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就任1年目でパ最速Vを成し遂げたソフトバンク工藤監督は名将か

THE PAGE 9月18日(金)14時0分配信

 ソフトバンクの工藤監督は、合計9度、宙に舞った。「くどう」にちなんで洒落た9度。
9月17日、ヤフオクドームで西武を3−5で下し、2年連続19度目のリーグ優勝(1リーグ時代含む)を決めた。貯金「47」の圧勝で、9月17日での優勝決定は、過去に9月19日に決めていた1964年の南海、1995年オリックスよりも2日早いパ・リーグ最速(ちなみにセ・リーグでは、1990年に巨人が9月8日に優勝している)だ。

 シーズン序盤にバンデンハークが2軍に置かれていたほど、圧倒的な戦力層が工藤ソフトバンクの優勝の要因だと指摘する他球団の関係者や評論家が多いが、果たして誰が監督でも勝てたのだろうか。

 ソフトバンクのカバーしてきたダイエーOBで評論家の池田親興さんは、「工藤監督だからこそ、これだけ2位に差をつけて勝てたと思う。その理由のひとつに固定観念を打ち破ったことにある」と見ている。

「去年優勝したチームの4番はイ・デホだった。そこを内川へ変えていく発想は、固定観念があればできなかった。キャンプで工藤監督は『やろうと思えば何でもできる。固定観念を外して、みんなの能力を引き出す』と選手に語ったが、それが、打順の3、4、5、6番の固定と、1、2、7、8、9番を流動的に変えるという起用につながった」

 長打タイプではなく、率を追うタイプの内川を4番に据え、3番・柳田、4番内川、5番・イデホ、6番松田を固定した。故障者がいたこともあったが、1、2、7、8、9番は、流動的に調子や相性などを見極めながら、最後は、監督の感性で決めた。そのパターンは、90通りを越えた。3番の柳田が、打率.366,32本、30盗塁と、トリプルスリーを確定。ヤクオクドームの改造されたホームランテラスの効用もあって、この4人で計100発以上を打った。

 中村は1、2、6.7番を打った。守備も一塁、右翼、左翼と守った。「いろんなことを経験させてもらった。6,7番を打つとは思っていなかったが、打席にはいったら考えすぎずに相手バッテリーと勝負した」と、中村は言うが、得点圏打率.375、出塁率.382と、チャンスメイクと、クラッチヒッターの両方をこなした。

 ヘッドコーチをおかず、ピッチャー目線で戦術を練るのも、工藤監督の脱・固定観念だろう。1、2、7、8、9番を決める際の打者の調子を知る材料として、試合前に投げている打撃投手からメモをもらい参考にしていたという。

 また「抜擢」というキーワードも工藤采配の象徴。8月25日のロッテ戦では、20歳の上林を起用、いきなり逆転満塁本塁打デビューを果たしたが、「ああいう起用は、他の監督ではできないだろう。下の報告を信頼したことと、工藤監督の勝負勘」と池田氏。工藤監督は、時間さえあれば、2軍の試合だけでなく3軍の試合まで足を運ぶ。そして一軍昇格させると、即起用する。
「モチベーションが重要」という工藤監督の起用哲学である。

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最終更新:9月19日(土)3時24分

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