石松恒
2014年12月1日05時09分
衆院選は2日に公示される。与野党の公約が出そろい、選挙の主要争点が明らかになってきた。自民、公明両党は金融緩和や成長戦略で景気回復につなげる経済政策の継続を強調。野党には成長重視の点で一致する党もある半面、民主党などは格差拡大を招いたとして中・低所得層への対策強化を打ち出す。集団的自衛権の行使容認など安全保障や原発政策でも、与党に対する野党各党の距離感は異なっている。
「アベノミクスは企業の競争力を強化し、雇用を拡大し、国民を豊かにする」。安倍晋三首相(自民党総裁)は30日のNHK番組でこう訴えた。自民は公約で「景気回復、この道しかない。」と強調。企業収益とともに賃金や雇用を増加させ、地方にも景気回復の実感を届けると訴える。公明も「経済の好循環を作り出す」と同調し、公約では「消費税率10%への引き上げと同時に、軽減税率の導入をめざす」と記した。
経済政策を巡る野党の対応は割れている。民主党の海江田万里代表は30日の同番組で「雇用が増えたと言うが、ほとんどが非正規で賃金は上がっていない」と主張。同党と生活の党は公約で「中間層の復活」を挙げ、家計支援に軸足を移すべきだと訴える。
維新、次世代両党はアベノミクスを一部評価しつつ、規制改革を進めるなどして成長を後押しすべきだと主張。共産、社民両党は富裕層への増税などで格差を是正すべきだとする。
安倍政権が憲法解釈の変更で行使を認めた集団的自衛権についても、各党の主張は分かれた。自公両党は7月の閣議決定を踏まえ、来年以降に「切れ目のない安全保障法制の整備」に取り組むと明記。維新と次世代は安全保障法制の整備で自衛権行使を明確にすべきだとの立場で与党に近い。
一方で民主と生活は、国会での審議を経ずに憲法解釈を変えた手法を批判し、閣議決定の撤回を要求。共産と社民は、武力で他国を守る集団的自衛権の行使そのものに反対している。
来年2月にも九州電力川内原子力発電所の再稼働を控える原発・エネルギー政策も、各党で政策が分かれた。自民は公約で原発を「重要なベースロード電源」と明記し、再生可能エネルギーを導入しつつ原発の活用を続けるとした。次世代も原発維持の立場だ。
これに対し公明、民主、維新は当面の原発再稼働は容認するが、将来は「原発ゼロ」をめざす考え。共産、生活、社民、新党改革は再稼働も認めず、「即時原発ゼロ」を要求する。原発政策をめぐる各党の立ち位置は、大きく三つに分かれた。
衆院の定数削減では、安倍首相が30日の民放番組で、衆院議長の下に設けられた第三者機関の答申について「結論に従う」と明言。海江田氏は「結論には従うが、定数削減しなければいけない」と述べた。(石松恒)
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