古文書はタイムマシン 高村薫さん、京都学シンポで
歴史資料の保存や活用のあり方を探る「国際京都学シンポジウム」が19日、京都市下京区の京都劇場であった。直木賞作家の高村薫さんが記念講演し、文字を書いて記録を残すことの大切さを主張した。
シンポは、舞鶴市の引揚関連・シベリア抑留関係資料と国宝「東寺百合文書」がユネスコ記憶遺産の候補となったことに合わせ、京都府と舞鶴市、府立大、京都新聞が3回シリーズで企画した。1回目は「時の詩-京都の記憶を世界へ」がテーマで約600人が参加した。
高村さんは、新聞連載で空海の記録を調べた体験を紹介し、「空海が書いた文字を現代に直接見ることができる。古文書は過去を垣間見るタイムマシンだ」と解説した。また、かつて日本の僧侶が中国で多くの書物を書写して持ち帰った歴史を振り返りながら「日本人は紙に文字を記すことに執着し、保存して豊かな文化を残してきた。だが、最近は紙に文字を記す形が失われている。紙への執着が失われるのは時間の問題だ」と指摘した。
高村さんと前文化庁長官の近藤誠一さん、能楽師の河村晴久さんによる座談会もあった。
【 2015年09月19日 21時45分 】