胃がん(7)闘病の現実伝えたい
抗がん剤の副作用で体調は最悪だったが、昨年のクリスマスイブ、8日ぶりに退院した。1月4日の特別番組が迫っていた。「体調が戻るか不安だったが、母が『絶対大丈夫!』と励ましてくれました」
直前に調子が戻り、4か月ぶりの放送に間に合った。やせたのが目立たないよう、スタイリストがおなかに腹巻きを入れてくれた。生放送を無事終えて帰宅すると、両親が玄関で待っていた。3人で「よかった」と抱き合って泣いた。
3月末から毎週月曜という限定だが、夜の番組にキャスターとして復帰した。「平日5日のうち、1回しか出来ないと考えるより、1回出来ると思うようにしています。回数より、長い期間出続けられることが大事だと考えています」
療養のため、7月下旬から番組を休んでいる。通院しながら、再び復帰する日を目指している。
闘病を通し、家族の大切さがわかった。「私も家庭を作りたい。受け入れてくれる人がいれば、ですが」
フリーだったので数年、健康診断を受けていなかった。「若いから、自分の健康を過信していた。人に伝える仕事をしているので、病気にならないとわからないことも伝えていきたい。それが、私が病気になった意味だと思っています」(文・斉藤勝久、写真・藤原健)
報道番組キャスター 黒木 奈々(くろき なな)さん 32
アナウンサーの黒木奈々さんが2015年9月19日、胃がんでお亡くなりになりました。心からご冥福をお祈りいたします。(ヨミドクター)
(2015年9月17日 読売新聞)
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