっ！くっ。
（審判）ゲーム難波江ハアハア…。
５−４ファイナルセット。
（宮本）これだよこれ。
難しいボレーでも余裕を保ったままポイントできる安定感。
この場面で冷静さと技術これこそが王者で居続けられるゆえん。
ハーッハーッ…。
心の声次のゲームは落とせない！
（観客）難波江ここだ！
（観客）頑張れ丸尾！はっ！ん！
（審判）ゲーム丸尾５−５。
（深沢）お互いキープ合戦ですね〜。
（青井）だが丸尾はリスク覚悟で攻めている。
その分ミスは出やすい…。
はっ！
（審判）アウトゲーム難波江６−５ファイナルセット。
次も絶対キープですよアニキ〜。
ブレイクすれば難波江君の勝ちか〜。
心の声そう簡単に何度も勝つビジョンは実現できない。
それに長期戦になれば…こっちが苦しくなるのは分かってる事。
ファイナルセットは２ゲーム差がつくまで続くから…。
だったら少しでも早く決着するように短期決戦…。
ここをキープして次をブレイク。
そして最後をキープして勝つ！心の声
（難波江）長期戦は覚悟…。
でもここで終わらせる。
（審判）タイム。
心の声勝つまで最短３ゲーム…。
難波江君がどんな戦略で来てもそれを跳ね返す勝つビジョンで対抗する。
はあ〜…。
心の声ここは思い切ってだけど確実にファーストサーブ！はっ！ん！心の声
（難波江）サーブが伸びてきてる！ここまでリスクを負ってくるなら…守備重視。
はっ！
（審判）アウト０−１５。
心の声
（難波江）今はそれでいい…。
心の声難波江君が少し守備的になった。
でもそれでやられるようじゃ勝つビジョンとは言えない。
ある程度のミスは覚悟で勝つビジョンを貫き通す！ふ〜〜…。
心の声覚悟は決めたんだ！はっ！ふん！心の声球威を増したストロークで早めに仕掛ける！んっ！ん！心の声意表をつく！たっ！心の声
（難波江）む！？優勢な攻撃からいきなりロブ？前には来てない。
ふっ！心の声
（難波江）このタイミングで前！？どう来る！？ん！？はあっ！心の声
（難波江）ドライブボレー！？くっ。
よしっ！
（審判）１５−１５。
アニキドライブボレーは宮川にやられましたからね〜。
その前の変則的な組み立てがよかったよ。
ナツみたいだな。
心の声ネットギリギリで危なかったけど思い切った事をかなり冷静にできた！行ける！勝てる！もし難波江君に勝てたらきっとプロを目指す事を認めてもらえる。
やりたい事を心配かけずにできる！はっ！ふん！心の声
（難波江）ここまでいいボールが入ってくると守りだけじゃ限界がある。
アニキが押してます！いやそうでもない…。
心の声
（難波江）徹底的に守ったうえで…攻める時は一撃で！心の声ドロップ！？くっ！
（審判）１５−３０。
ふ〜…。
（観客）普通ここでドロップ決めるか！？
（観客）どんだけ落ち着いてんだよ！ハア…ハア…ハア…。
心の声まだだ。
はっ！ん！はっ！はっ！
（ラリーの音）ふっ！心の声ハッ！
（審判）１５−４０。
難波江のマッチポイント…。
（観客）ようし！
（観客）さあマッチポイント！ハァ…ハァ…。
ハア…ハア…ハア…。
心の声まだだ…。
確かにここは難波江君のマッチポイント。
次取られたら負ける。
だったら。
ふ〜…。
心の声このプレッシャーを力に！はっ！はっ。
うっ！うっ。
心の声勝つビジョンはそこ！はっ！
（ボールの落下音）
（審判）アウト！ゲームセットアンドマッチウォンバイ難波江カウント４−６６−２７−５。
（セミの鳴き声）ふ〜〜…。
は〜は〜は〜は〜…。
（歓声と拍手）
（観客）ついに決着！
（観客）難波江が決勝進出だ！
（歓声と拍手）ん！？あぁ…。
（観客）さすが難波江。
シメるとこはシメたな。
（観客）いや今回は危なかったって。
心の声やれる事は全部やった。
できる事もみんなやった…。
ファイナルセットまで行ったけど負けは負けだ…。
難波江君にはまだ勝てない…。
（青井）関東ベスト４まあまあなんじゃねえの？あ…！？青井コーチ。
いいやまあまあどころかこれが精いっぱいです。
もっと強くならないと…。
あ。
青井さんのおかげでいろいろ試せてよかったです。
これからやらなきゃならない事もハッキリしてきましたから。
ははは。
そりゃよかった…。
ところでお前に紹介したい人がいるんだ。
（小ノ澤）いや〜丸尾君いい試合だったね〜。
感動しましたよ〜。
え？あありがとうございます。
お前の使ってるラケットメーカーの人だ。
キミの頭と身体をフルに使って戦略的に戦うテニスはある意味新しいしとても魅力的だよ。
はあ。
だからキミにうちの新しいラケットを使ってもらいたいと考えてるんだけどどうかな？え？それって。
（小ノ澤）そう。
モニターとして今後の開発に協力してもらいたいんだ。
あ…！心の声荒谷君とか難波江君みたいに俺がラケットのモニター？これって…すごい事だよな。
（振動音）
（振動音）もしもし。
あ…影山。
（影山）ようエーちゃん。
今日はどうだった？え？負けた…。
そっか…。
あ〜でも関東ベスト４まで行ったのはすげ〜じゃん。
うん。
でもこれじゃダメなんだ。
明日の決勝戦まで見てくよ。
（影山）そっか。
気〜落とすなよ。
うん。
ありがとう。
（アナウンス）「ただいまより関東ジュニア決勝戦を行います」。
（深沢）荒谷対難波江の決勝になりましたね〜。
うん。
荒谷君はあの難波江君をどう攻略するつもりだろう？やっぱりスピードとパワーでしょうね。
（荒谷）はあっ！うらあ！よっしゃあ！
（審判）１５−０。
でもアニキ次やったらアニキはきっと難波江に勝てますよ。
そりゃ勝たなきゃ全日本ジュニアで優勝はできないけど…。
去年は難波江にボロ負けでしたよね。
「ボロ負け」って…。
確かに６−２６−１でストレート負けだったけど。
その難波江に今年はファイナルセットまで競り合ったんですよ。
ん？アニキの成長スピードは驚異的です。
あ…！心の声…そうか。
俺は最初準備運動にすらついていけなかったんだよな…。
回想お…ダメ…。
（田島）ゲッ！？コーチィ！こいつ倒れた〜っ！心の声初めての試合は負けたけど楽しかった。
テニスがもっと好きになった。
勝ち上がれば更に強い相手と戦う事ができた。
みんなからいろんな事を教わった…。
テニスを始めて２年半か…。
・
（観客たち）わああああ！
（深沢丸尾）お！？
（審判）ゲームセットアンドマッチウォンバイ鷹崎。
（鷹崎奈津）やったぁぁ〜っ！
（審判）カウント６−２６−２。
やったぁぁ〜っ！・
（歓声と拍手）なっちゃん勝ったんだ。
多分この大会１セットも落とさず全部ストレート勝ちですよ。
すごいね。
・
（歓声と拍手）心の声なっちゃんがいてくれたから…。
回想一応プロ目指してるからさ。
エーちゃんはきっと台風の目になると思うよ。
じゃあ私たちはここからスタートだね。
うん。
…じゃあ何て言ったらよかった？私エーちゃんが頑張ってるの見るといつも「私も」って思うんだ。
苦しい事でも乗り越えなきゃって思えるの。
だからエーちゃんが勝つと自分の事みたいにうれしくて…。
それでいつも元気もらってるんだよ。
うおおおっしゃ〜っ！
（審判）ゲームセットアンドマッチウォンバイ荒谷カウント４−６…。
え？難波江君が負けた！？なんか難波江はいつものテニスじゃなかったですね。
うん。
荒谷君もすごかったけど今日の難波江君はミスが多かった。
（歓声と拍手）俺にパワーで挑むって…何考えてやがんだよ。
（歓声と拍手）ん。
（歓声と拍手）ん！？
（歓声と拍手）心の声そうか。
難波江君はもっと先を見据えてこの決勝戦を戦ってたのかもしれない。
心の声アレックスは世界ランキングを５００位台まで上げた。
（アレックス）はっ！よし！
（審判）ゲームアレックス３−０。
（マーシャ）お兄ちゃ〜ん！グッショー！
（クリシュナ）アレックスのストレート勝ちかな。
（平）この勢いで優勝しちまうんじゃね〜の。
心の声
（アレックス）まだだ…。
俺はもっと先へ行く。
頑張ってねお兄ちゃん。
心の声タクマさんはこの間プロのトーナメントで３勝目をあげた。
（江川）はっ！
（三浦）これでランキングがまた上がるな。
これからですよ…。
もっと上に行かね〜と。
心の声池君はグランドスラムで世界１位と戦った…。
（歓声と拍手）
（池）ハア…ハア…ハア…ハア…。
今日は完敗でした。
次はもっといい試合にしますよ。
心の声俺はあんなすごい人たちの中でどこまで行けるんだろう。
エーちゃ〜ん！ん！アニキ〜！早くしろ栄一郎！ふふっ…。
行こう！うん。
心の声一歩一歩歩いて行こう。
もっと先へ自分を信じて。
2015/09/20(日) 17:30〜17:55
ＮＨＫＥテレ１大阪
アニメ ベイビーステップ２（２５）[終]「ファイナルセット」[字][デ]
ふとしたきっかけでテニスに目覚めた主人公・栄一郎が、プロのテニスプレーヤーを目指し、夢に向かい努力を重ねて成長していく姿を描いたスポーツアニメ。
詳細情報
番組内容
ついに試合は最終局面を迎える。難波江（なばえ）に勝つビジョンを必死に思い描き、負けを覚悟で新しい戦法に打って出る栄一郎。過去のデータから、追い詰められたときの栄一郎は危険だと判断した難波江は、早めにたたこうとする。何かを新たに創造し変化する栄一郎と、徹底した冷静さと技術で王者に君臨する難波江。両者の息をのむ接戦に会場の盛り上がりも最高潮に達していく。プロを目指す栄一郎に勝利の女神はほほえむのか！？
出演者
【声】村田太志，寿美菜子，浪川大輔，寺島拓篤，下野紘，瀬戸麻沙美，細谷佳正，神谷浩史，潘めぐみ
原作・脚本
【原作】勝木光，【脚本】千葉克彦，武上純希，高橋ナツコ，吉田伸
ジャンル :
アニメ／特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
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