難民:欧州諸国、押し付け合い…非難合戦
毎日新聞 2015年09月19日 22時00分(最終更新 09月20日 01時22分)
【オブレジェ(スロベニア東部)坂口裕彦、ブリュッセル斎藤義彦】中東などから難民が押し寄せる欧州で、露骨な難民の押し付け合いが始まっている。約2万人が流入したクロアチアは18日、難民の一部をバスや列車で強制的にハンガリーに送り始めた。ハンガリーは「犯罪行為だ」とクロアチアを非難する一方、難民をオーストリア国境まで輸送。クロアチアに北接したスロベニアは国境を閉鎖して難民を押し戻している。
クロアチアのミラノビッチ首相は19日、「難民受け入れをハンガリーに強制し続ける」と述べた。18日には難民約1000人を乗せた列車がハンガリー南部に到着。事前に連絡を受けていなかったハンガリー警察は列車に同乗していたクロアチアの警官40人を拘束して武装解除。運転士を逮捕した。また、クロアチアは、難民をバスに乗せ、ハンガリーとの国境3カ所に分散して降ろしている。ハンガリー政府は18日、判明しただけで約8000人がクロアチア側から越境してきたと発表した。クロアチア・ハンガリー国境間にはフェンスはなく、難民は自由に入り込んでいる。
クロアチアがハンガリーに難民を“強制輸送”しているのは、ハンガリーが15日にセルビアとの国境に有刺鉄線付きの「越境防止フェンス」を設置、難民がクロアチアに流れ込んだことへの反発だ。
クロアチアの行為に怒るハンガリーも難民をオーストリア国境に運んでいる。18、19日で6700人がオーストリアに入国した。
一方、スロベニアは国境を封鎖。シリア難民が押し寄せた東部オブレジェの国境検問所では、スロベニアの警察当局が入国を阻止している。クロアチアも大半の国境を封鎖。難民を押し戻された形のセルビアは「非人道的だ」と非難した。