2015年9月19日05時01分
一体、自分たちはどこに連れていかれるのか、というどうしようもない不安。ちょっと待って、少し立ち止まって考えようよ――。それが安全保障法案に対する多くの人の気持ちだったのではないか。
憲法解釈を都合よく変えて法制化に突き進むのは立憲主義の否定ではないか、国民の安全を本当に守ることになるのか。私たちは法案の問題点を指摘し、不安にこたえる説明と合意形成の丁寧なプロセスを安倍政権に求めてきた。
しかし、国会審議での安倍政権の姿は熟議の民主主義とは逆だった。法的安定性を否定する発言があった。首相自ら質問者にヤジを飛ばし、正面から向き合わない答弁に終始した。
この間、選挙以外の回路で民意をあらわすカウンターデモクラシーともいえる新たな動きが芽生えた。個人が自主的に参加し、若い人も含めた幅広い層を巻き込んだ。背景には憲法と民主主義を軽んじるリーダーがひきいる政権と与党に対する増幅された不信と疑念がある。こうした「声」が政治にとどかないもどかしさは批判となって私たちメディアにも向けられた。
そしてこの日、国会を大勢の人たちが取り囲む中、私たちの問いかけや国民の反対と懸念の声を無視する形で成立にむけて進んでいった。
民意に背を向けた政権のもとで生まれた法律と、政治に対して増幅する不信にどう向き合えばいいのか。
憲法に抵触する疑いが強い法制だ。成立してもなおその是非を問い続けることは言うまでもない。
自衛隊の活動を大きく広げる法制を政権がどう行使しようとしているのか。軍事的な面だけに偏らない政策の判断と選択ができるのか。安全保障政策のあり方を厳しくチェックすることが重要だ。
憲法と民主主義が問われた日だ。日本社会が転換点にさしかかった今、この日の意味を改めて問い直したい。そして、国会の外の人々の声にも耳を傾けながら、私たちは権力と向き合っていく。
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞官邸クラブ
PR比べてお得!