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司法試験問題漏えいの元教授 授業でも内容伝える
9月20日 18時33分

司法試験問題漏えいの元教授 授業でも内容伝える
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ことしの司法試験で、教え子に試験問題を漏えいしたとして告発された、明治大学法科大学院の元教授が、ほかにも、試験の2日前の授業の中で、学生に対し試験問題の内容を伝えていたことが、NHKが入手した授業の記録などから明らかになりました。
明治大学法科大学院の青柳幸一元教授(67)は、ことし5月に行われた司法試験を巡り、試験前に教え子だった20代の女性に、みずからが考査委員として作成した憲法の論文試験の問題を漏えいしたとして、国家公務員法の守秘義務違反の疑いで、今月8日、東京地検特捜部に告発されました。
青柳元教授がほかにも、「短答式」と呼ばれるマークシートの司法試験が行われる2日前のことし5月15日、法科大学院の1年生の授業の中で、試験問題の内容を伝えていたことが、NHKが入手した授業の記録や複数の学生の証言で新たに分かりました。
授業の記録では、青柳元教授は「この『収用』というところは、ことしの司法試験の短答式に出していて、私のテキストにもちゃんと書いてある」などと述べ、試験に出していることを明言していました。この論点は、「財産権」について定めた憲法29条に関するもので、実際にことしの短答式試験の第9問として出され、50点満点のうち最大で3点が配点されていました。
学生の1人は「試験前なのにこんなことを話して大丈夫なのかと驚いた」と話していました。
これについて、青柳元教授は弁護士を通じて「授業の進行状況を考えれば、そのテーマは試験後に扱ったはずだが、試験が終わったと勘違いして話した可能性はあるかもしれない」などとコメントしています。
法務省は、論文試験の漏えいが発覚したあと、「漏えいの相手は1人で、ほかに影響はない」と説明していましたが、新たに明らかになった今回の問題について「コメントできない」としています。

「短答式」ことしの試験では

ことしの司法試験は、5月13日から17日まで行われ、「短答式」の試験は、最終日の5月17日に行われました。
司法試験は、マークシートで複数の選択肢から正解を選ぶ「短答式」と、法律上の論点を論じさせる「論文式」の2つの試験が行われ、「短答式」の試験で一定の点数を超えないと、「論文式」の採点は行われません。
「短答式」の試験は、憲法、民法、刑法の3つの科目でそれぞれ問題が出され、このうち、憲法は合わせて20問出題されました。
青柳元教授が事前に授業で伝えたのは、憲法29条に規定されている「財産権」に関する論点で、憲法の第9問で出され、50点満点のうち、最大で3点が配点されていました。
ことしの司法試験は今月8日に合格者が発表され、去年より40人多い1850人が合格しました。合格率は去年より0.5ポイント上がって、23.1%でした。

専門家「1問知っていれば精神的に違う」

同じ憲法の考査委員を去年まで務めていた、神戸大学大学院の井上典之教授は、試験の公正さを揺るがしかねない事態だとしたうえで、「今はインターネットなどで発言がすぐに広がる時代で、50点のうち3点の配点はかなり大きい。学生にとっては、1問知っているだけで精神的に全然違ってくる。青柳元教授が意図的に言っていたら大きな問題で、意図的でないとしても、本人の自覚があまりにもなさすぎる」と指摘しています。

法務省や大学 再発防止策を検討

すでに告発した論文試験の漏えいを受けて、法務省は、原因の究明や再発防止策を検討するため、弁護士や裁判官、それに検察官で作るワーキングチームを設置し、短期間で対応できる課題については、来年の司法試験に間に合うよう、再発防止策の検討を進めることにしています。
また、明治大学も、原因究明のための調査委員会を立ち上げたうえで、法科大学院の学生や卒業生からヒアリングを行うなどして、再発防止策を検討するとしていました。

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