時代の正体〈88〉知らんぷりできない

辺野古新基地建設考(4)

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米軍普天間飛行場に代わる新基地建設反対を訴える山城博治さん=4月17日、沖縄県名護市

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 東京に戻り1カ月。罪悪感は深まる。「沖縄にいるとき、運動に参加している人たちは『基地は絶対なくなる』『この闘いは絶対に勝つ』などと熱く語っていて、私もそう思った。でも一人になったいま、何もしていない」

 大学の友人とのおしゃべりで沖縄のことに触れることはない。「話しても『どうせ、分かってもらえないだろうな』と思い、当たり障りのない会話をしている」

 そうした諦めもしかし、言い訳のような気がする。都内で会った沖縄出身の女性に「基地はなくなると思う?」と聞かれ、返事に詰まった。

 「基地はなくなるはずだとどうして思うのか、明確な答えを持っていない。今聞かれても『現地で反対運動を頑張っている人がいるから』ということしか思い浮かばない。感情論で説得力がない」

 考えるのが面倒と思うときもある。「沖縄から帰ってきて、忘れようと何度もしている」。でも、それをとがめる自分がいる。「忘れたくても忘れられない。知ってしまった以上、もう知らんぷりできない。後ろめたさを感じて生きることの方が苦しい」

 沖縄を離れるとき、口々に言われた。

 「来てくれて、ありがとう」

 嫌だった。「自分が沖縄の人間だったら、『ありがとう』などとは言われない。『これからも一緒に頑張ろう』と声を掛けられると思う」

 次は夏休みに辺野古へ行く。知った者として止まったままの一歩を踏み出すためにも。

 =おわり

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