<時のひと>任天堂の新社長に就任した君島達己さん(65)
7月に急逝した任天堂の岩田聡社長の後任として世界的なゲーム会社を率いる。プログラマー出身で自らゲーム開発の先頭に立った岩田氏と異なり、銀行出身で経営管理に強い実務家だが、「娯楽は他と違うから価値があるという創造の精神を大切にする」と新たなゲームのヒットを誓う。
一橋大法学部卒業後、旧三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行した。米国で7年間の勤務経験があり、任天堂の米国事業強化に生かせると、創業家の故山内溥氏に招かれて2002年に米国任天堂社長に就いた。世界のゲーム市場の半分を占める米国で販売網を確立し、家庭用ゲーム機を爆発的に普及させる立役者となった。
13年に帰国し、常務に就任した。岩田氏からの信頼も厚く、決算発表の記者会見には必ず同席した。岩田氏は自らインターネット上に登場して商品を宣伝したが、君島氏は「向き、不向きがある。自分が画面に出て人気が出るか分からない」と控えめに語る。
高校、大学時代はバレーボール選手。自宅では「孫にゲームで負けると悔しい」と専らスポーツゲームで体を動かし、趣味でもテニスを楽しむ行動派だ。「まじめそうに見えてやんちゃな所もある」と指導力に自信をのぞかせる。
山内氏が大事にしていた「分相応」を胸に刻み、「任天堂をできる範囲内で着実に発展させ、次世代の集団指導体制を確立させたい」と未来を見据える。東京都出身。
【 2015年09月19日 18時59分 】