東証:乱高下 終値は733円安の1万7806円
毎日新聞 2015年08月25日 12時22分(最終更新 08月25日 22時30分)
◇午前終値は204円高の1万8744円
25日の東京株式市場は、中国経済の減速懸念に端を発した世界同時株安の流れを受け、全面安で取引が始まった。日経平均株価の下げ幅は一時700円を超え、2月17日以来、約半年ぶりに1万8000円を割り込んだ。上海株式市場も、代表的な指数である上海総合指数が下落して取引が始まり、下落率は一時6%を超えた。ただ、中国人民銀行による金融機関への資金供給の情報が伝わると、日経平均株価は下げ幅を急速に縮小、一時300円近い上昇に転じるなど乱高下した。25日午前の終値は、前日終値比204円22銭高い1万8744円90銭だったが、午後に入って値を下げ前日比733円98銭安の1万7806円70銭で引けた。
25日の東京市場は、前日のアジアや欧米株式市場の株価下落を受けて売りが先行した。円高で輸出の採算悪化が懸念されるトヨタ自動車やマツダのほか、中国の景気減速で鉄鋼の需要が落ち込むとの思惑から、新日鉄住金やJFEホールディングスなどが一時、今年の最安値を更新した。しかし、「さすがに売られすぎで割安感が出てきた」(大手証券)ことから買い戻しが優勢となり、いずれの銘柄もプラスに転じた。日経平均株価の高値と安値の差が1087円と荒い値動きが続いた。
一方、東京外国為替市場では、リスク回避ムードがいったん和らいだことから、安全な資産とされる円を売る動きが強まり、円相場は一時、1ドル=120円台をつけた。
上海株式市場でも、一時6%を超えた総合指数の下落率が徐々に縮小している。市場では、政府系金融機関による買い注文が入ったとの臆測が広がり、「当局も心理的な節目である3000を割り込む事態は避けるのでは」(市場関係者)との見方も出ている。
前日のニューヨーク株式市場は、世界同時株安の流れを引き継ぎ急落。ダウ工業株30種平均の終値は、前日比588・40ドル安の1万5871・35ドルと、昨年2月中旬以来、約1年半ぶりの水準まで下落した。下落幅は2011年8月8日(634・76ドル)以来、約4年ぶりの大きさとなった。
市場では、27〜29日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれる年次シンポジウムへの関心が高まっている。野村証券の元村正樹ストラテジストは「米当局高官の発言で、米国が9月利上げを見送ることが示唆されれば、市場の不安感が薄れて連鎖株安が止まるきっかけになり得る」と指摘する。【鈴木一也、ワシントン清水憲司、北京・井出晋平】