安保法案:19日未明にも成立へ 平和国家・日本の転換点

毎日新聞 2015年09月18日 22時01分(最終更新 09月19日 01時01分)

衆院本会議で内閣不信任決議案が否決され、本会議場を後にする安倍晋三首相=国会内で2015年9月18日午後8時、丸山博撮影
衆院本会議で内閣不信任決議案が否決され、本会議場を後にする安倍晋三首相=国会内で2015年9月18日午後8時、丸山博撮影

 集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案は19日未明にも、参院本会議で採決が行われる。自民、公明、日本を元気にする会、次世代、新党改革の5党などの賛成多数で可決、成立する見通し。民主、共産、維新、社民、生活の野党5党は採決に徹底抗戦を続け、衆院本会議に内閣不信任決議案を提出したが、賛成少数で否決された。関連法案が成立すれば、平和国家として歩んできた戦後日本の大きな転換点となる。

 野党5党は18日午後、衆院に内閣不信任決議案を提出。自民党の谷垣禎一幹事長は党会合で、「最後の山場だ。粛々と内閣不信任決議案を否決すれば、あとは参院がきちんと仕上げてくれる」と語った。

 午後4時半からの衆院本会議では、民主党の枝野幸男幹事長が内閣不信任案の趣旨説明を行い、「安倍政権の安保法制は、戦争への深い反省に基づく民主主義と立憲主義、そして平和主義と専守防衛に基づく戦後の安全保障政策を転換し、破壊するものだ」と約1時間45分にわたり訴えた。

 討論では、同党の岡田克也代表が「安倍内閣の集団的自衛権の行使容認は憲法違反以外の何ものでもない。即刻退陣すべきだ」と強調。共産党の志位和夫委員長も「国会前や全国で反対運動が広がっている。国民の声を聞こうとしない者に未来はない。戦争法案の廃案を求める」と主張した。

 一方、自民党の棚橋泰文幹事長代理は「国民から高い支持を頂きながら、政権運営を進めている。不信任案提出は国民の声を無視した極めて横暴な行為だ」と野党を批判。その後、採決が行われ、同8時ごろ与党などの反対多数で否決された。

 これを受け、参院本会議では、民主党が同日午後に提出した参院平和安全法制特別委員会の鴻池祥肇(よしただ)委員長(自民)の問責決議案の討論と採決が行われ、賛成少数で否決された。関連法案の討論と採決は19日未明にずれ込んだ。

 参院本会議は17日午後8時過ぎに開会したが、関連法案の採決に先立ち、民主党は中谷元(げん)防衛相への問責決議案などを提出して対抗したため、政府・与党が目指した18日中の成立は遅れた。

 国会審議を通じて、与党は「日本を取り巻く安全保障環境が変化した」として法整備の必要性を訴えた。これに対し、野党は「法案は憲法違反で立憲主義に反する」「集団的自衛権を行使できる基準があいまい」などとして廃案にするよう求めた。

 安保関連法案は集団的自衛権の限定的な行使を容認することが柱。武力を行使する他国軍を支援するための「国際平和支援法案」と、既存の10法を一括して改正する「平和安全法制整備法案」の2本からなる。10法には、「存立危機事態」の場合に集団的自衛権を行使できるようにする武力攻撃事態法改正案、米軍以外にも後方支援を広げる重要影響事態法案などが含まれる。【野口武則】

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