「麻薬売買、売り主の詐欺で未遂に終われば無罪」

 違法薬物を購入しようとして売り主に金を支払っても、売り主が実際に薬物を売る計画や能力がなかった場合、薬物を購入しようとした人を処罰することはできないという判決が下った。

 ソウル北部地裁刑事1部(キム・サンヒョン裁判官)は18日、覚せい剤を売ると持ち掛けた人に金を振り込んだものの、覚せい剤を実際に受け取れず未遂に終わった件(麻薬類管理法違反罪)で起訴されたK被告(62)に対し、無罪を言い渡した。

 麻薬類を売買した者は10年以下の懲役または1億ウォン(約1020万円)以下の罰金刑に処すことができ、未遂の場合は5年以下の懲役または5000万ウォン(約510万円)以下の罰金刑を適用できる。

 K被告は覚せい剤を自ら使用するため、昨年初めにインターネットのポータルサイトに「覚せい剤買います」という語句を入れて検索し、薬物を販売するというS氏の情報を得た。同年3月末にS被告に連絡し、覚せい剤の代金として175万ウォン(約18万円)をS被告の銀行口座に振り込んだ。ところが、S被告からの連絡はなく、K被告は覚せい剤を受け取れなかった上、送金の事実を検察に摘発され、麻薬類売買未遂罪で起訴された。

 キム裁判官は「麻薬類を購入しようという人が代金を支払ったとしても、売り主が麻薬類を所持しておらず、実際に販売が可能な状態でもなかったとすれば、売買未遂罪には該当しない」との判断を示した。麻薬類売買未遂罪が成立するには、売り主が実際に麻薬類を所持しているか、後で入手できる能力がなければならないという。

 一方、S被告はほかの人からも同様の手口で金をだまし取っていたとして、詐欺罪で起訴された。

イ・テドン記者
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