【社説】世界最悪と言われ続ける韓国の労働組合

 17日に韓国経済研究院がソウルの全経連会館に外資系企業の最高経営責任者(CEO)らを招いて開いた特別座談会「外国企業CEOが見た韓国の労働市場」で、韓国GMのセルジオ・ホシャ社長は「GMは全世界30カ国に工場を保有しているが、毎年賃金交渉をしなければならないのは韓国だけだ。そのためCEOはその仕事に2-3カ月は時間を取られる。また、ここ5年間に(韓国で)人件費上昇率が50%を上回った」と語った。さらに昨年は、労働組合員が野球のバットを持ってオフィスに乱入したケースもあったという。このように韓国では労働組合が非常に過激なため、外国企業は韓国を避け、すでに韓国国内の工場をわざわざ海外に移すケースも増えている。この傾向は韓国企業でも見られ、現代・起亜自動車は2002年に韓国での生産台数と海外での生産台数の割合が95対5だったが、今は45対55へと海外生産の割合が大きく増えている。

 韓国の労働組合の過激さが理由となり、外国企業が韓国への投資を避ける傾向があるとの指摘は20年前から少しずつ出始めていたが、その影響もあってか、最近は大手企業の従業員の平均年収が1億ウォン(約1000万円)にまで達した。ただし、労働者間の賃金格差も拡大し、大手企業の正社員と中小企業の非正規職では賃金格差が100対35にまで広がっている。しかし、韓国における過激な労働運動は20年前も今も大手企業の社員が中心で、この傾向はほとんど変わりがない。

 現代重工業の労働組合は来月18日、国際サッカー連盟(FIFA)の本部があるスイスに4人の組合員を派遣する計画とのことだ。同社の筆頭株主である鄭夢準(チョン・モンジュン)大韓サッカー協会名誉会長(峨山社会福祉財団理事長)がFIFAの次期会長選挙に出馬する計画なのを見据え「鄭氏はまず従業員の賃金と労働条件を改善すべきだ」などとFIFA関係者や現地メディアに訴えるためだという。いわば大株主の落選運動によって経営陣に圧力を加えるのがその狙いだ。現代重工業は3カ月ごとの業績がここ7期連続で赤字を記録しており、昨年は3兆ウォン(約3100億円)以上の損失を記録した。企業が困難な状況にあるときに、労働組合が協力して経営の改善に取り組み、売上増に貢献したいという考えなど、彼らには全くないようだ。そのため今回の労働組合の行動は、全世界に「韓国に投資すると労働組合のせいで全てが台無しになる恐れがある」と宣伝して回っているようなものだ。

 大手企業で労働組合が会社側を脅迫すれば、一時的に何らかの利益を得ることは当然あり得るだろう。しかし、このような現場を目の当たりにした外国企業が韓国への投資を避け、また韓国企業まで海外に出ていくようになれば、労働組合員たちの息子や娘たちが働く場は間違いなく閉ざされてしまうだろう。

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