決壊から2日。
まだ見つからない家族を捜す人。
一時およそ140人が取り残されたスーパー。
当時の状況が明らかになりました。
こんばんは。
ニュース7です。
広い範囲で浸水した、茨城県常総市。
いまだに15人の行方が分からないままです。
鬼怒川が決壊し、大量の水が流れ込んだのはこちら、常総市の北側です。
これは決壊した場所の、おとといときょうの映像です。
おとといに比べて、きょうは水が引いているように見えます。
しかし、常総市のこの南側を、広い範囲で撮影した映像を見てみますと、きのう、そしてきょうと、浸水した範囲が、大きくは変わっていないように見えます。
といいますのも、この南側は、決壊した場所よりも低い土地のため、水が集まってきてしまうのです。
まだ避難できずに取り残されている人たちもいて、警察や自衛隊などでは、夜も引き続き、捜索や救助活動を続けています。
決壊した堤防近く、茨城県常総市の住宅地です。
跡形もなく破壊されていました。
この地区に住む栗田千代子さん。
娘と一緒に、夫の要さんの行方を捜しています。
要さんは、堤防が決壊したとき、堤防のすぐ脇にある、自宅の敷地内の物置にいて、その後、連絡が取れなくなっているということです。
常総市では、一時22人の行方が分からなくなっていました。
その後、8歳の子ども2人を含む、一部の人たちの所在は確認できたということで、午後5時現在、行方不明者は15人になっています。
警察と消防、それに自衛隊では、2000人以上の態勢で、夜も引き続き捜索を行っています。
救助活動も続きました。
木村マサ子さんです。
おとといから、娘夫婦が、自宅に取り残されていました。
救助の担当者に、自宅の場所を詳しく伝えます。
ボートでの救助活動を見守ります。
2人の被災者を乗せて、ボートが今、岸に到着しました。
娘夫婦とは携帯電話で連絡が取れていましたが、孤立した状態が続き、食料も底をついていたということです。
こちらの男性。
犬の世話をするため、自宅に残っていました。
お年寄りなど120人余りが、周囲と行き来できなくなっていた特別養護老人ホームです。
午後になって周辺の水は引きましたが、床は泥だらけです。
停電に断水、備蓄の食料や水でしのいでいたということです。
疲れた様子のお年寄りたち。
別の施設に避難しました。
着のみ着のままで、避難を強いられた住民たち。
隣の守谷市に避難している、淀名和稔浩さんです。
ヘリコプターで救助され、荷物をほとんど持ち出せませんでした。
自宅周辺はきょうも水につかったままで、車で入ることはできません。
ズボンをまくり上げて、歩いて向かいます。
持ち帰ったのは袋1つだけでした。
堤防が決壊した現場のすぐ近くに住む男性です。
川の水があふれたのを見て避難したといいます。
しかし、ようやく戻れた自宅は、大きく壊れていました。
家財はほとんど流されていました。
濁流が襲ったときの状況が、明らかになってきました。
常総市の本石下地区で撮影された映像です。
時刻は午前10時前です。
1時間余りたった午前11時過ぎには、車は屋根の近くまで水没していました。
水が入っちゃう状態だったんで、もう慌てて、うちの自宅に2階のほうに、子どもたちも含めて避難をして。
水がこんなにも速く増水してしまうっていうのは、想像もできなかったので。
一時、店内におよそ140人が取り残されたスーパーの状況も、明らかになってきました。
人はいますね。
スーパーの課長、梅田亮さんです。
緊迫した当時の状況を、詳細に語りました。
店は川から1キロほど。
梅田さんによりますと、開店から間もない午前10時過ぎ、徐々に水が押し寄せてきました。
従業員たちは、客を2階に避難させました。
僅か30分後、食料品や調理器具などを販売する1階のフロア全体が、茶色く濁った水で、人の胸の高さぐらいまで、一気に覆われました。
その夜。
4人家族の父親が、子どもが熱を出して、40度近くあると、助けを求めてきました。
熱を冷ますために、おでこに貼るシートを渡し、女の子の体調を見守りました。
午後8時ごろ、消防団のボートがスーパーに到着。
高熱の女の子と父親を、優先的に救助してもらいました。
そして残された客には。
自衛隊のヘリコプターが、スーパーの屋上に着陸しました。
翌日の未明から、自衛隊の大型ボートやヘリコプターが次々と到着し、朝の7時ごろには、一部の従業員を残して、避難が完了したといいます。
当時の状況を振り返って、梅田さんは。
では、住民の皆さん、およそ500人が避難している、常総市の避難所から、中継でお伝えします。
避難所になっています、石下総合体育館前には、このように、たくさんの水が積まれています。
きのうになって支援物資が多く届くようになりました。
この場所が避難所になってから、きょうで3日目です。
今も500人ほどの方が、中で避難生活をされています。
たくさんの靴が並んでいます。
その先、きょう夕方、設置されたばかりの、行方不明者の相談窓口があります。
少しでも新しい情報がないかと、尋ねる人の姿がありました。
さらに体育館の中には、救護所も設けられました。
きのうの夜から、2人の医師が24時間、対応に当たっています。
きょうになって、特に高齢の方から、疲れたといった内容の相談が増えてきているということです。
実際に避難されている方に話を伺いますと、やはり慣れない環境で夜、なかなか眠れない、疲れが取れない、一日でも早く自宅に帰りたいと、絞り出すように話していました。
常総市の避難所からお伝えしました。
常総市では、今もおよそ4500人が避難所に避難しています。
避難所では、ボランティアによる支援の動きが広がっています。
隣の市にある高校の野球部員たちは、支援物資を避難所に運びました。
自分たちはいつも、周りの方々に支えられてる側なんで、恩返しっていう形で、きょうは支えるんで、安心してくださいっていう気持ちで、やりたいと思います。
生活の再建に向けた動きも進んでいます。
堤防の決壊から3日。
水が引いた現場では、避難所から戻ってきた住民たちが、後片づけに追われています。
うわー!
こちらの住宅では、住民が、水にぬれた衣類などを外に運び出す作業に追われていました。
これも、びしょびしょになっちゃったんですか?
はい。
全部ですね。
どうしましょうね。
もう布団もなんにもないですよ。
市内に設けられた、ぬれた家具や壊れた電化製品を捨てる仮置き場です。
せーので、よいしょ。
よいしょ。
住民たちが次々と訪れ、軽トラックなどの長い列が出来ました。
この仮置き場は、午前中の段階で置くスペースがいっぱいになり、別の場所に新たな受け入れ場所が設けられました。
常総市では広い範囲で断水も続いていて、避難所などに給水車が出て、給水を行っています。
国土交通省によりますと、今回の堤防の決壊で浸水したのは、常総市の5分の1に当たるおよそ25平方キロと推計されるということです。
きょう午前、常総市を視察した太田国土交通大臣は、堤防を1週間をメドに仮復旧させるとともに、たまった水の排水を急ぐ考えを示しました。
また安倍総理大臣も、常総市を視察しました。
さらに茨城県の橋本知事、栃木県の福田知事と相次いで会談し、復旧にかかる自治体の費用を政府が支援する、激甚災害への指定に前向きな考えを示しました。
大きな傷痕を残した今回の豪雨。
茨城県以外でも、大きな被害が出ました。
栃木県では2人が死亡、270人余りが今も避難しています。
そして宮城県でも2人が死亡、そして171人が避難しています。
宮城県栗原市です。
川の水があふれて、62歳の男性の行方が分からなくなりました。
警察や消防が捜索を進めた結果、きょう午後、下流の川から遺体で見つかりました。
きのう、堤防が決壊した、宮城県大崎市の渋井川。
一夜明けたきょう、川の水位は下がり、応急的な復旧工事が始まりました。
今回の渋井川の決壊。
住民には、決壊したという情報が伝わっていなかったことが分かりました。
住民からは、決壊のことや、具体的な避難の方法を伝えてほしかったという声が上がっています。
市は、建物の2階などに上がる、垂直避難をするよう呼びかける方法などもあったとして、今後、避難の呼びかけの在り方を検討することにしています。
一方、栃木県でも、2200棟余りの住宅などが浸水し、今も道路に水がたまっている所があります。
すみません、ボランティアセンターから来ました。
鹿沼市には、200人を超えるボランティアが集まり、片づけなどの活動が始まりました。
千葉県銚子市の銚子漁港では、流木やごみなどが大量にたまっています。
銚子漁港は、堤防が決壊した鬼怒川の水が流れ込む、利根川の河口近くにあり、川の上流からどんどん流れ着いているということです。
記録的な豪雨となった関東北部と東北南部。
あすは前線が通過するため、大気の状態が不安定になり、午後を中心に雨が降り、局地的に雷を伴って強く降るおそれもあります。
被災地では、川の水位が高い状態が続き、地盤が緩んでいる所があり、気象庁は、引き続き川の氾濫や土砂災害に十分注意するよう呼びかけています。
次です。
首都直下地震を思い浮かべた方もいたのではないでしょうか。
けさの地震、その規模は、首都直下地震の想定より非常に小さかったものの、東京都内で震度5弱の強い揺れを観測し、2人が骨折するなど、被害が出ました。
専門家は、大地震への備えを進める必要性を指摘しています。
早朝の東京を強い揺れが襲いました。
マンションの外壁が剥がれ落ち。
工事現場で道路に水があふれるなど、水道管の破裂も相次ぎました。
エレベーターの閉じ込めも各地で発生。
JR北八王子駅では、女子高校生が1時間近く閉じ込められました。
今回の地震では、東京都と千葉県で、それぞれ、お年寄りがベッドから落ちて骨折するなど、けがをする人も相次ぎました。
この地震で、東京・調布市で震度5弱の強い揺れを、また埼玉県、千葉県、神奈川県で震度4を観測しました。
今回の地震、大きな被害が想定されている首都直下地震との関連はあるのでしょうか。
関東地方では、陸のプレートの下に、フィリピン海プレートと、太平洋プレートが沈み込んでいます。
首都直下地震は、そのひずみがたまって起きると考えられています。
今回の地震は、ちょうど2つのプレートの境界、赤い星印の辺りが震源と考えられています。
専門家は。
さらに古村教授は、今回の地震が、首都直下地震の引き金になるかどうかは分からないとしたうえで、こう指摘します。
古村教授によりますと、けさの地震は、地震のエネルギーにして、想定されるマグニチュード7.3に比べ、1000分の1以下です。
にもかかわらず、被害が出ていることを踏まえ、古村教授は、首都直下地震への備えを進める必要性を強調しました。
ではニュースを続けます。
今月4日、埼玉県朝霞市の住宅で、58歳の男性が首を絞められて殺害されているのが見つかった事件で、埼玉県の浦和警察署に勤務する巡査部長、中野翔太容疑者が、殺人などの疑いで逮捕されました。
住宅にあった金庫の扉が開いた状態で、中に現金などが入っていなかったことから、警察は、現金を奪う目的だった疑いもあると見て調べています。
中野巡査部長は、ことし3月まで、朝霞警察署の刑事課に勤務し、被害者の自宅を訪れたことがあったということで、首をロープで絞めたのは間違いないと供述する一方、殺意については否認しているということです。
京都市の住宅で、この家に住む男性と、一部が白骨化した女性の遺体が見つかった事件。
この家に住んでいた、無職の斉藤裕容疑者が、死体遺棄の疑いで逮捕され、調べに対し、2人を殺害し、遺体を遺棄したという趣旨の供述をしていることが、警察への取材で分かりました。
亡くなった2人の頭には、鈍器で殴られたような骨折の痕があったことが分かっていて、女性の遺体は、斉藤容疑者の60歳の母親と見られています。
警察は、今後、殺人の疑いでも調べることにしています。
大阪・寝屋川市の中学1年生の男女が遺体で見つかった事件。
警察は、平田奈津美さんの遺体を遺棄したとして逮捕した山田浩二容疑者が、平田さんを殺害したとして、殺人の疑いで再逮捕しました。
警察によりますと、平田さんの遺体の口と鼻の辺りには、強い力で圧迫された痕があったということですが、このほかに、平田さんの顔などに巻かれていた粘着テープが、山田容疑者が事件当日に購入したものと同じと見られることなどを、殺人の状況証拠と判断したということです。
警察によりますと、山田容疑者は調べに対し、黙秘しているということです。
アメリカ軍普天間基地の移設計画を巡って、沖縄防衛局は、名護市辺野古の沿岸部で、政府と沖縄県の集中協議に合わせ、1か月間中断していた移設に向けた工事をきょう、再開しました。
海上では、市民グループのメンバーなどが、作業の再開に激しく抗議し、警戒に当たっていた海上保安庁が制止していました。
沖縄防衛局は、準備が終わりしだい、海底のボーリング調査を進め、その後、埋め立て工事に入ることにしています。
一方、沖縄県の翁長知事は、移設先の埋め立て承認の取り消しを、週明けにも表明することにしています。
気象情報は菊池さんです。
こんばんは。
浸水被害が出た被災地では、あす、雨の降る時間がありそうです。
あすは前線が近づいて、雨が降りやすくなるでしょう。
詳しく見ていきます。
あすの午前中はまだ関東を中心に、晴れ間の出る所もありそうです。
ただ、午後になりますと、雨が降りやすくなるでしょう。
夕方前後、雨足の強まる所も出てきそうです。
これ、雨ですけれども、長く降り続くことになるんでしょうか。
今のところ、あすは、それほど長くは続かない見込みです。
夜遅くには、雨のやむ所がほとんどです。
ただ、一時、強い雨の降る所がある見込みです。
少しの雨でもさらに災害が起きるおそれがありますから、十分に注意をしてください。
そしてこの先の予報です。
まず、あすの最高気温は29度から30度の予想です。
復旧作業に当たる際は、熱中症に注意が必要です。
あさって以降は晴れる日が続きますが、週後半は再び雨の予想です。
では、あすの天気です。
お伝えしていますように、今回の記録的な豪雨では、4人が死亡し、茨城県常総市で、今も15人が行方不明になっています。
宮城県栗原市の川では、きのう、救助を求める通報が消防に寄せられ、警察と消防が捜索していました。
きょう午後、遺体が見つかり、警察が調べた結果、行方が分からなくなっていた62歳の男性と確認されました。
これで今回の豪雨で亡くなった人は、栃木県と宮城県の4人となりました。
一方、茨城県常総市では、当初22人の行方が分からなくなっていましたが、警察が調べた結果、8歳の子ども2人を含む一部の人たちの所在が確認され、現在は15人の行方が分かっていないということです。
まだ避難できずに取り残されている人たちもいて、警察や自衛隊などでは、夜も引き続き、捜索や救助活動を続けています。
生字幕放送でお伝えします2015/09/12(土) 19:00〜19:30
NHK総合1・神戸
NHKニュース7[二][字]
▽関東・東北で堤防決壊 行方不明者の捜索続く 【キャスター】武田真一,【サブキャスター】中山庸介,【気象キャスター】菊池真以
詳細情報
出演者
【キャスター】武田真一,【サブキャスター】中山庸介,【気象キャスター】菊池真以
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