東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

中国潜水艦を日米で監視 沖縄拠点に太平洋カバー

海自沖縄海洋観測所(上)から、海中に延びる潜水艦音響監視システムとみられる2本のケーブルの埋設痕(矢印)=8日、沖縄県うるま市で(小型無人機から)

写真

 海洋進出を強める中国海軍対策で海上自衛隊と米海軍が、沖縄を拠点に南西諸島の太平洋側を広範囲にカバーする最新型潜水艦音響監視システム(SOSUS)を敷設、日米一体で運用していることが防衛省、海自への取材で分かった。

 東シナ海、黄海から太平洋に出る中国潜水艦を探知可能。冷戦時代、日米が津軽、対馬海峡に旧ソ連潜水艦監視用の旧型SOSUSを設置したことは判明していたが、対中国にシフトした新システムの存在が明らかになったのは初めて。

 台湾海峡有事などで探知情報が米軍の武力行使に直接活用される懸念があるが、集団的自衛権行使容認をめぐる安全保障関連法案の国会審議でこうした「情報と武力行使」の関係はほとんど議論されていない。

 防衛省海上幕僚監部は最新型SOSUSの存在について「回答は差し控える」としている。

 複数の防衛省、海自幹部らによると、SOSUSは海底にケーブルを敷設して、水中聴音機などで潜水艦が出す音響や磁気データを収集、動向を監視するシステム。最新型は米国が開発。低い周波数も捉えることができ、旧型よりはるかに遠方の音響も収集できるという。

 太平洋の最新型SOSUSは、沖縄県うるま市の米海軍ホワイトビーチ基地内にある海自沖縄海洋観測所が拠点で、ここから海底に二本のケーブルが出ており、一本は九州南部、もう一本は台湾沖までのそれぞれ延長数百キロとされる。水中聴音機などを数十キロおきに設置している。

 同観測所では、潜水艦のソナー(音波探知機)要員出身などの海自隊員と米海軍の軍人、軍属が勤務し、収集した情報は完全に共有しているという。

 海自下北海洋観測所(青森県東通村)から北海道東部沖までの一本も運用されており、主にロシア潜水艦の動向を監視しているとされている。

 最新型SOSUSは「日米安保体制の最高機密」とされ、敷設の時期などは不明。海自は首相、防衛相ら十数ポストの要人だけに概要を説明しているという。

 中国海軍も日米などの潜水艦監視を強化しており、複数の軍幹部によると、「反潜網」と呼ばれるシステムを青島、上海などの海軍基地、重要港湾を中心に東シナ海や黄海に敷設している。 (共同)

 

この記事を印刷する

PR情報