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ニコ動で『デレアニ』22話 配信中!
前編はコチラ
今回は秋のライブ回。シンデレラプロジェクトだけでなく(歌の描写が少なかったことが残念でならないけど)プロジェクトクローネも頑張っていましたね。
○クローネにはクローネの物語
・クローネにはクローネの絆
ありふみという奇跡シンデレラプロジェクトのラブライカや*、そして*withなつななもそうだけど、こういう新しいユニットの誕生ってアニメの効用だよね。こまっしゃくれたありすと内気な文香。どっちがどっちの手を引くのか、色々と妄想が捗るコンビだと思う。
シンデレラプロジェクト達とは対照的に、始まる前でもあまり声を掛け合っていない辺り、そして結果的に緊張とプレッシャーから来る過呼吸で倒れるトラブルを生じさせてしまう辺り、まだまだ「チーム」になりきれていないクローネの弱さが出てる。唯やフレデリカみたいにグイグイいけるならいいんだけど、この二人なら積極的に会話とかはしなかったろうし。
そういった辺りにも文香にとっての重圧の素があったのかも。
文香が倒れてこんな顔になってしまうあたり、ありすにもある程度文香に対する信頼や依存のようなものがあったかもしれない。目の前で大人が、それもパートナーが倒れればショックを受けてしまうのは当たり前だしね。ツンケンしててもまだ少女だ。
周子とやっていた「ありすちゃん♪」「名前で呼ばないで下さい!」は、周子の表情からすると『いつものやり取り』『お約束』なんだろう。周子なりに、ありすの緊張を解してあげようという冗談の一環。小さな部分に思いやりがちゃんと見え隠れする。
そして逆に、それを真に受けているのかどうなのか、文香が「橘さん……」と呼ぶのもまた、文香なりにありすを尊重しようとしている心情の表れだと思う。互いに距離がありつつも、気を遣っている様子が見える。
そんな『距離』も『気遣い』も見えるからこそ、逆にありすからも一歩。
おそらく自分のせいで文香が作ってしまった壁を、自分から乗り越える。尊い……。
この「困難を乗り越える中で互いに一歩ずつ歩み寄る」というのはシンデレラプロジェクトでもずっと繰り返してきた事だ。ニュージェネも、ラブライカも、Pと蘭子も、杏とちえかなも、きらりと年少二人組も、*の二人も。プロジェクトクローネにも、彼女達なりの絆がある。
奏が言っているけれど、前回ラストや今回の前半でお互いに距離があったのは、別に仲が悪いとかじゃなくて、歩み寄り方が分からなかったからってだけなんだよね。あるある。クラス替え直後の教室だ。シンデレラプロジェクトで言うと2~4話くらい、みくがニュージェネに挑みかかっていた頃の間柄ってところだろうか。アイドル達同士の絆を鑑みず各部署からアイドルを引き抜いてきた直後に大きな仕事を担わせるという常務のやり方の弊害がこういう形で出ている。
そうしたクローネのアイドル達も、今回のような危機――シンデレラプロジェクトで例えれば5話や6・7話、あるいは8~12話のような、トラブルや悩みを乗り越えて「チーム」になっていく。今回描かれたのはその第一歩目といったところかな。
オールメンバーでのステージの直前の円陣はシンデレラプロジェクトと並列されて描かれる。まるであの13話のようだ。(だからこそ、この直後の美しかったであろうステージを描いて欲しかったなあ!w)
・クローネにはクローネの個性
文香が倒れて真っ先に支えるのが奏なんだね。このメンバーの中でこういう先導者・まとめ役的役割を取れるのはこの子しか居ない気がするし、文香の異変にもちょっとだけ気付いていたっぽいし(気付いただけだけど)。その次にリーダーシップみたいなものを取れるのが周子かな。『プロジェクトクローネ』という枠組みの中での、それぞれの立ち位置というのがちょっとだけ見える。この子達のお話も、もっと見てみたいな。
そんな彼女達にも、ライブ以外にもまだまだお仕事はある。
バ ハ 枠
『Magic hourのお茶会』によればクローネのアイドル達はアイドルとしてまだ燻っている所を常務に見出された子が多いようだし、これからどんどん多くのファンに囲まれ、光に照らされていくんだろう。『それぞれに相応しい』あり方で。シンデレラプロジェクトだけじゃない、(常務が言ってることはともかく)常務の方針の下でこそこうやって輝ける個性もある。
・クローネにはクローネの笑顔
緊張とトラブルの中で笑顔が失われていた今回のクローネアイドル達だけど、シンデレラプロジェクトの補佐もあり、苦難を乗り越える中で、『彼女達らしい笑顔』を取り戻す。そうそう、この子達もまた笑顔が素敵な女の子なんだよ。「パワー・オブ・スマイル」に対する常務の考えはともかく、アイドル達はアイドル達同士で笑顔を導き合える。その笑顔はこんなにも素敵だ。
逆に見ると、常務は「346に相応しいやり方を通す」と言っているけれど、アイドル達の『絆』『個性』『笑顔』を抑え付けているわけではないんだよね。放任といえば放任。自主性に任せているといえば任せている。
というより常務これ、「やり方が一貫していない」ってんじゃなくて、「『プロデュースの方向性』以外の事に関してまるで無頓着」なんじゃないかな。仕事の部分、『仕事の方向性』『仕事のやり方』に関しては徹底的に一貫して縛る。それ以外のことに関しては不干渉。それも『「好きにしろ」と言う』以前にそもそも見えていなかったんじゃ。そしてしかし、アイドル達は仕事以外の部分で好き勝手に絆を育み笑顔を磨いている。
シンデレラプロジェクトでは、4話が象徴的だけど、Pが積極的に『彼女達が絆を育むイベント』『笑顔を磨ける仕事』を用意した上で個性を輝かせるわけで、常務のやり方とは対比的なんだけど……
唯にしろフレデリカにしろ、「お仕事の内容よりも、上に行けること自体を楽しんでいる」。奏やトライアドプリムスは「常務の方向性と彼女達の個性が輝く方向性が一致している」。そうして常務の意図とは別に、絆が育まれ、笑顔が磨かれ、個性が輝いている。こいつら……いいチームかもしれない。
・『Hotel Moonside』
大好き!アイマスでもトップクラスにオシャレな、イノタクさん渾身のEDM。深く耽溺できるこの濃紺の一曲が冒頭から背筋を震わせてくれる。また奏の表情がいいんだ。
・『Nebula Sky』
アーニャソロ新曲!20話の『この空の下』と対になるんだろうか。広がりのあるミディアムでありながらもAJURIKA仙人らしい重さのあるベースとキック、そしてその上に乗ったアーニャの素直な歌声がとても印象的な一曲。ミナミに寄り添うのではなく、ソロとしてしっかり背筋を伸ばして立って歌い上げるアーニャの姿が誇り高い。
というか、ラブライカ、或いは今回の新田ちゃんソロの『白』に対する『黒』のアーニャがいい。常務自身はその対比を狙ったわけじゃないだろうけど……是非この衣装でデュオやってほしい。
(この、珍しいレベルで感極まったアーニャの「はいっ!」が最高)
デュオでステージに立つのでなくても、二人は互いに影響し合える。20話でのアーニャの決意と21話での新田ちゃんの決意とが、二つのステージに生きている。
・『Trancing Pulse』
ほんともう、凛のこれまでにない強靭で伸びやかな歌声、驚く程に美しく混じりあう三人の和声、上松さんらしいビカビカ光るピアノの叫び、全てが「私たちトライアドプリムスです!!!!」と主張している。ホント素晴らしい。
○『シンデレラプロジェクト』の物語
いつもいつも、今回もまた「この部署」の事を案ずるみく。その責任感というか仲間への思い遣りはやっぱり美しく頼もしいけど、今回のテーマは「それは一旦忘れて、『笑顔で』『楽しむ』」だった。つまり、責任感で笑顔を曇らせるよりも、「笑顔で楽しむ」ことこそがこの部署のテーマであり、この娘達の魅力であり、それが最終的な成功へと結びつく、ということ。
アーニャのステージに感嘆する新田ちゃんを見て微笑むみく達にも、その成功への萌芽がちゃんとある。
「魂を輝かせてきて下さい(ステージ、楽しんできて下さい)」
「同胞たちを誘う導き手となろう!(皆のトップバッターとしてがんばります!)」
もう、この二人のやり取り、傍から見れば爆笑モノなのに、8話や13話や21話を知るからこそ泣くほど綺麗でしょう! 8話で互いに一歩ずつ歩み寄ってコミュニケーションを交わしたPと蘭子……13話や21話で素直な気持ちを素直な言葉で表現した蘭子に、あの8話で必死に蘭子語を勉強していた(自分自身でも言葉でのコミュニケーションが苦手だった)Pが、逆に蘭子語で語りかけるというの、本当に美しいでしょう!
こういうPだからこそ皆は信頼する。
トラブルに見舞われ急転直下な舞台裏で凛が「あの……!」って声を上げたのは「シンデレラプロジェクトのPに頼んでみたらどうかな?」って言おうとしたんじゃないかな。それより先に飛び出した未央が連れてきたわけだけど。
そして、ホント、1話の……というか、もうデレマス稼働初期からの有名セリフ「アンタが私のプロデューサー?」にここで返答するのも綺麗過ぎるよね!
「私はアナタのプロデューサーですから」
もう、その関係性が、その力強さが、その成長ぶりが、嫉妬するくらいに羨ましいぞ。765のあの男にも匹敵する。
・『華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~』
そんなPに見守られてノ個人曲。『ラプソディーア』をらんこうめで歌うっていうのは本当に盲点だった。あのCDで一緒にラジオパーソナリティを務め、劇中でも仲の良さが描かれていた二人だ。
間奏直前の二重台詞は元々「蘭子の二面性」を表現していたわけだけど、それをステージ上で無理なく歌うために小梅ちゃんを連れてくることでまた解釈が変わってくる。
デュオとして、蘭子と小梅ちゃんが相克するような歌い方。これもまた面白い。
・『ヴィーナスシンドローム』
そして『白』の新田ちゃん! いつもの柔らかい瞳の中に、いつにない強い意志が篭っているのが実にいい。蘭子もアーニャも、皆で見守っているのもいい。あの6話も思い出す。あの時は小さな輝きを固唾を呑んで見守っていたけど、今はもう頼もしげな視線を送っている。序盤での新田ちゃんの姿も含め、隣に立たなくても支え合えているラブライカの姿が、蘭子達や*の二人に、シンデレラプロジェクトだけに拘らない広い視野を持つ力を与えている。
シンデレラプロジェクトはもうチームとして完成していると言っていいかもしれない。戻って来る場所があるからこそ凛も外へ飛び出していける、アーニャも未央も一人で頑張れる、*もなつななと共にやっていける。そこで多少の困難が起きるのなら互いにカバーし合う事もできる。それを確かめ合う中で智絵里ちゃんが、あの智絵里ちゃんが「私でよければ(カバーします)!」って言えているというのが本当に素晴らしい。彼女達の絆と成長は美しい、本当に。
○『トライアドプリムス』の物語
今回をトライアドプリムスの物語として見てみるとまた美しいんだよね。実感があまり湧かない状態から緊張に叩き込まれるのは3話の未央達と同じ。そこに『先輩』がやって来るのも同じ。でも、未央達は3話のライブを経験しているだけに、さらに『大切な仲間である凛』がそこにいるだけに、その支え方はより深く熱かった。
(ここのドヤむーがかわいい)
未央の「しぶりんを頼んだよ!」という言葉からは、もう『敵味方』という概念が消失している。
(奈緒の太眉ほんとかわいい)
未央は、20話のラストじゃ「トライアドプリムスとニュージェネレーションズ」という対立項の中で心を惑わせた。けど、21話で凛が探したいものを先に見つけ、22話前半で直接語り合って想いを確かめた未央には、もう奈緒と加蓮は凛を託す仲間だ。元々は「一緒にやろうよ!」と言っていた間柄。ハードルは低かった。
そうした『先輩』に送り出されステージへ向かうトライアドプリムス三人。この、想いと力が連鎖して次へ繋がっていく様子が本当に良い。150人以上のアイドル達を抱えるデレマスを美しく彩る要素が凝縮されている。
そしてあの極限に素晴らしい『TP』のステージの後、凛が帰っていくのは『トライアドプリムス』であり『シンデレラプロジェクト』両方なんだよね。
その両者にもう垣根は存在しない。凛はもうどちらにでも立てる。もうシンデレラプロジェクトもクローネも関係なく、彼女達は一つの仲間だ。『トライアドプリムス』としても、シンデレラプロジェクト・プロジェクトクローネ両方から祝福される。
○これは絆の物語
そうやって、プロジェクトクローネの絆、シンデレラプロジェクトの絆、トライアドプリムスの絆、アイドル達の絆を美しく描いていくからこそ、その『絆の物語』に打ちのめされる卯月を包む闇が深く映る。卯月はこの物語の中で、Pが言い小日向ちゃんが実践する『笑顔で』『楽しむ』ができていない。凛を送り出す時には、卯月は今回もちゃんと笑顔なんだよね。前回ラストのように。
いつものような、本当に屈託の無い笑顔(光量の違いに不安を感じるけど)。穿ち過ぎかもしれないけど、「このステージが終わったら凛ちゃんは帰ってくる。また三人元通りになる」と期待しているようにも見えるんだよね。そんな卯月に送り出された凛がステージで光り輝いているというのが本当に皮肉。卯月の笑顔に送られた凛が卯月を置いて行ってしまう。卯月は、凛のステージを楽しめていただろうか?
今回、卯月はニュージェネ三人としかまともに笑顔を交わせていない(春色姫君とも背中越し)。どこまでもニュージェネに内向きな卯月が、『既存ユニット・既存のプロジェクトを超えて行きながらもその絆を保つことができる』という成長を成し遂げた皆の絆から取り残されるというのは、ある意味必然だったかもしれない。例えば6話でも、卯月は凛と未央への依存が妙に強かった。そして同じく6話のラジオや、15話の「新しい活動を考えよう!」でも、卯月は具体的な未来を描けていない。『ニュージェネの絆』『「今のまま」の延長』に拘泥しすぎていたのかな。その『ニュージェネの絆』が"壊れそうになって"、卯月は拠り所を無くし、笑顔を失ったのかも。19話でも「解散」という言葉に異常な拒絶反応を示していたし。
7話で卯月が踏んだ『ガラスの靴』は、もしかすると卯月自身のものだったのかもね。あれ以来、モチーフとしてのガラスの靴は出てきていない。次回、それが修復されるんだろうか。
卯月から見ると「ニュージェネが壊れちゃう」「居場所がなくなっちゃう」にも見えるかもしれないけど、卯月の見ていない所で、未央も凛も「ニュージェネのために、今は外で頑張る」という想いを交わしているんだよね。卯月からは、未央と凛のニュージェネに対する熱い想いも、自分自身の笑顔の魅力も、色んなモノが見えていない。その見えていないものを改めて見つけるのが、今の卯月のテーマになっていると思う。
色々な場所で描かれてきた点が、線として繋がって、ライブの成功や彼女達の成長や絆の美しさや、そして卯月の打ちのめされる姿に繋がって行っていることが見えてきます。今回描かれたこともまた、いつかの日に繋がって行くのでしょうかね。
後編では、Pをもう少し深くと、部長と常務、そしてライブについて。
それでは、佳きアイマスライフを。
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いつも楽しく読ませていただいてます。
思い返すと卯月って部署内でも凛以外と個別に会話する場面がほとんどなかったですね。みんながいる場面では会話に参加していましたが、卯月と個別で絡むメンバーがいない。そういう意味で内向きな卯月はPは性格の近い小日向ちゃんと組ませたのだろうかと考察したくなります。
卯月が抱える心の闇は「孤立の恐怖」と「現状を保つことしかできない無力感」ではないかと思います。1話でのPとの初対面、あのとき卯月は怯えていましたがPの外見以外にもあの場で自分しか周りにいないことの反応とも取れます。NG解散の危機、凸レーションの時の留守番、秋のライブまでの流れも結果として周りから一人取り残されているし、候補生時代は最後の一人になっていました。NG内では年上なのに二人をけん引できなかったりダンスがうまく踊れなかったり、NGはデビューが一番最初なのに躍進はプロジェクトの最後になったりと、周りの状況も相まって卯月本人の頑張りはあまり報われていません。それゆえの「頑張ります」であり、周りに心配をかけないための「笑顔」だったのかなと。
書いてて卯月がすごく不憫になってきました。この頑張ります娘の努力が報われて、心からの笑顔が見れる結末になってほしいものです。長文失礼しました。
思い返すと卯月って部署内でも凛以外と個別に会話する場面がほとんどなかったですね。みんながいる場面では会話に参加していましたが、卯月と個別で絡むメンバーがいない。そういう意味で内向きな卯月はPは性格の近い小日向ちゃんと組ませたのだろうかと考察したくなります。
卯月が抱える心の闇は「孤立の恐怖」と「現状を保つことしかできない無力感」ではないかと思います。1話でのPとの初対面、あのとき卯月は怯えていましたがPの外見以外にもあの場で自分しか周りにいないことの反応とも取れます。NG解散の危機、凸レーションの時の留守番、秋のライブまでの流れも結果として周りから一人取り残されているし、候補生時代は最後の一人になっていました。NG内では年上なのに二人をけん引できなかったりダンスがうまく踊れなかったり、NGはデビューが一番最初なのに躍進はプロジェクトの最後になったりと、周りの状況も相まって卯月本人の頑張りはあまり報われていません。それゆえの「頑張ります」であり、周りに心配をかけないための「笑顔」だったのかなと。
書いてて卯月がすごく不憫になってきました。この頑張ります娘の努力が報われて、心からの笑顔が見れる結末になってほしいものです。長文失礼しました。