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2015-09-19

最近のラノベ 最近『アリス・イン・カレイドスピア1』

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

はてなダイアリーの一部で人気を誇るなろう小説『幻想再帰のアリュージョニスト』の作者である最近の商業デビュー作『アリス・イン・カレイドスピア』です。

出版社はやっぱりアリュージョニスト者のTLを見ているとしか思えない星海社です。星海社はアリュージョニスト者と客層が被っているFFSと実在性ミリオンアーサーとコワすぎの本を出すといいと思うよ。

アリュージョニストとは独立した物語だそうですが、設定は共通しており、アリュージョニスト外伝のような立ち位置にあります。

巨大浮遊大陸「地上(天獄)」とその下に位置する「地底(地獄)」、そして地上と地底を繋ぐクソデカい槍“世界槍”が刺さる世界。(アリュージョニストですね。)

「魂」のない“哲学的ゾンビ”たちの地底都市ザドーナと、哲学的ゾンビを“異獣”として絶滅させようとする地上の北辺帝国が戦う世界。(アリュージョニストですね。)

帝国から落ちてきた邪視使いと、ザドーナの指導者アリスの出会い、そして二国の闘いの裏で暗躍する存在との対決を描いたネットバトルファンタジーSFです。(アリュージョニストですね。)

ストーリーはわりとシンプルなのですが、世界観および要所要所のガジェットが複雑怪奇なので「なにがなんだかよくわからない」感覚を味わうこととなります。

「なにがなんだかよくわからなさ」が極まった戦闘シーンは本当に面白い。

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極めてシリアスな戦闘シーンに、突如冗談のような技が出てくるハチャメチャ感がたまらない。『円環少女』の変態魔法に通じるものがありました。

ストーリーのシンプルさゆえに「アリュージョニストの入門編」として書かれたような感じがありますが、無料で読めるぶんむしろアリュージョニストのほうが敷居が低いような気がしました。どこまでも膨大な世界が広がっている興奮がアリュージョニストの魅力の一つなのですが、アリスピではその辺りが妙にこじんまりとしていて残念でした。

また、ラストの展開は「最近のラノベ叩き叩き」に擦り寄っているような気もしました。要するに「高二病にならなくったって、中二病のままで、甘い最近のラノベを楽しんでもいいじゃない」というお話なのですが、最近作品の作風および受容のされ方は前者に近くないですか……?

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