所さん!大変ですよ「あの“世界遺産”が謎の劣化で大ピンチ!?」 2015.09.17


塗装が剥げ地肌があらわになったボロボロの社殿。
謎の劣化に襲われたのはなんと世界遺産日光東照宮。
劣化は恐ろしいスピードで進んでいた。
劣化の原因はこの怪しい液体。
取材で浮かび上がってきたのはあの怪しい液体を巡って繰り広げられる日本と中国の激しい争奪戦。
本当?また怪しい液体とか言ってるけど。
何かドロッとした茶色いものが。
劣化と怪しい液体と関係あんの?何か。
大変なんです。
何が?ご覧頂きましょう。
いやいやいやもう大変でみんなびっくりという。
こういう事件です。
こちら!事件の舞台は栃木県にある日光東照宮。
およそ400年前に徳川家康公を祭るために建てられたという日本の宝でもあります。
50年に1度のペースで修復をして荘厳な雰囲気を保ってきたのですが神職さん神主さんが驚いたんです。
直してから僅か3年で劣化が始まった。
こんな事東照宮の歴史上初めてだそうです。
さあここでまたスタッフが想像致しました。
これは…今年大坂夏の陣から400年で敗れた豊臣のたたりがここで来たんじゃないかとかですね。
そのとおり!いやいや待って下さい。
いやいや勝った徳川家康に御利益をあずかろうとけしからん参拝客がガリガリガリってちょっと削って持って帰ってたんじゃないのとか。
あのねえいつも想像するけど当たったためしがない。
当てる気がまずないじゃん。
たまには当てて下さい。
行ってみたら想像以上でした。
いきましょう!所さん!大変ですよ。
ディレクターが向かったのは建物の急激な劣化に悩んでいるという日光東照宮。
年間およそ200万人の観光客が訪れる日本の宝だ。
よろしくお願いします。
担当者が僅か3年で劣化が始まった問題の建物を見せてくれた。
(佐藤)そうですね木材です。
このまま放置すれば木材が腐り江戸時代に建てられた建物の形が崩れ修復不可能になってしまうという。
しかし不思議な事に全ての建物で劣化が進んでいる訳ではないのだという。
担当者が案内してくれたのは…。
この日光東照宮自慢の表門。
60年以上一度も塗り直しは行われていないにもかかわらずなぜかきれいな状態を保っていた。
比べてみるとその差は歴然。
表門が60年以上たっても鮮やかな赤を保っているのに対し劣化が進んだ建物は40年で赤が剥げ落ちてしまった。
一体なぜこんな違いが出てしまったのか。
すると…。
聞けば表門に使われたのは100%国産の漆。
ところが劣化が進む問題の建物で使われた漆は…。
中国産の漆を使った建物だけがなぜ急激に劣化してしまったのか?その謎を探るためディレクターが訪ねたのは国内有数の漆研究者。
そもそも漆とは漆の木の幹を傷つけそこから流れ出した樹液の事。
専門家によれば国産も中国産も全く同じ種類の漆の木からとれるという。
しかし不思議な事に…。
ウルシオールとは塗った漆を固める成分。
多ければ多いほど建物を保護する役割を果たしてくれる。
そのウルシオールの量が中国産は日本産に比べなぜか少ない。
そのため中国産の漆を使った建物の方が早く劣化してしまうのではないかというのだ。
取材を進めると中国産漆の劣化騒動は日本各地の有名寺社で起きている事が分かった。
よろしくお願いします。
どうぞ。
ありがとうございます。
その中の一つ平安時代に建立されたこの神社。
26もの社殿が重要文化財に指定されているという。
遠目には鮮やかな色彩が保たれているように見えるが…。
50年に1度改修工事を行ってきたこの神社。
最も最近行われた27年前の工事で初めて中国産の漆を使ったというのだが。
一体なぜ?実は国産漆の生産量は高度経済成長期の昭和40年ごろ安い化学塗料に取って代わられた事などで急激に減少。
今や生産量は最盛期の25分の1。
年間およそ1トンにすぎないという。
その結果昭和40年代以降改修しようにも国産漆を手に入れられない寺社が続出。
やむをえず使い始めたのが世界最大の漆生産国中国の漆だったのだが…。
今の気持ちは…。
調べてみるとこの事態を打開するため国も動き出していた事が分かった。
重要文化財を管轄する文化庁に聞いてみると…。
それはですねこうした形で…。
担当者が見せてくれたのは今年2月文化庁が全国の自治体に向けて出した通達。
「今後重要文化財の修復には原則国産漆だけを使用する」。
そう指導する内容だった。
でも…聞くと文化庁では今後2年かけて国産漆の生産量を年間1トンから1.3トンに増やす計画だというのだが…急激な劣化に襲われたあの日光東照宮を再び訪ねてみると…。
ん?10トン?10トンといえば国産漆の年間生産量のおよそ10倍。
聞くと日光東照宮ではほかに先駆け8年前から国産漆を大量に購入してきた。
それでも全て確保できる見込みはまだ立たないという。
更にあの静岡の神社は改修工事の計画を見直さざるをえないと途方に暮れていた。
今回の取材で日本中の重要文化財を修復するには国産漆が少なくとも年間2トン必要と判明。
文化庁の増産計画ではまるで足りない事が分かった。
中国の漆だったんですか。
日本にないから。
はあ〜。
質が違うんですね。
多分中国では漆はそれを使えば中国の風土には合ってるんじゃない?建物の塗り替えでも。
日本だと日本の漆がやっぱ合うんじゃないですかね。
これね。
そういう事だよね。
質が質がって話がありましたが東南アジアの国々でも漆はとれるんですって。
それに比べれば中国産は良質なんですって。
そうなんだ。
だから次善策としては確かに当時正しかったらしいんですよね。
だからあれだよね。
まずは…やっぱり誰しもあのVTR見るとそう思いますよね。
ただねそうもいかない事情もどうやらあるらしいんですよね。
突然ですが吉田鋼太郎のちょっと大変ですよ!国産漆が大人気でさぞや産地は大喜び!…と思って訪ねてみると。
…と至ってクールな反応。
そこにはある深刻な理由があったんです。
漆の木を傷つけ漆をかき出しているのは漆かき職人。
国産漆の7割を生産している岩手県浄法寺町には現在20人の職人がいるんですが…。
国が目指す年間2トンの漆を生産するにはその2倍40人の職人が必要です。
しかし確保するのは簡単ではないそうです。
その理由は…。
そのため後継ぎもほとんどいないのが現状。
国産漆大増産への道のりは果てしなく遠いようです。
以上吉田鋼太郎でした。
ああ後を継ぐ人がいないのか。
あとお給料が安いからって。
なり手が少なくなってしまう。
ああ。
国で漆とるぞ課っていうのを作んなきゃ駄目だよね。
そしたらみんな手ぇ挙げんじゃないの?「俺そこ行くわ」って。
そうすりゃお給料は安定してるんだから。
国がやるんだから。
今日も専門家の皆さんにお越し頂いています。
この漆について何かご意見のある方。
(3人)はい。
あるんだ!何でも知ってるんだから。
(久保田)何を聞いても。
澤口さんお願いします。
この神社とか仏閣に漆が使われてるっていうのは相当に根拠がありますね。
えっ何で?光沢があるものを見る事によって神々しいとか威厳があるとかそういうものが感覚として出てくるっていう事が分かったのでああいうものを使うというのは理にかなってますよね。
じゃないとこちらとしては行ったのに気分がね。
そういう漆の艶感も人に相当影響する。
(澤口)影響します。
じゃやっぱ必要だな。
はい。
今日本観光立国を目指して外国人のお客様にいっぱい来てもらおうとしてるんですが実はそれにも漆っていうのはすごく重要なんですね。
はい。
ドンと。
これある旅行サイトが調べた日本で行きたい観光地ランキング。
なんとですねこの赤い所が全部漆を使ってる所なんですね。
でもやっぱりボロボロになっちゃうと外国人のお客様も減ってしまう。
これ観光収入にも影響しますしやっぱりこういうものをちゃんと残していくために質のいい漆で修復していくっていうのはいろんな意味からもやっぱり重要な事なんです。
漆だいぶ必要だよね。
そうなんですよ。
お風呂なんてお水1トンぐらい入ってるんじゃないの?
(笑い声)1トン。
そんな入ってない?入ってないか。
入ってないの。
失礼しました。
海外でももちろん文化財の保護はとても大切な事な訳ですよね。
でも3年前スペインのある修道院のキリストの肖像画を地元のおばあちゃんが勝手に自分で修復しちゃった結果こういう似ても似つかない結果になって大騒ぎになったと。
ところがこれが世界中に報じられそれを見た人たちが小さな田舎町に観光客として殺到したんです。
そしておばあちゃんはすっかり地元のスターになってしまいなんとこのおばあちゃんの人生を描いたオペラが制作される騒ぎになっているそうです。
ちなみにこのオペラのテーマは…たまたまの例だもんね。
さあ所さん所さん。
実は取材したディレクターある想像を膨らませて止まらなくなりました。
文化庁が通達を出して中国産を使うのやめましょうって言った訳ですね。
…って事はこの中国で漆に携わっている皆さんが暇になるんじゃないか。
心配だよね。
行ってみよう。
中国に行って漆関係者に会ってみたら意外な話が膨らみました。
いきましょう。
所さん!もっと大変ですよ。
北京に到着したディレクターを迎えてくれたのは…。
ごねんねちょっと遅くなっちゃった。
大丈夫です。
大丈夫?ありがとうございます。
中国の漆事情に詳しい現地スタッフ。
聞けば北京から2,000キロ離れた福建省に中国産の漆を使う工場が数多くあるという。
そのうちの一つに向かってみると…。
建物の外には漆が入っていたと見られる缶が数多く乱雑に積み上げられていた。
工場の中に入ったディレクターの目に飛び込んできたのは…。
これは日本でよく見る漆器じゃないか?でも一体なぜ中国で日本風の漆器を作っているのか。
この工場では30年前から…ところが最近福建省の工場ではなぜか日本以外からの注文が殺到。
そのため工場で使う中国産漆の量は増え続ける一方だという。
一体誰が注文しているというのか。
北京市内のショッピングセンターを見れば分かるというので訪ねてみると…。
現地スタッフが「漆器が欲しい」と伝えると次から次へと出てくる日本風の漆器。
おわんだけでなく重箱や立派なすしおけまで。
実は今中国では富裕層を中心に日本食が大ブーム。
これらの漆器全て中国国内で急増する日本料理店で使われるのだという。
更に別の食器店では…。
店員によると日本風の漆器は今その上品な美しさから世界中で人気が上昇。
そのためそこで使われる中国産の漆は今や余るどころか需給が逼迫するほど。
漆の値段も10年前に比べて3倍に跳ね上がったという。
この余波が日本が世界に誇るあの宝を直撃していた。
それは…。
輪島塗は漆は絶対に俺や守る。
「朝ドラまれ」でヒロインの夫圭太が人生を懸ける輪島塗。
こんにちは〜。
実際に輪島塗の工房を訪ねてみると。
そこに置かれていた漆は意外にも…。
(取材者)あっ中国産?実は輪島塗多くの工房では完成までに7回漆を塗り重ねる。
国産の漆を使うのは仕上げの1回だけ。
そのほかの6回は中国産の漆を使っているという。
中国産漆の高騰でこの工房の材料費は10年間で2倍に上昇。
職人たちの人件費を削って輪島塗を作り続けているという。
国産だけでなく中国産まで足りなくなりそうな漆。
調べてみると仏壇や家具を製造するメーカーなども漆が手に入りづらいと悲鳴を上げている事が分かった。
あら…漆の人気が世界中で高いのね。
みんな欲しがってるのね。
漆器がね売れてるんですね。
なのに漆がないの?ありゃまあ。
今漆の製品が中国で人気って事だったんですけどそのよさが世界中でやっぱり知られて日本に観光にいらっしゃるお客さんにもすごくやっぱり売れるんですね。
例えばこちらなんですけれども。
実は漆塗りの万年筆なんですけど。
一本おいくらぐらいかお分かりになります?でもそんなに高くないんじゃないの?でも絵が細かいですよ。
実は正解は一本60万円。
え〜っ!でもこれ海外から来る富裕層のお客様とか…非常に人気が高い…。
人気が高いの!?ほかにも10万円以上する漆塗りのヘッドホンなんていうのも最近日本の製品で…。
漆塗りのヘッドホンなの?これも今メードインジャパンっていう事ですけど将来的にはメードインチャイナになっちゃうのかなっていう。
2015/09/17(木) 22:55〜23:20
NHK総合1・神戸
所さん!大変ですよ「あの“世界遺産”が謎の劣化で大ピンチ!?」[字]

世界遺産“日光東照宮”の社殿が予想を超えるスピードで劣化し関係者を慌てさせている。原因は“中国産漆”。調べてみると同様の劣化事件が全国で続発。対策はあるのか?

詳細情報
番組内容
世界遺産“日光東照宮”の社殿が予想を超えるスピードで劣化し関係者を慌てさせている。原因だと考えられているのは“中国産漆”。調べてみると、同様の劣化事件が各地の寺社で相次いでいることも分かった。そして国が打ち出した“文化財の修理は原則国産漆使用”の通達が、中国、さらには、朝ドラ「まれ」の舞台も巻き込む騒ぎを引き起こしていた。
出演者
【司会】所ジョージ,久保田祐佳,徳永圭一,【ゲスト】澤口俊之,牛窪恵,モーリー・ロバートソン,【語り】吉田鋼太郎

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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