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日本に住む外国人の数と中味の変化を見てみる

外国人が日本に住む(3か月を超えて「在留」する)には在留許可を受ける必要があります。在留許可を受けると「在留カード」が交付され住民登録されます。法務省【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】から、2006年以降の詳しいデータを入手することができます。

在留許可を受けるには在留資格要件を満たすことが必要です。2014年12月末現在、日本国内に在留している外国人の総数は2,476,103人でした。そのうち、3か月以内に出国する条件で入国し在留している「短期在留者」は336,169人で、3ヶ月を超えて在留する許可を受けて在留している外国人は2,139,934人でした(以下ではこれを「長期在留者」と呼ぶことにしますがこれは公式の用語ではありません。一時出国中の在留許可者もいますからこれを使うことにします。)。在留許可を受けられる資格要件はいろいろありますが、2014年12月末現在の主な在留資格別の在留者数をグラフにしてみました。

在留資格別2014年12月 S.jpg
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一番右の、「特別永住者」358,409人「永住者」677,019人「定住者」159,596人「日本人の配偶者」145,312人「永住者の配偶者」27,066人の合計1,367,402人を、以下では「永住者等」と呼ぶことにし、それ以外の「長期在留者」772,532人を「永住者等以外の長期在留者」と呼ぶことにします。「永住者等以外の長期在留者」の主な資格別在留者数は、「留学」214,539人「技能実習」167,641人「家族滞在」126,005人「人文知識・国際業務」76,908人「技術」45,900人「技能」33,378人「特定活動」28,977人「企業内転勤」15,408人で、残りの「その他の資格」で在留する人は63,776人でした。

留学」資格の在留者は、大学の学部や大学院だけでなく日本語学校や専門学校で学ぶ外国人も含むので、他の経済先進諸国に比べるとまだまだ少ない印象を受けます。また、海外、とりわけアジア諸国で暮らす「永住者以外の在留日本人」の在留理由で最も大きかったのは日本の「民間企業」の海外拠点で働くことでしたが、それに比べると外国企業の「企業内転勤」で日本に来て働いている外国人は著しく少ない印象を受けます。

さて、以上の概観を踏まえて、もう少し詳しく中味を見ていきたいと思います。まず、2006年から2014年までの9年間の「長期在留者」数の推移を「永住者等」と「永住者等以外の長期在留者」に分けて見てみます。

長期在留者数推移2006-2014 S.jpg
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まず驚くのは、「長期在留者」の総数は2百万人を少し超える水準であまり増加していないことです。近年日本で暮らす外国人が増えてきたという感じを持つ人は少なくないと思いますが、事実はそうではないようです。日本の人口は日本国内に居住する人の数ですから、外国籍在留者も含まれます。少なくともこれまでは「長期在留者」の数は日本の人口減少を緩和する方向に動いてきてはいないことが分かります。その原因のひとつは「永住者等」が2008年をピークに少しずつ減少してきているためです。

そこで次に、「永住者等」の資格別在留者数の推移を見てみます。

永住者等の在留資格別在留者数推移2006-2014 S.jpg
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「永住者」と「永住者の配偶者」は一貫して増加していますが、「特別永住者」「定住者」「日本人の配偶者」は減少を続けています。そのため、「永住者等」全体は2008年をピークに減少が続いています。「永住者」「特別永住者」「定住者」の資格要件は厳密に決められていますが、分かりにくいので、2014年12月末現在の「長期在留者」の国籍別構成比率を合わせて見ていくことにします。

在留資格国籍別構成別2014年12月 S.jpg
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特別永住者」は、終戦後に旧日本領土に新たに生まれた国に「帰国」できなかった(あるいは帰国しなかった)人たちで、新たな母国における内乱・戦争やそれによる窮乏などに伴って発生した「難民」だったと考えることができます。99%が「韓国・朝鮮」なのは、朝鮮半島の内乱・戦争が激しかった上に新しい国が南北に分断されて生まれてしまったためです。したがって、政府の統計も「韓国・朝鮮」としていて、「韓国」と「北朝鮮」の内訳数を公開していません。直系の子孫以外に新たな資格付与は行われないので、子孫の日本国籍への「帰化」や死亡などによって一貫して減少が続いています。

日本人の配偶者等」は、過去の一時期に嫁不足の農村などに外国人花嫁を斡旋する事業が盛んに行われた結果として、国籍は「中国」「フィリピン」の比率が高くなっています。しかし、近年は<在留期間無期限>の「永住者」に移行する人が新たな許可数を上回って、一貫して減少が続いています。

定住者」は、①日系人(日本から移民した人の子孫)とその配偶者、②「定住者」の実子、③日本人・「永住者」の配偶者の実子の連れ子、④日本人・「永住者」・「定住者」の6歳未満の養子、⑤中国残留邦人とその親族などで、<在留期間は3年または1年の有期限>とされています。国籍は、①と②で「ブラジル」「ペルー」、②と③で「フィリピン」「中国」、⑤で「中国」の割合が多くなっています。やはり、近年は<在留期間無期限>の「永住者」に移行する人が新たな許可数を上回って、一貫して減少が続いています。

永住者」は、「特別永住者」以外の一般的な永住許可者で、<在留期間無期限>です。概ね10年以上日本に在留しているなどの要件があるので、基本的に「定住者」など他の在留資格を経た人が「永住許可」を申請することができます。したがって、国籍は「中国」「フィリピン」「ブラジル」「ペルー」が多く、一貫して増加を続けています。しかし、すでにみたように、「定住者等」全体では2008年をピークに減少に転じています。

なお、「定住者等」の減少要因には「帰化」すなわち日本国籍の取得があります。帰化許可申請者数等の推移も法務省が公開しています。それもグラフにしてみました。

帰化者数推移 S.jpg
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過去10年間の趨勢として、「帰化者」は15千人/年水準から10千人/年以下の水準に減少してきています。「不許可」数が著しく増加しているわけではないので、帰化申請者数が減少していることが分かります。

「韓国・朝鮮」の太宗は「特別永住者」の子孫と考えられ、「特別永住者」の出生数の減少によって帰化申請者数が減少していると推定されます。「韓国・朝鮮」以外の「帰化者」の太宗は「中国」が占めていて、こちらも趨勢として減少傾向にありますが理由は分かりません。これらによって、「永住者等」のうち「中国」に次いで多くを占める「フィリピン」「ブラジル」「ペルー」の帰化申請者は非常に少ないことが分かります。これらの国々の「永住者」は、言葉や生活習慣などの違いによってなかなか日本社会に溶け込めきれず、いずれは母国に帰りたいと考える人が多いためかもしれません。

ここまで見てくると、将来の「長期在留者」の増加は、「永住者等以外の長期在留者」の増加、すなわち新たに日本に住み始める外国人の受け入れ増加にかかってきます。そこで、「永住者等以外の長期在留者」の資格別在留者数の推移を見てみます。

永住者等以外の長期在留者の在留資格別在留者数推移2006-2014 S.jpg
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留学・就学」は、最も多く、また日本社会に順応するのに最も良い入り方であると考えられます。順調に拡大してきましたが、2011年の東日本大震災(に伴う原発事故)の影響で減少し、ようやく過去ピークを超える水準に回復しました。2014年の国籍別受け入れ数は、「中国」「ベトナム」「ネパール」「韓国」の順となっており、「中国」「韓国」はいまだに過去ピークに回復していませんが、「ベトナム」「ネパール」が大幅に増加しているので、全体を僅かに押し上げています。

技能実習」は、最低賃金以下の低賃金で単純労働力を確保するなどの制度目的から逸脱した違法な運用実態が生じたり、リーマンショック不況で受け入れが減ったりしましたが、制度の改善などによって大幅に増加しています。この制度を使った「インドネシア」「フィリピン」「ベトナム」からの看護師・介護福祉士候補者の受入れなどが国籍別の構成に反映しています。

さて、「その他」は、さまざまな資格要件に分かれていますが、これはさまざまな形で日本で働く(あるいは活動する)外国人という理解ができます。2009年末をピークに大きく落ち込んで2012年末にボトムを付けて反転していますが、あまり大きな回復にはなっていません。これは2011年の東日本大震災(による原発事故)で日本を離れた外国人があまり戻ってきていないためではないかと推定されます。これによって、「永住者等以外の長期在留者」全体も2009年末をピークに減少し、2012年をボトムにようやく上昇に転じるという状況になっています。

以上、日本に住む外国人の数と中味の変化を統計数値によって見てきました。日本の人口減少本格化が経済社会の成長発展の桎梏となっていると考えたり、現に労働力の不足に直面していたりする立場からは、外国人の受け入れをより積極的に拡大するべきだという意見や要望があります。在留外国人統計の中にも、拡大のために行われてきた政策の結果が反映されている部分があります。しかし、日本社会の発展に貢献し日本社会にうまく溶け込める外国人の受け入れだけを上手く拡大するというのはそう簡単ではなく、都合良いことばかりでは済みません。生じる問題をできるだけ小さくするための経験を蓄積して、受け入れプログラムの制度や運用の不断の改善を図っていく必要がありますが、他の経済先進諸国に比べると日本の経験はまだ著しく少ないことは間違いありません。

<参考1>
法務省 報道発表資料「第6次出入国管理政策懇談会報告書「今後の出入国管理行政の在り方」等について」

<参考2>
「在留カード」および「特別永住者証明書」の見本

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