津田大介氏インタビュー 第3回:「Twitterでできること、できないこと、素直になれないこと」(全4回)

2010年6月3日 記事の公開日時 6:05 pm

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津田大介氏インタビュー 第3回:「Twitterでできること、できないこと、素直になれないこと」(全4回)
 
 

(この記事はMAG! 2010春号に掲載されています。詳しくはこちらをご覧下さい。なお、ウェブ上では特別にロングバージョンを公開しています。)


  • 第1回:「インターネット黎明期の挫折、そしてTwitterへ」
  • 第2回:「Twitterが変えたものとは、そしてその未来」
  • 第3回:「Twitterでできること、できないこと、素直になれないこと」
  • 最終回:「大学生に贈る、Twitter時代の人脈の作り方」

  • MAG! 2010春号 津田大介氏インタビュー

    MAG! 2010春号 津田大介氏インタビュー

    Twitterでできること、できないこと、素直になれないこと

    ――少し前(2009年後半頃)にTwitterがキャズムを超えたかどうかという議論がありましたけど、今現在、もう「キャズムを越えた」、といってもいいと思います?

    津田氏(以下『津田』): それは越えたよね。完璧に。

    ――でも、その弊害で、古参の人達が離れていってしまっている印象があります。有名になってからのmixiのように。

    その辺は感じないわけではないんだけど、個人的に思うのは他と違って、Twitterってそういう「新参が入ってきてウザイ!」と、そういう現象が構造的に起こりにくいと思ってます。

    2chやブログなんかは基本的に見てるものがみんな同じで、同じスレッドで全員同じものを見るんだけど、Twitterの場合見るのはタイムラインで個別に違うよね。だから、新参が入ってきたとしても、「自分がフォローしなければ、自分が見てる景色は変わらない」のかなって思いますね。そこは構造的にTwitterは強いんじゃないかなーっと思うし、僕自身が飽きないで続けられてる理由だと思います。

    あと、「Twitterって議論はできる場なんですか?」って意見がありますよね。現実問題として、込み入った議論は無理。でも、議題設定だったり、アジェンダ設定だったらTwitterでもできるなって思うことはある。そこから先の話はブログで書くのか、リアルで話すのか、ってところで、Twitterって常に140字で物足りない。だからこそ、外部へのリンクだったり、イベントだったりが誘発されるなーと。

    ――議論じゃなくて、ブレストだと?

    津田: そうそう。巨大なブレストだったり、大喜利してる感じ。そこから先の話はブログで書くのか、リアルで話すのか、ってところで、Twitterの140字じゃ物足りなくなってくる。だからこそ、外部へのリンクだったり、イベントだったりが誘発される、と。

    当たり前だけど、Twitterにポストされたリンクのクリック率って凄く高いんですよ。実際のニュースメディアへの、Twitter経由の流入が凄く増えている。色んな人がTwitterにURLを貼ることで、明らかにブログよりTwitterの方から経由してきてる人のが多い状態になっている。

    対談する津田氏

    Tsudaること

    ――僕、先日、大学のイベントで初めてiPadを触ったんです。その時に、Twitterでその状況をTsudaったんですが、フォロワーが激減したんです(笑)。一般人がTsudaるって事は難しいんですかね?

    津田: それは、内容が面白いものであれば、一時的に減っても、たぶん長い目でみれば増えるってのが僕の印象ですね。

    ――津田さんはどういう基準でフォローをしたりし返したりしてるんですか?

    津田: 今は、半年くらい前から基本的にはフォローした人はリムーブしないようにしてるんですがね。

    割とフォロー200くらいはすぐだったんです。まぁ、200か300くらいが自分が把握できるいい数だったんだけど、500超えたくらいからもう駄目だなって思って、800くらいからは500も800も変わらないなって思ってね。

    そんな時に勝間和代さんと『Twitter社会論』で対談して、「よく会った人からフォローしてくださいって言われるんですけど、それは僕が決める事だと思う」って言ったら、勝間さんから「タダなんだからやればいいじゃないか」って言われてね、「なるほど、それはそうだな」ーって思ってね(笑)。

    それからは自分と関わりのある人だとか、この人面白いなーって人はフォローするようにして、いま3000強になりましたね。

    インターネットが変えていく距離感

    ――最近の傾向だと、ネットのギークとか有名人はエゴサーチしてると思うんです。例えば、mixiやブログで梅田望夫と書くと、梅田望夫さんにあしあとつけられますよね。ほぼ確実に。
    ネット上においては、一般の人と有名人の境界が曖昧になってきたと思うんですけど、今で言う有名人がエゴサーチで被言及を直接みているという形になると、なんだか奇妙な親近感を感じます。事務所を介していない生身のその人、というか。

    津田: 僕もエゴサーチは毎日やってますね(笑)。

    ――目立って、有名になっていってから、エゴサーチによって変わったことってありますか?

    津田: まぁ、僕はTwitterが始まる前からエゴサーチは定期的にやっていたのでね。自分の記事について見たりとかね。それこそ、2002年くらいからやってきているので、生活の一部になっているというか…。ただ、そのお陰で、色んな人の考え方を知れたりとか、こー書くとこういう反応がくるのかってわかったりとか。

    まぁ、賛否両論あるようなものって文や主張に力があるって事だからね。それに一方的に賛同しかなかったりすると、自分が気持ち悪くなっちゃってヒネくれた考え方がでちゃったりね。

    ――そういえば昨日(5月某日)、「津田大介の問題提起について」という記事があがってましたね。

    津田: エントリっていうか、自分で昔やった自作自演なんだよね(笑)。

    ――え?

    津田: 2006年にやって、レコード会社に対する批判記事書いて、ブクマが結構集まっちゃったんで、そんでブクマが「そうだそうだ!」みたいな風潮で、そんなにお前らレコード会社嫌いかよって嫌になっちゃって、それを自分でシンクタンクの研究員と偽って、アカウントをとって、それを徹底的に批判する記事を書いてね。あれは全部自分で書いたんですよ。

    それは自分の中での実験という意味もあった。反論ってのも見方の問題で、ユーザーとか消費者の視点で見たら批判的に書くけど、もし自分が音楽産業の人間だったら、こーいう風に反論できるよねって、嘘を書いてるつもりはなくて、見方とスタンスの違いだよねって書いたつもりだった。そしたら、その当時はmixiとかで「こんな反論きてるよー」って色んな人が教えてくれてね。「あぁ、それ俺だからー」って(笑)。

    で、本当は色んなやりとりを繰り返して、最後は和解成立して、同一人物でしたって思ってたんだけど、めんどくさくなっちゃった。それで、すぐ自作自演でしたーってバラしちゃいましたね。

    Twitterドラマについて

    ――賛否両論あると言えば、Twitterドラマは?

    津田: あぁもめてる感じの。

    ――津田さんは擁護派ですよね?

    (参考)
    素直になれなくての第一回見終わった。なんだ面白いじゃん! 俺的には全然あり。傷付いた俺の心を癒せるのはあのドラマだけだよ……。
    tsuda

    北川悦吏子がツイッターにハマり始めたのはツイート見てると確か4話とか5話あたり書き始めたくらいだったと思うので、もまえらあんま叩くばっかりはやめた方がいいと思います。最初から色眼鏡で見てたら最後まで色付いたままでしか見られないよ。
    tsuda

    いやーでも今までテレビドラマとかでインターネットがどれだけ酷い扱い受けてきたか振り返れば、 #sunanare なんて相対的にマシな方じゃない? 別にあれで一般の人がツイッターに悪印象持ったとしても、ツイッター全体に対しては大して影響ないと思うけどな。
    tsuda

    いちおうこのタイミングで告白しておくと、俺はロングバケーションも愛していると言ってくれもビューティフルライフも見たことないので、実は初北川脚本ドラマを見たという……。
    tsuda

    津田: いや、擁護してるっていうか(笑)。一方的にあんなに馬鹿にして、叩くっていうTwitterの感じが嫌だなって思って。ドラマは一回目は見た限りツッコミどころの多いダメドラマですよ。「なんじゃこりゃ?」って思ったけど、北川さんのTwitterを見ると、今は相当Twitterにハマってるし、彼女のTwitter面白いんだよね。

    だから、そういう面白いTwitterの彼女がドラマにどう盛り込むのかなって意味では、今後にすっごい期待してて。脚本って書きながらすごい変わっていくもんだし、一回目からこんな叩くなよって思うんです。

    だから、擁護必死だなって書かれるけど、そんなつもりは無いです(笑)。

    ――僕も毎週あれが、どっちの意味であれ、ネタになると思うと、結構ワクワクしてるんです。

    津田: なるよねー(笑)。俺もできるだけ木曜日の夜はリアルタイムで見ようと、予定は空けてるもん。生で参加してこそ意義があるっていうか。

    ――どっちに転んでもバイラルって意味では凄く成功していると。

    津田: あらゆる現象でTwitterの外部化という意味で面白い事が起きてて、去年のワールドカップの朝日新聞が初めてTwitterのアカウント@asahiを取った時に、凄いゆるふわな実況をしたんです。「朝日新聞の看板背負ってこれかよ」みたいに最初はみんな馬鹿にしてたのが、あまりにノー天気なギャグとか前半終了を「試合終了」って間違えたりして、あまりにもギャップも込みで面白かったので、最後は彼女を応援する人の方が増えちゃったという(笑)。Twitterって「共感のメディア」なんですよね。

    (参考)W杯最終予選カタール戦で、朝日新聞公式Twitter(@asahi)が話題独占: ICHINOHE Blog http://shinyai.cocolog-nifty.com/shinyai/2009/06/wtwitterasahi-f.html

    試合展開を実況したというよりは、感想を交えた素人的につぶやいていて、しきりに松井の登場に期待したり、客観的な中継というよりは、きわめて主観的な Twitterでのつぶやきであった。「マッキー」という名前や、語り口調が、女性的なこともあって、その素人っぽいキャラクターが注目され、 Twitter上は試合そっちのけで@asahiに話しかけるという展開になった。一部では、「@asahiたん」といった呼び名も用いられていた。

    例えば去年のマッキーがやった実況って、もうワールドカップ進出は決定してたから、ハッキリ言って面白くもない消化試合ですよ。その面白くもない消化試合が、Twitterを見てることによって、試合よりもそっちの方が面白くなった。試合に副音声的な楽しみをTwitterが付加したようなものだよね。去年の紅白もiPhoneでTwitterみながら紅白みてたら、凄い楽しいんだよね。

    「素直になれなくて」もそうで、ドラマそのものがどうとかでなく、コンテンツをネタにして盛り上がれる力がTwitterにはあるんですね。いろいろなメディアのあり方を変えていくなーって思いますね。

    (文=竹馬光太郎)

    前回:Twitterが変えたものとは、そしてその未来

    次回「大学生に贈る、Twitter時代の人脈の作り方」

    津田大介 プロフィール

    1973年11月15日、東京都北区出身。早稲田大学社会科学部卒業。IT・音楽ジャーナリストとして、ネット、音楽、ハード、マルチメディア系の記事を執筆。2009年に執筆した『Twitter社会論~新たなリアルタイムウェブの潮流~』(洋泉社)が話題を呼び、日本におけるTwitterジャーナリストの第一人者としても認知されている。2010年度からは、執筆業の傍ら早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコースの非常勤講師担当も務める。


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