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 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設で、整備主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は18日、工期短縮のために設計から施工までを一括で発注する方式での事業者の公募を締め切った。

 談合防止を理由にJSCは応募状況を公表していないが、関係者によると、大手建設会社では、大成建設が建築家の隈(くま)研吾氏や梓設計と組んで手を挙げ、竹中工務店、清水建設、大林組の共同企業体(JV)は建築家の伊東豊雄氏と日本設計とのチームで応募した。

 白紙撤回された旧計画でデザインを手がけた建築家のザハ・ハディド氏は日建設計と組んで施工業者を探したが、見つからず断念。ハディド氏の事務所は18日、「(旧計画の)設計のために費やした2年間の取り組みがこの先、生かされないことになり残念だ」などとするコメントを発表した。17日には、設計・施工一体型の今回の公募法を、「建設ができる施工業者が限られており、参加を望む多くの建築家を制限している」と批判していた。これに対し文部科学省幹部は18日、「工期に間に合わせるためには仕方ない。白紙撤回を決めたのは(安倍晋三首相で)我々ではないので、言われてもどうしようもない」と話した。

 新計画の総工費の上限は1550億円。工期は20年4月までだが、国際オリンピック委員会(IOC)が求める同年1月の完成を目指す。JSCは11月16日までに各チームから技術提案書を受け取る。提案を項目ごとに点数化して140点満点で審査するが、半分の70点を「コスト・工期」の項目が占め、デザインよりも実現可能性を重視。12月末には事業者を選ぶ。