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 自衛隊の武器では安全は守れない。日本への反感を招くだけだ――。参院特別委員会で可決された安保関連法案について、海外で国際協力に取り組むNGOの間に懸念が強まっている。団体の枠を超えたネットワークも生まれている。

■中村哲医師「支援活動ストップも」

 「紛争相手に軍事同盟と見なされ、日本や海外の日本人がテロの標的になる可能性が高まる」

 アフガニスタンで支援活動をするNGO「ペシャワール会」(福岡市)現地代表で医師の中村哲さん(69)は、安保法案で自衛隊が戦闘中の他国軍に対し、可能になる「後方支援」を挙げ、そう指摘した。

 同会は1980年代から医療支援を始め、2000年に水利事業に乗り出した。干ばつで清潔な水が不足し、感染症が急増したためで、約1600カ所の井戸を掘った。

 03年からは用水路も建設。3千ヘクタール以上の農地をよみがえらせ、約16万人の帰農を支援したという。

 中村さんが懸念するのは後方支援だけではない。法案が成立すれば、海外のNGOが武装集団に襲われた際に助けに向かう「駆けつけ警護」も可能になる。だが、中村さんは「かえって危険が増す」とみる。