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【プロ野球】

ソフトバンク パ史上最速V 工藤監督 舞った

2015年9月18日 紙面から

◇ソフトバンク5−3西武

リーグを制覇し、胴上げされるソフトバンク・工藤監督=福岡ヤフオクドームで(西岡正撮影)

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 黄金時代到来だ。ソフトバンクが17日の西武戦で5−3で勝ち、パ・リーグ史上最速で通算17度目(1リーグ時代を除く)の優勝を決めた。8月5日に福岡移転後最速で点灯させたマジックを一度も消さず、85勝目での独走ゴール。就任1年目の工藤公康監督(52)は、前年Vチームを率いて29年ぶりの連覇を飾った。

      ◇

 両手を広げ、9度、宙を舞った。現役時代に14度のリーグ優勝、11度の日本一を経験した「優勝請負人」は、監督として初の頂点に「心のどこかでホッとしている」と頬を緩めた。パ・リーグ最速でのゴール。「いつか福岡で恩返しをと思っていた。最高。こんな幸せなことはない」と感謝の笑みを振りまいた。

 選手起用に“色”が出ていた。強さを生み出したのは「準レギュラー」といえる選手たちの存在だ。活躍しても、相手投手との相性など条件に合わなければ、次の試合はベンチスタート。選手からは不満も漏れたが信念は揺らがなかった。「人間、何があれば一番動くと思う? 怒りだよ。他の選手が活躍したら、何くそ、ってなる。そういう思いが大きなエネルギーを生む」。チーム内の競争を活性化させ、戦う集団に仕立て上げた。

 それを可能にした真の意味での強さが、核の選手が「準レギュラー」の壁となり続けたことだった。中軸の柳田、李大浩、松田は競うように本塁打を量産。中村晃、今宮らが脇を固め、「内川だから指名した」という主将の4番は苦しみながらも役割を果たした。自由奔放に見えて、緻密な采配。指導者経験はなかったが、研究を重ねて12球団屈指の戦力を操った。

 優勝へ加速していた8月末。本拠地の監督室に怒声が響いた。椅子を蹴り上げ、弱気な投球を見せた若手投手を怒鳴り散らした。「野球をなめてんじゃねえのか。そんなに甘い世界ではない」。選手の活躍を優しく見守るベンチの姿とは正反対。厳しい世界で29年間も現役を続けたからこそ、妥協は許さなかった。

 春季キャンプ後に休んだのは3日だけ。大好きなゴルフも封印した。内臓への負担を減らすためドクダミ茶などを注いだ水筒を球場に持参し、自宅を出る前にはマグネシウム入りの風呂に漬かった。王貞治球団会長、秋山幸二前監督、そして自らに渡ったバトン。大切につないだ新監督は「これで終わりじゃない」と球団初の連続日本一を見据えた。 (石田泰隆)

 

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