阿部峻介
2015年9月19日09時55分
認知症の夫を家に残して出かけた直後に火事が起き、延焼した隣家への賠償責任を介護中だった妻(73)が負うべきかが争われた訴訟の控訴審で、大阪高裁の森義之裁判長は「妻に重い過失はない」とする前提で和解を勧告した。18日の和解協議で隣家の住人は200万円の賠償請求を放棄し、和解が成立した。
5月の一審・大阪地裁判決は、夫婦の助け合いを義務づけた民法の規定を踏まえ、妻に「重い過失」があったとして隣家修繕費の一部43万円の支払いを命じた。訴訟前、隣家に100万円を払っていた妻は納得できず控訴。高裁は、妻に新たな金銭負担をさせない形での決着を勧めていた。
和解後、妻は「夫を残して出かけた後悔は今も消えないが、一審の『重い過失』という認定はどうしても納得できなかった。和解を勧めてくれた高裁に感謝したい」と話した。(阿部峻介)
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朝日新聞社会部
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