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原子力規制委員長「専門性高い人材が課題」
9月19日 16時39分

原子力規制委員長「専門性高い人材が課題」
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原子力規制委員会が発足して19日、3年を迎えるに当たり、田中俊一委員長がNHKのインタビューに応じ、原発事故で問われた規制機関の独立性を守るため、原発の審査や検査で電力会社とわたりあえるだけの高い専門性がある人材の育成が急務だという考えを示しました。
原子力規制委員会は、東京電力福島第一原発の事故の反省を踏まえ、電力会社や経済産業省など原発を推進する側から独立した意思決定を組織理念に掲げ3年前に発足しました。
インタビューで田中委員長は発足当時、原子力規制への信頼の回復が最も重要だと述べていたことについて、「一定の信頼は得られてきていると思うが、不十分であり、原発の安全な運転などを通して少しずつ回復させたい」と述べました。
そのうえで、規制委員会を巡り、国会などで「審査が遅い」といった指摘が出されていることについて「いろいろなことを言う人がいるが、審査自体に影響を及ぼすことはないし、あってはならない」と述べて、独立した判断をしてきたという認識を示しました。
その一方で「実務を担う規制庁の職員の数も足りないし一人一人の専門性も十分ではない。中身を充実させて本当に独立した規制組織として育っていくことが今後の課題だ」と述べ、独立性を守るため、原発の審査や検査で電力会社とわたりあえるだけの高い専門性がある人材の育成が急務だという考えを示しました。

事故で問われた独立性

福島第一原発の事故から1年半。3年前の9月に原子力規制委員会は発足しました。
強く求められたのは、「独立性」の確保でした。
国会の事故調査委員会は事故前の規制当局を「事業者のとりことなっていた」と批判。
必要な規制が電力会社の抵抗で先送りされてきたことなどを踏まえ、「推進官庁や電力会社からの独立性は形骸化している」などと厳しく指摘しました。
このため新しい規制委員会は、「何ものにもとらわれず、科学的・技術的な見地から、独立して意思決定を行う」ことを組織理念に掲げました。
その後始まった原発の審査会合では、電力会社に安全対策の見直しを求める場面がたびたびありました。
審査の担当者が電力会社に対し「想定を甘く見ると大変なことになるというのは、原発事故の最大の教訓だ。常に心にとめながら、審査をしている」と諭すこともありました。
国会で「審査の開始からすでに2年がたつが、遅々として進まない」などと指摘されることもありましたが、田中委員長は、「必要な要求をしている」などと理解を求めてきました。
独立性を確保していくうえで、重要とされているのが、専門性の高い人材の育成です。
かつての規制当局は専門性の面で電力会社より劣っていたことが、「事業者の虜」となった原因の1つだと指摘されました。
規制委員会は実務を担う原子力規制庁の職員の専門性を高めるため、原子力安全の研究機関の統合や経験のある技術系の職員の採用を進めてきました。
今後は、国際機関の基準や海外の制度を参考にした人材の育成プログラムの運用を始めることにしています。

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