松きのこ 人気呼ぶ 「青空きのこ園」が人工栽培 [福岡県]
マツタケに似た香りや食感を楽しめる新種のキノコ「松きのこ」の人工栽培に、嘉麻市貞月の「青空きのこ園」(白石哲也代表)が取り組んでいる。生で食べてもおいしいのが特徴。生産量はまだ少なく、販売は筑豊地区の数店舗のみ。店頭に並べば時を置かずに完売する人気で、新たな食材として話題になっている。
松きのこは20年ほど前、マツタケ菌とシイタケ菌を使ったマツタケの人工栽培の研究過程で生まれた。豊かな香りと歯応えはマツタケ、深い味わいはシイタケ。それぞれの長所を引き継いでおり、価格は90グラム(5本程度)で500円(税別)と、マツタケと比べかなり安い。
久留米市で仏壇・墓石販売修理業を営んでいた白石代表は、人づてに松きのこの存在を知り、唯一菌床を作っている広島県のきのこ園と直談判。熱意が通じて菌床を譲り受け、昨春、試験栽培を開始した。仏壇墓石業をやめ今年2月に青空きのこ園を開き、6月から販売を始めた。嘉麻市での開園の決め手は、栽培に不可欠な良質の地下水が採れることだったという。
現在九州で松きのこを生産しているのは、青空きのこ園を含め2カ所。同園は年間約10トン(1万2千床)の生産能力があり九州最大だが、将来は330トン(40万床)程度まで拡大する計画という。
白石さんは「無農薬、無菌栽培の安全でヘルシーな新しいキノコ。全国でも作っているのは7カ所で、嘉麻の新たな特産品となるポテンシャルがある」と話している。
販売は道の駅うすい(嘉麻市上臼井)、スーパーASO新飯塚店(飯塚市芳雄町)など。
=2015/09/19付 西日本新聞朝刊=