これで茨城、栃木、宮城の3県で死亡した人は、合わせて7人になりました。
「はじめまして。
僕コビトマングースのジョー。
この群れにやってきたばかりの新入りです。
僕らの群れにはとっても厳しいオキテがあるんだ」。
「みんなが食事に出かけた。
ここには敵がいっぱいいるから新入りの僕は食事も我慢して見張り番。
ああおなかすいたなぁ」。
「まずい!ジャッカルだ。
こんな時はまず僕が走る。
僕が襲われなければ仲間も大丈夫。
危ない仕事は僕の役目なんだ。
新入りマングースの暮らしはつら〜いことばかり。
でも僕にはでっかい野望があるからへっちゃらさ」。
(テーマ音楽)今回の舞台はケニアのツァボ国立公園とその一帯。
赤茶けた独特な風景。
土に鉄分などが多く含まれているためこんな色になるんです。
8月は雨の降らない乾季のピーク。
動物たちにとって厳しい季節です。
公園の中には盛り上がった土の塊があちこちにあります。
アリ塚です。
形や大きさはさまざま。
作ったのは体長わずか1センチ足らずのシロアリです。
このアリ塚を住みかにしているのが今回の主人公コビトマングース。
体長25センチ体重は500グラムほど。
500ミリリットルのペットボトルと同じぐらいの大きさです。
マングースの仲間は30種類ほどいますが世界最小です。
口の両端が上がってまるでほほえんでいるような顔ですね。
コビトマングースは群れで暮らします。
群れの中心はリーダーのオスとメス。
そしてその子どもたちです。
さらに他の群れから加わった者もいます。
アリ塚にいくつも開いた穴を住みかとして利用しています。
使われていない巣の断面を見てみると…。
穴は1メートル近い深さがあります。
これはシロアリたちが開けた換気口。
風を通し空気を入れ替える働きをします。
試しに穴の中の温度を測ると…。
外と比べて6度も低いことがわかります。
シロアリが暮らす場所はアリ塚の奥深く。
マングースが利用する穴と行き来することはなく互いに影響はありません。
コビトマングースにとってここは天然のクーラーがついた快適な住まいなんです。
マングースがアリ塚を離れていきます。
食べ物を探しているんです。
獲物はバッタやカマキリなどの昆虫やトカゲなどの小動物。
ハサミが見えます。
サソリです。
毒を持つサソリでも平気で食べてしまいます。
今度は何か運び始めました。
卵です。
この辺りにたくさんすんでいるキジの仲間の卵。
コビトマングースの大好物です。
でも卵の殻はかたく簡単には割れません。
どうやって割るんでしょうか。
動物園でその様子を見てみましょう。
あっ後ろの石へ卵を投げつけています。
よ〜く見ると後ろ足の間を通して石に卵をぶつけています。
飛び上がるタイミングもバッチリ。
いやうまいもんですねぇ。
コビトマングースたちが外で休んでいる時。
何の音でしょうか。
コビトマングースの鳴き声です。
上を見て鳴いています。
上空にダルマワシがいます。
翼を広げると2メートル近く。
コビトマングースの天敵です。
声は危険を知らせる合図だったんです。
みんな一斉にアリ塚に逃げ込みます。
ダルマワシはそのまま飛び去っていきました。
アリ塚は身を守るためのとりででもあるんです。
コビトマングースは縄張りの中に20個ほどのアリ塚を持ち移動しながら暮らしています。
コビトマングースの群れには独特なルールがあるといいます。
研究者のムタチさんはそれを調べています。
注目しているのは他の群れから加わったマングースたちの群れの中での役割です。
こちらがムタチさんが追跡している7匹の群れ。
オスとメスのリーダーとその子どもが3匹。
そして他の群れから来た者が2匹います。
そのうちの1匹は3歳を過ぎた大人のオス。
額の毛並みが眉毛のように見えます。
「マロ」と呼ぶことにしましょう。
そしてもう1匹が「ジョー」です。
ジョーは最近この群れに入ったばかりだといいます。
そもそもなぜよそ者が群れにいるんでしょうか。
群れは大きくなりすぎると1つのアリ塚に入りきらない者が出てきます。
そうした者が他の群れへ入ることは珍しくありません。
ジョーやマロもこうして群れの一員になったと考えられます。
では新入りジョーの群れでの暮らしぶりを見ていくことにしましょう。
ある日の朝。
群れのメンバーがアリ塚を下りていきます。
みな獲物を探し始めました。
ところがなぜかジョーだけがアリ塚のてっぺんに残っています。
見張りをしているんです。
高い位置から周囲を見渡し天敵が来たら仲間に知らせます。
ジョーのおかげで他のメンバーは食事に専念できます。
獲物を探していると周りが見えなくなって危ないんです。
見張りは普通交代制ですが新入りのジョーとは誰も代わってくれません。
夕方になってメンバーたちが戻ってきました。
ずっと見張りをしていたジョー。
ようやく食事の時間です。
でもジョーが食事の時は誰も見張りに立ってくれません。
敵に襲われる危険のある中1匹だけで食べ物を探しています。
その間他のメンバーはジョーのことなど忘れているかのように仲よく毛繕い。
こうしてメンバー同士の絆を深めます。
食事を終えアリ塚に戻ってきたジョー。
リーダーのメスの近くに来ました。
毛繕いをしてもらい絆を深めたいようです。
近づきますが…メスは離れていきます。
ジョーは一日中たった1匹で見張りをしたにもかかわらず労をねぎらってはもらえませんでした。
ちょちょっと待った!おっと来ましたねヒゲじい。
はい。
だってひどいじゃないですか!ジョーがあんなに頑張っているのに何もしてあげないなんて。
確かにそうですよね。
でもねこれはコビトマングースのオキテですからしかたがないんです。
オキテ?どういうこと?コビトマングースの群れでは他の群れから加わった者は血のつながりがないため家族より順位が下になります。
特に新入りの場合最低の順位になってしまうんです。
ほうなんとも厳しいオキテですなぁ。
でもねヒゲじいこれがずっと続くわけではないんです。
頑張っていればたとえよそ者でも群れの中の立場は次第に良くなっていきます。
えっそうなの?はい。
こちらはジョーの先輩のマロ。
リーダーのオスに近づくと…ほら毛繕いをしてもらっているでしょ。
あホントだ。
これまでの働きぶりが認められ家族とほぼ同然の扱いになっているんです。
う〜んそんな事もあるんですか。
はい。
研究者のムタチさんはジョーの行動についてこう考えています。
つまりジョーは群れに認めてもらうためあえて苦労を買って出ているということなんです。
なるほど!今はガマンガマンの「ガマングース」のジョーってわけですな。
第2章では強敵ジャッカルが出現!最大のピンチを救うためジョーが走る走る走る!命がけで仲間を守ります。
そしてついにジョーの隠された野望が明らかになります。
コビトマングースが暮らすアリ塚。
他の生きものたちもちゃっかり利用しています。
穴から出てきたのはマングースと同居しているトカゲ。
なんと穴の中でマングースのふんを食べる変わり者。
住みかを清潔に保ってくれるパートナーです。
気持ちよさそうに伸びをしているのはジリス。
ジリスとも一緒に暮らすことがあります。
ジリスの主食は草や木の実。
マングースと食べ物が重ならないことが一緒に暮らせる大きな理由です。
さらに一緒にいるとワシやタカなどの天敵を警戒する目が増えることになりお互いに有利なんです。
コビトマングースがすむアリ塚の周りでよく見かける鳥がいます。
セグロコサイチョウです。
近くにいるのには理由があります。
マングースが狩りに出て行きました。
その様子をじっと見つめるサイチョウ。
あとを追いかけていきます。
マングースが動けば…サイチョウもぴったりマーク。
おや?何かついばんでいます。
サイチョウのお目当ては虫。
マングースが動くと草むらから虫が飛び出します。
それを狙っているんです。
生きものたちは互いに利用し合いたくましく生きているんですね。
アフリカケニアのサバンナで暮らすコビトマングースの群れ。
新入りのジョーは仲間に認めてもらうため群れに尽くす毎日です。
乾季のある日。
群れは暑さをしのぐため日陰で休んでいました。
一方ジョーは群れから離れ見張りを続けています。
何かに気付きました。
シママングースの群れが近づいてきたんです。
背中のしま模様がトレードマーク。
大きさはコビトマングースの倍近くもあります。
80匹ほどの大きな群れで暮らすシママングース。
群れ同士が出会うと食べ物を巡り激しい戦いが勃発。
コビトマングースを襲うこともある恐ろしい相手です。
そのシママングースがジョーたちが暮らすアリ塚の上で昼寝を始めました。
ここに仲間が戻ってきたら殺されてしまうかもしれません。
危険を察知したジョー。
でも鳴き声を上げると見つかってしまう恐れがあります。
そこで群れの仲間に直接知らせに行きます。
すると近づいてきたのはリーダーのオス。
危険が伝わったようです。
別のアリ塚にみなで向かいます。
ところが今度は最強の天敵ジャッカルが出現。
獲物を探しているようです。
見つかれば大変なことになります。
でも別のアリ塚に行くためには開けた場所を通らなければなりません。
ジャッカルはまだジョーたちに気付いていないようです。
その時です!ジョーが飛び出しました。
自ら体を張って安全に移動できるか確かめます。
無事到着しました。
よかった〜。
ジョーの無事を確認した他のメンバーがあとに続きます。
最後の1匹です。
全員がたどりつきました。
次々と巣穴に入っていきます。
しかしジョーだけは外に残っています。
敵をまだ警戒しているようです。
本当に献身的なんですね。
夕方。
ジョーがようやく巣穴に入ります。
命がけの大活躍で仲間を救ったジョー。
信頼を得る大きな実績になったはずです。
雨季が近づくこの時期コビトマングースは恋の季節を迎えます。
リーダーのメスのあとをリーダーのオスが追いかけます。
こうして体をすり寄せ合うのがマングース流の求愛です。
でもメスは離れてしまいました。
まだオスを受け入れる準備ができていないようです。
そんな様子を見ていたジョー。
メスにすり寄っていきます。
実はメスの相手はリーダーのオスとは限りません。
ジョーが群れに尽くしてきたのはメスに近づくという大きな野望があったんです。
ところがリーダーのオスがすかさず2匹を引き離します。
そう簡単にはいきません。
メスと結ばれる権利があるのはリーダーのオス群れに入った先輩のマロそして新入りのジョー。
果たして恋のバトルに勝つのは誰なんでしょうか?コビトマングースは1つの群れで20個ものアリ塚を使って暮らします。
なぜケニアツァボ国立公園にはたくさんのアリ塚があるんでしょうか。
意外な動物と関係があります。
ゾウです。
ここには地下水の湧き出す場所が多く大量の水を必要とするゾウがおよそ1万3,000頭もいるんです。
ゾウが1日に食べる草は200キロ以上と言われています。
ゾウが至る所で落とすふんには消化されなかった草が含まれています。
落ちてからしばらくたったものを見ると…うわ〜!たくさんのシロアリがいます。
このシロアリたちは草を集めているんです。
コビトマングースの住みかのアリ塚を作っているシロアリの中には食料としてキノコを栽培する者がいます。
キノコの栽培には肥料となる草が必要です。
巨大なゾウのふんは草を効率的に集めキノコを育てるのにうってつけなんです。
こちらの白く小さな粒がキノコの一部。
シロアリの食べ物となります。
ゾウのふんが多いほどシロアリが増えたくさんのアリ塚が作られます。
ゾウは意外なつながりでシロアリを育みコビトマングースの暮らしを助けているんですね。
よそ者として群れに加わり尽くしてきたコビトマングースのジョー。
ジョーたちは今恋の駆け引きの真っ最中です。
リーダーのメスにリーダーのオスが近づいていきます。
あっメスのほうから積極的なアプローチ。
どうやらオスを受け入れる準備が整ったようです。
ところがメスがその気になったのにオスは巣穴に入ってしまいました。
一体どうしたんでしょうか。
サソリをくわえて出てきました。
おなかが減っていたんですね。
でもオスが食事に気を取られている隙に…ジョーがすかさずメスに大接近。
とそこへオスが突進。
ジョーはまた邪魔されてしまいました。
数日後。
リーダーのメスと1匹のオスが現れました。
メスがオスに猛アピールしています。
このモテオス一体誰?眉毛のような毛が見えます。
ジョーの先輩マロです。
勝者はマロ。
これまでの働きが認められ恋が実ったのです。
敗れた新入りのジョー。
メスに認めてもらうにはまだ実績が足りなかったようです。
それから1週間後。
獲物を探す7匹の群れ。
ジョーを見つけました。
そばにいるのはこの年に産まれた子どもです。
ジョーが子どもと毛繕いをし合っています。
絆を深めるための行動です。
コツコツ努力を積み重ねてきたジョー。
家族の信頼をさらに勝ち得て次の恋の季節を目指します。
アフリカのサバンナで暮らすコビトマングース。
新しく群れに加わった者は命をかけて仲間のために尽くします。
そのひたむきな姿には子孫を残したいという情熱が秘められていたのです。
2015/09/13(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「新入りマングース 大いなる野望」[字]
アフリカのサバンナにすむコビトマングース。群れの新入り「ジョー」はジャッカルなどの天敵から命がけで仲間を守る。ところが、大活躍のウラにはある野望が隠されていた!
詳細情報
番組内容
アフリカのサバンナにすむコビトマングース。その群れには独特のおきてがある。他の群れから加わった“よそ者”は群れでの順位が低く、特に新入りは危険な仕事を一手に引き受けなければならないのだ。今回新入りのオス「ジョー」に注目。ジャッカルなどの天敵から仲間を守るため飲まず食わずで見張りをしたり、ピンチでは体を張って仲間を安全な場所に導く。ところが命がけの大活躍のウラにはある野望が隠されていた!歌:平原綾香
出演者
【語り】近田雄一,龍田直樹,豊嶋真千子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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