世界遺産・国宝の姫路城にドローン衝突 操縦者は不明
兵庫県姫路市にある世界遺産・国宝の姫路城で19日早朝、大天守の最上階に小型無人機「ドローン」が衝突し、窓枠の銅板に傷のようなものが見つかった。操縦者は見つかっておらず、姫路署は文化財保護法違反容疑を視野に捜査している。姫路城管理事務所によると、ドローンによる城への被害は初めて。これまでは操縦者への口頭注意にとどめていたが、この日から城内でドローン飛行を全面禁止にした。
今年3月に「平成の修理」を終え、多くの観光客の目を楽しませる別名・白鷺(しらさぎ)城の“顔”が、秋の大型連休「シルバーウィーク」の初日の早朝にドローンによる被害に見舞われた。
午前6時15分頃、地下1階、地上6階の7階建てになっている大天守前の広場にいた警備員がプロペラ音に気づき、46メートル上空を飛ぶドローンを目撃した。その2~3秒後、ドローンは大天守最上階の6階南面に衝突。そのまま5階の屋根に落下した。発見時はプロペラが破損しており、同じ屋根の約2メートル先で、搭載されていたとみられるコネクター付き小型カメラが見つかった。
姫路城管理事務所によると、しっくい壁や屋根瓦などの被害は確認されていないが、窓枠の水切り銅板に衝突の際にできたとみられる傷のようなものが3か所見つかった。大天守は5年半にわたる大規模な修理を終え、今年3月27日に一般公開を開始。しっくいの塗り直し、屋根瓦の吹き直しが行われて、まだ半年しかたっていない。
ドローンは白色でプロペラの数は4つ。「PHANTOM(ファントム)」と書かれていた。メーカーのホームページによると、大きさはプロペラ部分を含め約60センチ。
管理事務所によると、姫路城周辺では2013年以降、ドローンの目撃情報が15件あったが、衝突したのは今回が初めて。姫路市などの申請を受けて、これまでドローンの飛行許可を2回出しているが、見物客への被害の恐れもあり、一般のドローン操縦者には口頭で注意して飛行中止を求めていた。管理事務所の石川博樹所長は「非常に残念なことが起きてしまった。ドローンは有用だが、マナーやモラルを持ってほしい」と話した。
姫路城管理事務所は、城の保存に支障を及ぼす行為を禁止した姫路城管理条例違反に該当するとして、この日付で姫路城内でドローンを飛ばすことを全面禁止に。今後は、告知の看板も設置するという。
ドローンをめぐっては、飛行を規制する改正航空法が成立し、年内に施行予定。国の許可なしに住宅密集地や空港周辺で飛行することを禁止している。