胃がん(3)会食中に激痛、救急搬送
メインキャスターとして連日のように、ゲストとの対談や、幅広い分野のテーマを扱っていった。「やっとつかんだ仕事だから、きついと思ったことはありませんでした」
平日午後10時からの生放送なので、昼に起き、局に午後3時頃入る。打ち合わせ、メイク、リハーサル、本番直前にあがってくる原稿の下読み、生放送、反省会などで、帰宅は午前0時頃。すぐには眠れず、就寝は午前4時ぐらいになる。
食事は出勤前と、放送本番前の慌ただしい中での簡単なもので、2食だけ。こんな生活が、同じ時間帯の番組のサブキャスター時代から3年以上続いていた。
メインキャスターになって3か月が過ぎた昨年7月、フランス留学時の仲間と会食中に突然、異変が起きた。胃が握りつぶされるような痛みで、顔は土色と化し、冷や汗が流れ出た。新たな激痛で気を失い、救急車で運ばれた。
胃に穴が開いていることがわかり、「胃潰瘍せん孔」と診断された。でも、番組のことがとても気になっていた。放送に穴を開けるわけにはいかない。「帰宅したい」と言ったが、即入院になった。
詳しい検査の結果、開腹手術を勧められた。「嫌です」と断った。「結婚もしてないのに、おなかに傷つけるなんて……」。だが、乙女心の願いも、病魔は許してくれなかった。
報道番組キャスター 黒木 奈々(くろき なな)さん 32
(2015年8月20日 読売新聞)
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