日本の安倍晋三首相が推し進めている、集団的自衛権の行使容認に関する11の法案が、18日の参議院で野党の激しい反発により「生みの苦しみ」を味わった。だが、与党が多数を占める中では、可決される可能性が高い。全ての法案が成立すると、日本を「戦争のできる国」に変えるための法的な手続きがすべて完了することになる。今回新たに制定または改正される法律の中心的な内容は、日本の自衛隊が自国の領内だけでなく世界どこででも、同盟国の関与する戦争を支援できるというものだ。
第2次大戦の戦犯国家となった日本は、敗戦後70年にわたり、自国が直接攻撃された場合にだけ反撃できる「個別的自衛権」のみを行使でき、集団的自衛権は行使できないという立場を守ってきた。これが「平和憲法」と呼ばれる憲法第9条に対する日本政府の公式な解釈だった。安倍首相は憲法改正を通じ、この平和憲法を変えようとしたが、うまくいかなかったため、憲法の解釈を変更するという変則的な手段を講じた。そうかと思えば今度は、関連法を全て改正し、交戦権を否定した憲法第9条を事実上死文化しようとしている。
韓国社会が今回見過ごしてはならないことは、日本社会の複合性と二重性だ。日本国民は今回の法案に多くの人が反対したが、選挙では自民党や安倍首相を支持している。最近の世論調査の結果によると、50%以上が今回の安全保障関連法案に反対した。これに、今回の法案審議を保留するべきだと回答した人まで含めると、70%前後が反対したことになる。憲法学者たちも多くが、安倍政権による憲法解釈の変更を「憲法違反」と指摘し、あろうことか自民党が推薦した憲法学者までもが国会で「憲法違反」との意見を述べた。
だが、多くの日本国民は昨年12月の衆議院議員総選挙で自民党に1票を投じた。今年4月の統一地方選挙でも自民党の候補者たちに圧倒的な支持が集まった。これらの選挙は安倍政権が憲法解釈を変更した後に行われたが、このような結果だった。日本で全く相反する状況が同時に発生しているのは、日本国民が「安倍政権の暴走」を心配しながらも、中国の経済的・軍事的な急浮上を懸念し、結局「戦争のできる国」になることを容認していると考えることができる。日本は20世紀、戦争への道を突き進んだときにも、軍部の一方的な暴走に反対しながら、それにブレーキを掛けられなかった前例がある。
日本は米国の支援の下、このような方向に動いている。米日両国は今年4月の首脳会談で、中国に立ち向かい、両国の同盟関係をこれまでとは次元の異なる段階に格上げすることで合意した。国防予算を削減しなければならない米国と、金がかかるとしても「戦争のできる国」になることを望む日本の利害関係がかみ合った結果だ。結局、中国と日本の急変によって触発された北東アジア情勢の変化は、韓国に直接的かつ広範囲な影響を及ぼすことになる。何よりも、東アジアの安全保障をめぐる秩序が「米日対中国」という巨大なブロック間の対決という構図になりつつあるのは、決して好ましいことではない。周辺の大国の動きを正確に見通すことと同じくらい、韓国が主導的に韓半島(朝鮮半島)情勢をコントロールする国家レベルの戦略を打ち出すことが必要だ。