花燃ゆ(36)「高杉晋作の遺言」仰天!夫の秘密を知り天命を 2015.09.12


(晋作)明かり目がけ撃て〜!日本の未来を懸けた長州と幕府との戦いが始まった。
高杉晋作らが幕府軍を撃破したそのころ美和は…。
(都美姫)そなたを中臈に任ずる事に致す。
そして家名断絶となっていた久坂家。
再興せよとのお許しを得た。
そして将軍家茂の死去をきっかけに幕府との戦いは休戦となった。
(美和)こねぇに大きゅう育って。
早速興丸様に召し上がって頂かんと。
(利助)小田村様ようございました。
捕らわれたと聞いた時はどうなる事かと。
(伊之助)このとおり無事じゃ。
心配かけてすまんかったな。
(利助)幕府軍に勝てたんは小田村様が幕府軍の足並みを乱してくれたおかげです。
まだ幕府軍に勝った訳ではない。
将軍死去による休戦じゃ。
次なる戦に備える時じゃ。
殿様や元徳様にはご挨拶を済ませてきたが奥方様たちのご様子はどうじゃ?興丸様は?ええ。
何もお変わりないとの事。
興丸様もすくすくとお育ちだそうでこれも美和さんが守り役としておそばでお仕えしちょるおかげです。
じゃがちいと毛色の変わったお育て方やとか。
そうか。
さあ興丸様。
こちらも召し上がってみて下さいませ。
この美和が作った野菜です。
しっかりと日の光を浴び大層おいしゅうございますよ。
興丸様。
(興丸)母上!
(銀姫)どうした?興丸。
今お庭で取れたお野菜を召し上がって頂こうと。
興丸は野菜は好かぬ。
ですが体にはよいものでございます。
食べとうない。
興丸様…。
よい。
食べなくとも。
ものはおいしく食べてこそ身につくもの。
おそれながら。
好き嫌いを申されていては強い体は作れませぬ。
子育てに肝心なのはまず丈夫なお体におなり頂く事かと。
母となった事もないお前に言われたくはない。
(潮)いかにも!姫様の仰せのとおり。
興丸様。
この潮が興丸様のご好物のお料理に今すぐ作り直させますゆえ。
はあ〜おかわいそうに。
美和でも守り役となると難儀なようじゃのう。
(園山)やはりなかなかにしぶとうございますな。
美和は人一倍情が深い。
守り役であっても母親ではない。
それを忘れぬようにせぬとな。
おっしゃるとおりで。
どうかなされましたか?元徳殿は私どもの養子。
実の母とはどういうものかと思うてのう。
御前様…。
そのころ下関では奇兵隊が勝利を祝っていた。
(中原)奇兵隊の士気の高さに恐れをなして逃げ出したんじゃ!
(八兵衛)百姓あがりのわしらが幕府の侍に勝ったんじゃ!
(熊七)高杉様のおかげじゃ。
(山県)そうじゃ。
幕府の軍艦を沈めた高杉さんの活躍は見事じゃった。
いや。
お前たちが命を懸けて戦うてくれたからこそ勝てたんじゃ。
これはお前たちへの祝杯じゃ。
(一同)お〜!
(靖)高杉さん。
このままの勢いで江戸まで攻め上りましょう。
(前原)ところでいかがです?体の方は。
俺はこのとおり不死身よ。
(せきこみ)高杉さん!高杉さん!大丈夫か!?
(せきこみ)高杉さん!大丈夫か?
(テーマ音楽)・「愚かなる吾れのことをも」・「友とめづ人はわがとも友と」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「燃ゆ」
(鞠)またお残しに…。
何かええ知恵はないもんか…。
私は子どもの頃からうちの畑で野菜を作っとったんで自然と何でも食べられるように…。
(潮)姫様〜!姫様…姫様!大変でございます!美和がとんでもない事を!えっ?12。
12。
この小さな種から芽が出て毎日世話してるとどんどん育って実がなるのでございます。
へえ〜。
(銀姫)何をしておるのじゃ!?あっ姫様。
今興丸様に野菜の育て方をお教えしておりました。
ご自分の手で育てれば苦手な野菜も召し上がるようになるかもしれぬと。
まあ…。
何をたわけた事を!お世継ぎ様に百姓のまね事とは言語道断!
(手をたたく音)面白い!ではお前の言うとおり自分で育てたもの興丸が食べるか食べぬか賭けてみるとしよう。
はい。
ここはどうあってもやめさせねば。
はい。
あの守り役がつけあがるばかりでございます。
銀姫も銀姫じゃ。

(敬親)よ〜しええぞええぞ。
そうじゃ。
(都美姫)殿!
(敬親)おお都美姫。
な…何をなさっておいででございますか?見て分からんか?畑の土いじりよ。
ええもんじゃな。
こうして土に触れるんは。
はっ?こうしておるとほっとする。
のう興丸。
そちも楽しいであろう?はい。
そうかそうか。
さすがは松陰の妹よ。
ええと思う事があればどんどんそうせいそうせい。
はい。
(敬親の笑い声)その年の暮れも押し迫ってきたある日。
伊之助が奥を訪ねた。
そねぇにお悪いんですか?高杉はすべての役職を免ぜられた。
養生に努めるようにと。
下関におる。
これはお前にじゃ。
話したい事があるんでできれば下関まで来てほしいと…。
行ってくれるか?高杉は元は元徳様のお小姓じゃ。
元徳様には私から申し上げておく。
思いをくまれ宿下がりはお許し下さるであろう。
分かりました。
そして美和の宿下がりが許された。
では興丸様。
この美和しばらく宿下がりをさせて頂きます。
その間畑のお世話お願い申し上げます。
うん!できれば取れたお野菜も召し上がられるようになって下さいませ。
相分かった!賭けの答えはそなたが戻ってくる頃には出ておるはずじゃ。
はい。
では行ってまいります。
下関の外れの庵で高杉は療養していた。
高杉さん…。
よう来てくれたの。
はい。
元徳様からお世話をするようにと仰せつかってまいりました。
そうか。
では頼むとするか。
じゃが…お前たちまで来たとはの…。
すみません。
差し出がましいと思うたんですが私がお連れ致しました。
(雅)本当にお一人でございますね。
雅…すまんかったのう。
さあ梅之進おそばへ。
(高杉梅之進)はい。
大きゅうなったのう。
父上もお変わりないか?はい。
お元気でございます。
よかった。
父上とはあれからお目にかかる事もかなわずどうされておるのかと…。
それでわしもいろいろ考えておったところよ。
父上や皆には今までいろいろ迷惑ばかりかけてきた。
そこでじゃ。
山口のご城下に家を建てようと思うとる。
新たなお住まいを?戦は必ず終わる。
我らの勝ちでな。
そのあとは家族そろって仲むつまじゅう暮らしたいと思うとるんじゃ。
それはよきお考えでございます。
ず〜っとご家族を顧みる間もなくお働きになってきたんですから。
ねえ雅様。
はい。
私も晋様と一緒にいとうございます。
今までほったらかしにしてきた罪滅ぼしをようけしてもらわんと。
またそのような余計な事を。
私が申さねば誰も嫌みの一つも申しませんので。
これじゃ。
また仕切っておる。
(笑い声)それで私に話とは…。
ほかでもない久坂の事よ。
久坂の事?どねな事でございましょう?京に子がおる。
えっ?忘れ形見よ。
それは…まことですか?
(晋作)ああ。
ではあの京の人の…。
男の子だそうじゃ。
どうする?どうするとは…。
引き取る気はないか?母となりその子を育てるんじゃ。
えっ…この私が?考えてみてくれ。
一方その京では…。
去年の暮れに天子さんがのうならはってから世の中えろう危なっかしくなってきたわねぇ。
そろそろ京でも戦が始まるんやて。
逃げ出す者も出てきてるし…。
辰路さんねえさんどこへ?
(辰路)ちょっと子どもの様子を見にね。
大変やなぁ。
せっかく芸妓さんに戻らはったのに。
ごめん。
(秀次郎)お母ちゃんお帰り!秀次郎ええ子にしてたか?あらお帰り。
はい。
これ今月の。
いっつも悪いなぁ。
こっちこそ助かってるのえ。
この子連れてはお座敷は務まらんもん。
そのころ伊之助は広島九州の諸藩との講和を成功させ城へと戻ってきていた。
(敬親)こたびの働きまことに大儀であった。
時に伊之助。
これを機に名を改めてはどうかの?名を…でございますか?
(元徳)父上は心配しておられるのじゃ。
名を変えねば幕府方に命を狙われるのではないかとな。
そなたに万一の事があれば我が藩はどうにもならん。
いや一番困るのはこのわしじゃ。
そなたはわしの右腕も同然ゆえな。
ありがたき幸せ。
この後小田村伊之助は名を楫取素彦と改めた。
そして楫取は政務の合間に高杉のいる下関を訪れた。
兄上…。
ああ。
実にいい御名でございます。
楫取様ならこれからの長州日本国をも託せるお人。
俺一人ではどうにもならん。
お前にも早う復帰して手を貸してもらいたい。
幕府との大戦にはどうしてもお前の力が欠かせん。
軍勢では幕府軍には到底かなわん。
いえ我らが勝っております。
ん?気合いでは。
じゃからこそお前がいてくれねば。
なるほど。
(笑い声)わざわざ来て下さるなんて。
兄も会いたかったんです。
高杉さんに。
あねぇに楽しそうに…。
出来ましたよ。
美和さんのご実家でよく作っていたお菓子だそうです。
おお。
このまんじゅうか。
わしの好物じゃ。
うまい。
そねなお顔を見ると思い出します。
いっつもみんなで一緒にいたあのころを…。
回想頂きます!
(滝)今は高杉様の看病で下関におるそうです。
(寿)下関…。
元気にやっとるようです。
「せわぁない」とほらここに。
(亀)本当じゃねえ。
母上のお口癖がすっかりうつってしもうとる。
どこにいても美和なら大丈夫です。
お城の奥御殿でも興丸様に畑仕事をお教えしとるとか。
えっ?お世継ぎ様に?
(梅太郎)そのうわさならわしも聞いた。
おかげで「お前の妹はとんでもない」とわしまで仲間内から白い目で見られて参っとるんじゃ。
ちゃんと考えがあっての事でしょう。
そうでしょうが…時々周りが驚く事をしでかすんが美和の悪い癖です。
ええじゃありませんか。
けれど…どの手紙にも「せわぁない」としか。
母上?それが気になります。
お気を付けてお帰り下さい。
ああ。
高杉の事頼んだぞ。
はい。
よかったな連れてきてやって。
ええ。
家族そろうて暮らせるんはええもんです。
私もああいう時を持ちたかった。
久坂の子が産めればよかった…。
あっ…何でもございません。
せわぁない。
大丈夫です。
さ湯とお薬をお持ちしました。
来年の桜は見られんじゃろうな…。
自分の体の事は自分で分かる。
高杉さん…。
実に面白うやってこれた。
つまらんつまらんばかり言うとった俺が…。
使い切った。
この命使い切った。
夷狄相手に戦い幕府に戦を仕掛け…。
先生に教えてもろうたんじゃ。
この命どう使うか…。
あいつらに教えてもろうたんじゃ。
そねな中でも国を憂うる時いつも浮かぶんはあの男の顔。
久坂が京で死んだ時俺は幕府打倒を誓うたんじゃ。
この俺の手であいつの無念を晴らしてやりたいと思うたんじゃ。
はい。
見事に晴らして下さいました。
久坂もようやってくれたと喜んでおります。
じゃがあいつが素直に喜ぶじゃろうか。
そうですね。
(笑い声)あの事考えてくれたか?あ…。
答えは出たか?その事ですが…。
やはり私には久坂の子を引き取る事はできません。
よその人に産ませた子です。
その子を育てるなど…。
私は自分の子を産んだ事もないんです。
守り役はできてもその子の母となる自信はありません。
その子のためを思うんなら実の母に育ててもらうんが一番かと。
そねなこまい事を言うとるんじゃない。
えっ?俺は心配でたまらんのじゃ。
これからの日本が。
徳川は遅かれ早かれそのうち潰れよう。
そうなれば誰かが新しい世をつくらねばならん。
新しい世?そうじゃ。
そのためには松陰先生やわしらの志を教え伝えていく者がおらねばならん。
久坂の子だけではない。
お前にはわしの子の梅之進塾生たちの子らも皆育ててもらいたいんじゃ。
新しい日本をつくる新しい日本人を。
新しい日本人…。
お前ならできる。
(晋作)お前は立派に生きておる。
美和。
それが天命じゃ。
高杉さん…。
(せきこみ)高杉さん…。
(せきこみ)高杉さん!晋様!
(せきこみ)雅様!梅之進を…立派に育ててくれ…。
はい。
先ほどの事…。
最後の頼みじゃ…。
女幹事殿…。
はい…。
病で死ぬとはの…。
なんともあっけない…。
あともう少しで新しい日本が…見られるっちゅうのにの…。

(晋作)「おもしろきこともなき世におもしろく」。
幕末の志士高杉晋作が波乱万丈の人生をここに閉じた。
享年29。
申し上げます。
高杉晋作療養のかいもなく下関で死去致しました。
何?高杉が…。
晋作…。
寅兄。
高杉さんは精いっぱい生きました。
最後までその志を持って生き抜かれたんです。
これで稔麿さん入江さん久坂高杉さん…みんな逝ってしまわれました。
分かっております。
泣き言は言いません。
ですが寂しいんです。
皆さんのあの笑顔がもう見れんのが…。
回想
(一同)えいえいお〜!えいえいお〜!
(笑い声)そして美和が奥御殿に戻ってきた。
うん!あっ美和!ただいま戻りましてございます。
興丸様。
お前のせいでさんざんじゃ。
毎日泥だらけで。
賭けはお前の勝ちじゃ。
はい。
「庠序学校を設け為してもって…」。
「もってこれを教う」。
「もってこれを教う。
庠は養なり。
校は教なり」。
回想
(晋作)皆育ててもらいたいんじゃ。
新しい日本人を。
それが天命じゃ。
美和様!どうされたんですか?今知らせが入りました。
京で戦が始まるようです。
まことに?回想京に子がおる。
京で…。
京に向かった元徳は大丈夫なのであろうの?元徳様は戦場には行かずご本陣にとどまられると文には書いてございました。
そうか。
ただ…元徳様の持病のお薬の事。
いつものお薬は京では手に入らぬとも書いてございました。
(都美姫)それはいかぬのう。
すぐに京へ届けさせよ。
(園山)はっただいま。
お待ち下さい。
何じゃ?そのお役目私にお命じ下さいませぬか?そなたが届けると?京へ行くと申すか?はい。
実はお薬をお届けしたあとに捜したき者が京におるんでございます。
無事かどうかだけでも確かめたいと。
(都美姫)誰じゃ?
(銀姫)申してみよ。
久坂の子にございます。
久坂の…。
よそのおなごに産ませた子か?はい。
何を考えておる!しょせん知らぬ女が産んだ子捜してどうする!?それに京では今にも戦が起きるというておる。
お前の身に何かあったらどうする!?ご心配申し訳ありませぬ。
ですが十分気を付けますゆえ何とぞお許し下さりませ。
ならぬ。
そんな危ない所に行かせる訳にはいかぬ!お願い申し上げます!
(都美姫)行かせるがよい。
母上様。
行ってくるがよい。
はい。
母上様何故…。
悔しかろうに…それでも行くと申すのだ。
よほどの事なのであろう。
えっ?分からぬか。
母となれなかった女の気持ちは。
では行ってまいります。
気を付けるのじゃぞ。
はい。
こうして美和は一人争乱のただ中の京へと旅立つ事となった。
亡き夫久坂の忘れ形見を見つけ出す事はできるのか。
いよいよ決戦か。
維新の時が迫る。
新時代の幕開けに人々はそれぞれの道を探し始める。
そして美和も…。
(辰路)あんた長州の人か?亡くなった夫の子がおるんです。
あの世で会うたら文句言うてやります。
下関市にある桜山招魂場は高杉晋作らの発案で創建されました。
吉田松陰をはじめおよそ800人の志士たちが祭られています。
招魂場の近くで高杉は結核の療養に専念しました。
しかし慶応3年4月14日。
高杉の命は燃え尽きます。
享年29
遺言によりなきがらは奇兵隊の本拠地吉田村に葬られました
晩年高杉はみずからの人生を詠んでいます
この上の句に望東尼は「住みなすものは心なりけり」と答えました。
心のままに生きた高杉の思いは残された志士たちによって受け継がれていくのです
2015/09/12(土) 13:05〜13:50
NHK総合1・神戸
花燃ゆ(36)「高杉晋作の遺言」仰天!夫の秘密を知り天命を[解][字][デ][再]

病に伏した高杉晋作(高良健吾)の見舞いで、亡き夫・久坂玄瑞の隠し子が京にいるということを知った美和(井上真央)。驚き、動揺する中、京で戦が始まるとの知らせが…!

詳細情報
番組内容
美和(井上真央)は、伊之助(大沢たかお)から高杉晋作(高良健吾)が病に伏していることを知らされた。下関にいる晋作を見舞いに行くと、意外な事実を告げられる。それは亡き夫・久坂玄瑞の隠し子が京にいるというものだった。驚き、動揺する美和。晋作からはその子を引き取ることを勧められるが、とまどうばかり。やがて晋作は29歳の生涯を閉じる。美和の頭をよぎる晋作の遺言…。そんな折、京で戦が始まるとの知らせが…!
出演者
【出演】井上真央,大沢たかお,高良健吾,北大路欣也,原田泰造,優香,久保田磨希,劇団ひとり,佐藤隆太,大野拓朗,檀ふみ,永岡佑,鈴木杏,黒島結菜,田中麗奈,三浦貴大,石橋杏奈,銀粉蝶,鷲尾真知子ほか
原作・脚本
【脚本】小松江里子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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