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【政治】

デモ後押し 粘る野党 成立阻止へ全力

安保関連法案が強行採決され、与党と一部野党の賛成多数で可決された参院特別委=17日午後、国会で

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 安保関連法案に反対する野党は十六、十七両日、成立阻止に向けて徹底抗戦を続けた。野党を後押ししたのは降り続く雨の中、昼夜を問わず国会前に集まったデモ隊の存在だ。抗議の掛け声は、国会の中に届いていた。 (新開浩)

◆午前2時 「頑張れ」連呼

 十七日午前二時ごろ、安保法案に関する参院特別委員会を行っている部屋の前の廊下で、強行採決の阻止行動を続けていた民主党の参院議員は「デモ隊が頑張っているのに、後に引くわけにはいかない」と表情を引き締めた。委員会室は、デモ隊が集まっている国会正門前の路上から約三百メートル。「頑張れ野党」「負けるな野党」の連呼がはっきり聞き取れた。

 民主などの野党が抵抗を始めたのは十六日夕。与党は特別委で採決に向け締めくくり質疑を強行しようとしていた。数十人の野党議員が委員会室と直近の理事会室前に詰め掛け、鴻池祥肇(こうのいけよしただ)委員長(自民)の出入りを阻んだ。

 午後十時ごろ、山崎正昭参院議長の指示で、数十人の衛視が野党議員をどかせようとした。衛視は人垣を組んで、鴻池氏の通路の確保を試みたが、野党議員は「暴力反対」などと叫んで抵抗し、衛視ともみ合いになった。鴻池氏は委員会室に入らなかった。

 現場にいた民主党の郡和子衆院議員は「外では土砂降りの中でデモ隊が頑張っている」と同僚議員を励ました。芝博一参院議員は「デモ隊も委員会を開けない国会内の状況が分かっているから、すごい勢いだ」と、意を強くした。

◆午前4時 太鼓やまず

 与野党のにらみ合いは続き、息苦しい緊迫は十七日未明にもつれ込んだ。鴻池氏は午前三時半すぎに「休戦」を宣言。午前八時五十分の理事会再開を決めた。与野党議員が現場を後にした午前四時すぎも、デモ隊の太鼓は鳴りやんでいなかった。

 一夜明けた十七日午前、議事を強行しようとした鴻池氏に対し、野党は不信任動議を提出した。午後、民主党の福山哲郎氏は趣旨説明で、学生グループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」中心メンバーの明治学院大学四年、奥田愛基(あき)氏(23)が十五日の中央公聴会で述べた意見を朗読しつつ、四十五分にわたり演説をした。

 動議の否決直後、待機していた鴻池氏が入室。続いて安倍晋三首相らが着席した途端、自民党議員が委員長席を守るように立ちはだかり、気付いた野党議員は委員長席に駆け寄った。何人もの議員が馬乗りになるなどして、もみくちゃに。野党議員は「無効だ、無効だ」と叫び続けたが、佐藤正久議員(自民)の合図で与党議員らが立ち上がり、安保法案は可決された。

 だが、民主党幹部は「これだけ世論に押され、直結した国会は久しぶりだ」と強調。十七日夜、国会周辺でデモをしている人たちからは「フレー、フレー、福山」などと野党議員の名の連呼がわき上がった。

 

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