(伝助)よう。
今日は老人ホームに住むばあさんの恋の話だ。
ばあさんの憧れの男性はとっくに死んじまってる。
なのにばあさんは男を待ち続けてる。
戦後70年ずっとな。
(蔦江)坪内先生。
(キリコ)まだらぼけ。
(伝助)キリコはこの恋にどう落としまえをつけるかな?
(伝助)涼の活躍にも注目だぜ。
(敦也)よう。
おお。
キリコ。
俺に急用って?
(キリコ)わが諜報部は入道さんに特別任務を与える。
(敦也)あっ?諜報部?
(キリコ)あしたの夜8時までに今から述べる備品を全て準備すること。
それと入道さん。
あしたの夜は支給された制服を着込み由緒ある門番の役目を務めること。
以上。
(敦也)いったい何なんだ?
(キリコ)時間がないからつべこべ言わない。
(敦也)あんだよ?
(キリコ)郷土館から借りてきた図面。
この昭和堂をあしたの夜8時までに下町の迎賓館に作り替える。
(敦也)はあ?
(キリコ)根津の帝國会館を再現すんのよ。
(キララ)帝國会館?
(キリコ)戦前に伝統あるそういう建物があったの。
玄関の獅子の置物は運よく似たようなもんが商店街の骨董屋にあった。
それから入道さんにはもう一つ頼みがあんの。
(敦也)な…何だよ?まだあんのか?
(キリコ)あのうほら。
斬られ役いたじゃん。
(敦也)えっ?いつか娘のウエディングドレスかっぱらっていったほら。
ほら。
あのう…。
斬られ役専門の。
何だっけ?何ちゃらっていう映画俳優。
(敦也)鬼塚竜二。
そうそう。
(敦也)おい。
鬼塚さん斬られ役じゃねえぞ。
そうだっけ?
(敦也)撃たれ役だ。
(栞・キララ)おんなじじゃん。
ともかくその殺され役に戦争中のいろんな衣装借りてきて。
(敦也)お前何たくらんでんだ?
(千香)ちわーっす。
こんちは。
(清助)ういーっす。
珍しいね。
2人揃ってなんて。
デートか何か?
(千香)キリコさん。
冗談よしてちょうだいね。
(清助)そこで鉢合わせしただけだよ。
ああ痛え。
(千香)でキリコさん。
ご用命は?千香ちゃんは昔のバタークリームいっぱい使ったケーキをあしたの夜までに作って。
それから清ちゃんは商店街に働き掛けてできるだけたくさんのお年寄り集めてきて。
(清助・千香)はあ?さっさと散る。
時間ないよ。
(キララ)あのう。
私たちは?壁の花。
(栞)何ですかそれ?昭和史で習わなかった?舞踏会で男に踊りに誘われるのひたすら壁際で待つ女。
(キララ)壁ドンを期待して?まあそういうことかな。
今も昔も女心は変わらないってことかな。
栞ちゃん。
いい人見つかるかもよ。
(栞)えっ?もしそうなったらどうしよう?もっともお客はおじいちゃんばっかりだけどね。
さあ行動開始。
(キララ)熱があるカッキーは仕方ないとして涼君のお役目は?フフフ。
聞いて驚くな。
今回の主役。
シンデレラ姫をエスコートする役。
(キララ)えっ!?24歳と八十何ちゃらのおばあちゃん。
今はやりの年齢格差婚に発展するかもね。
フフフ…。
(カッキー)
キリコさんがいつもの調子を取り戻してくれたのは一安心なのですが…
(カッキー)ああ。
ああ…。
また熱出そうだ。
(涼)いよいよ今夜は待ちに待った舞踏会ですね。
(蔦江)そうね。
バイク便屋さんの…。
えーと。
(涼)涼です。
上山涼。
(蔦江)ああ。
そうそう。
上山さん。
(蔦江)どこかでお会いしましたかしら?
(涼)えっと。
いや。
だからそのう…。
坪内先生に恋文をお届けしたのはこの僕です。
(蔦江)そうだったわね。
ありがとう。
でもね。
私一抹の不安がありますの。
(蔦江)坪内先生ホントにプロポーズしてくださるのかしら。
(蔦江)あの方冗談がお上手だから最後の最後になって「僕は君を担いでいたんだ」なんておっしゃりはしないかしら。
(涼)いや。
蔦江さん。
あなたほどお美しい女性を夢中にさせておいて土壇場で裏切る男性などいやしません。
(蔦江)それならよろしいんですけれど。
戦争がね。
戦争はいとも簡単に人の心を変えてしまいますから。
今の今も戦死なさってる方が絶えないというのに私一人だけ幸せになってしまってよろしいのかしら。
(涼)いいんですよ。
いつの世もこの世の中は男と女で成り立っているんですから。
(蔦江)今のお若い方にはお分かりにならないかもしれない。
(蔦江)私もかっぽう着を着て日の丸の旗を振って出征する兵隊さんたちを見送ったんですから。
(涼)これ僕からのお祝いの品です。
まあ。
スミレの花。
(涼)季節外れなんで造花ですけど。
(蔦江)ありがとう。
(涼)どういたしまして。
(蔦江)あのね。
あなたにだけ告白してしまいますわ。
私ね帝國会館の獅子の置物の下に落書きしてしまったことがありますの。
(涼)どのような?
(蔦江)私と坪内先生の相合い傘。
今夜それを確かめるのが楽しみだわ。
このこと内緒よ。
非国民だなんて罵倒されて憲兵に引っ張られたら困りますから。
(涼)はい。
えっ。
何?相合い傘の落書き?
(涼)そうなんだ。
よし。
分かった。
それより涼君さ坪内先生に成りきる予行演習しっかりできた?それがさ今日は蔦江さん俺のことをバイク便屋だって。
うーん。
まだらぼけ。
(涼)うん。
(敦也)ああ。
何何?「たかだ」は高田馬場の高田。
うーん。
「つたえ」は絡まる蔦に江戸の江?「つぼうち」は一坪二坪の坪に内側の内。
ってことは「ちから」は力持ちの力だな?違う。
大石主税の主税。
(敦也)大石ってあの『忠臣蔵』のか?確か内蔵助の息子だよな?はて?どういう字だったっけか?もう。
入道さんじゃ分かんない。
純也君。
「ご主人さま。
おかえりなさい」の主に…。
(純也)分かった。
悦楽の悦だね?
(敦也)はあ?悦楽?
(清助)年寄り片っ端からかき集めてくれよ。
よぼよぼのじいさんでもばあさんでもいいからさ。
(藪下)いや。
舞踏会なんだろ?踊れなくちゃまずいんじゃないのか?
(清助)いいんだよ。
じいさんばあさんも壁の花だよ。
壁の花。
(栞)壁の花って…。
(キララ)何だよ。
要するにモテなくてあぶれてる女ってことじゃん。
(千香)空気を抱き込むように白っぽくなるまで混ぜ合わせて。
(敦也)ありがとうございました。
ハァー。
暑くてたまんねえ!ハァ。
熱中症になりそうだ。
・
(ノック)
(カッキー)カムイン。
あのさ。
悪いんだけど…。
すみません。
私熱がまた。
あのさ。
ちょっと。
あっ。
ちょっと。
もう。
悪いと思ってるんだったらほっといてくださいよ。
ねえ。
うん?この曲のCDかレコード捜してくんない?えっ?どこにしまっちゃったのか見当つかないんだよね。
この店のどっかには必ずあるんだけど。
ねえ。
さっさと起きて捜す。
ちょっと。
病人虐待しなくても。
自分で捜せばいいじゃないですか。
私は舞踏会の準備で忙しい。
ホントにやるんですか?舞踏会。
やると言ったら必ずやる。
それが諜報員の使命だ。
諜報員?傷病兵には今回の任務の中で一番軽い仕事を与える。
寝ている暇はない。
捜す!
こうして無謀ともいえる舞踏会がいよいよ開かれることになったのです
・
(・『ウィーンの森の物語』)
(敦也)こんばんは。
坪内先生に蔦江さん。
ようこそ帝國会館へ。
(涼)うむ。
出迎えご苦労。
先生。
ちょっと失礼。
(清助)どうぞ。
(涼)ありがとう。
(涼)それでは蔦江さん。
私たちの将来に。
私たちの将来は結構なんですけれど。
先生。
この国の将来はいったいどうなるんでしょうか?私戦争はもう二度と嫌ですわ。
私たちのような暗黒の青春を次の世代にもまたその次の世代にも絶対に背負わせたくはありません。
ええ。
それもこれも何でも人任せにしちゃ駄目なんだよ。
ねっ?蔦江さん。
いつの時代もさ何じゃかんじゃ理由つけて戦争したがる連中が後を絶たないんだ。
こんなもん…。
さっさと脱ぎ捨てて盛大に舞踏会楽しもうじゃありませんか。
あなたキリコさん?そう。
そうよね?さあ皆さん。
ワルツ。
(・『ウィーンの森の物語』)
(涼)お嬢さま。
お手を。
(富子)そういや昔一度父ちゃんと踊ったね。
(清助)えっ。
ホントかよ母ちゃん。
(富子)『東京五輪音頭』
(清助)あ痛っ!それ盆踊りじゃねえかよ。
(キララ)何なんだろうね?相手がばあさんでも何かこう心が落ち着かないんだよな。
(栞)そういうの嫉妬っていうんじゃない?
(キララ)嫉妬か。
私の4倍も生きてるばあさんにねぇ。
(栞)戦争くぐり抜けてきた世代って強いよね。
(キララ)うん。
どこまでぼけてんだろ?あのばあさん。
(蔦江)先生。
(涼)はい。
(蔦江)あなた坪内先生ではなくってよね?バイク便の上山涼さんでしょ?ねっ?そうよね?
(カッキー)すみません。
キリコさん。
もうどうしてもあの曲が見つからないんです。
(カッキー)どうします?キリコさん。
キリコさん?ありがとう。
坪内先生になってくださってありがとう。
・
(音楽)
(蔦江)あのとき…。
先生とお約束をした舞踏会が開かれる前の夜東京は激しい空襲に見舞われた。
辺り一面焼け野原になってもう舞踏会どころの騒ぎではなかった。
案の定最後の舞踏会は中止になった。
うちが焼け出されてそのまま母の故郷に疎開した。
だから先生とは舞踏会の約束をしてそこでプロポーズしてくださると聞いたままそれっきり。
(蔦江)長い長い戦争が終わって疎開から引き揚げてきて私はすぐに真砂町の先生のお宅に伺った。
でも先生は外務省のお仕事で再びドイツへいらっしゃっていて。
そのまんま時間だけが過ぎて。
何年かたって真砂町に伺ったら奥さまがいらっしゃっていて。
(蔦江)あのとき舞踏会が開かれる前の夜空襲さえなかったら先生と私は…。
先生と私は…。
(涼)ではなぜあのようなお手紙を僕に託したのですか?えっ?なぜ?お返事など期待しておりませんでした。
私の片道切符でいいと思ってあのお手紙を書いた。
でも思いがけずあなたとキリコさんが私の自己満足の一人芝居をこんな素晴らしい舞踏会に。
申し訳ないけれど私それに乗せさせていただいたの。
最後に一つぐらい夢をかなえたいと思って。
(涼)蔦江さん。
残念ながら皆さま。
そろそろお開きの時間となりました。
最後の曲思う存分踊っていただきたいと存じます。
音楽スタート。
涼さん。
あなたとキリコさんは気付いてらっしゃったのね?私がまだらぼけを装ってるということを。
そして私がホントにもう長いことはないということを。
生きてね。
涼さん。
女と男の愛を引き裂く戦争なんてもう絶対に…。
(蔦江)ああ。
わが人生最良の日だわ。
戦争に引き裂かれちまった恋。
悲しい過去をずっと抱えながらばあさんは生きてきたんだ。
ばあさんと踊りながら涼も気付いたんじゃねえかな。
生きるのに理由なんて必要ねえ。
この世に生まれたこと自体が素晴らしいんだってさ。
2015/09/14(月) 13:25〜13:55
関西テレビ1
癒し屋キリコの約束 #31[字][デ]【死ぬまで恋に生きる女】
今週は今が戦時中だと思い込む老女と、無敵のIT長者をキリコ(遼河はるひ)が癒す!平成の喫茶店が昭和の迎賓館に早変わり!そして癒し屋のあの仲間がまさかの裏切り!?
詳細情報
番組内容
目まぐるしく次々起こる出来事に疲れ、体調を崩してしまったカッキー(前田亜季)。そんなことにはお構いなしに今日も新たな相談が純喫茶・昭和堂に持ち込まれる!
「先生が、正式にわたくしにプロポーズを?」と涼(戸塚祥太)に問うのは、彼のことを20年近くも前に亡くなった初恋の人だと、時々勘違いしてしまう老女・蔦江(山本陽子)。蔦江は現在を70年前の戦時中だと思っているらしかった。
番組内容2
このご時世にプロポーズを受け、自分だけが幸せになっていいものか…。涼は、悩む蔦江を癒したいと、勇気を振り絞り、キリコ(遼河はるひ)に相談を持ちかける。
涼から初めて相談を受け、そんな彼の心境の変化を喜ぶキリコ。涼の頼みならば、と純喫茶・昭和堂を戦前にあった下町の迎賓館に飾り替えて、蔦江が楽しみにしているという舞踏会を開くことを決断!
番組内容3
舞踏会当日、キリコの命令一下、癒し屋の仲間たちは迎賓館の古い図面をもとに昭和堂を飾ったり、時代物の衣装や踊り手をかき集めたりで大わらわ。こうして、無謀とも言える舞踏会がいよいよ開かれる。はたして涼は蔦江を癒すことができるのか…!?
出演者
有村霧子:遼河はるひ
柿崎照美:前田亜季
上山 涼:戸塚祥太(A.B.C−Z)
小出清助:長谷川朝晴
都幾川敦也:小林正寛
キララ:中山来未
本城 栞:吉原茉依香
小笠原千香:月船さらら ほか
スタッフ
【原作】
森沢明夫『癒し屋キリコの約束』(幻冬舎文庫)
【脚本】
佐伯俊道
【演出】
星田良子
【プロデュース】
市野直親(東海テレビ)
高橋萬彦(共同テレビ)
【音楽】
森英治
【主題歌】
「Thank You For The Music」ラストヒロイン(中山来未)(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
【制作・著作】
共同テレビ
【制作】
東海テレビ
ご案内
【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/iyashiya_kiriko/
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