(花村乃里子)
私がその人たちと初めて会ったのは今から半年ほど前汐留駅の構内をパトロールしているときだった…
(小林みどり)離して!離してってば!
(三崎真弓)主任あれは…!?ひったくりだわ急いで!コイツ!コノヤロー!おい!鉄道捜査隊の者です。
そこを動かないで!
(柏木麗子)あっ痛い!大丈夫ですか!?
(麗子)ええ…それより早くあいつらを捕まえて。
バッグを奪われかけた女性は小林みどりという名のモデルさん
危ういところを救った男性は青柳恒夫といい新宿で金融業を営んでいるとのことだった…
すいません。
私のせいでこんなことになってしまって…。
ううん。
気にしないで。
バッグ盗られなくてよかったわね!ええ…。
本当にありがとうございました。
(青柳恒夫)いやいや。
お役に立って私もうれしいですよ。
これで大丈夫だと思います。
ありがとう。
おかげで痛みもなくなったわ。
あなたモデルさんだっておっしゃったけどどんなお仕事なさってるの?それが…最近あまりいい仕事がもらえなくて…。
そう…。
実はね…。
私もこういう会社やってるのよ。
(みどり)モデルクラブオフィス麗。
名前ぐらいは聞いたことあるでしょ?よかったら一度遊びにいらっしゃい。
ああそうだよそれがいいよ。
この人はね業界にも顔が広いからあなたのことを大々的に売り出してくれるかもしれませんよ。
ハッハッハ…。
それから2〜3か月経ったある日私は再び青柳恒夫の姿を見かけた
大丈夫ですか?
あのときの親切な男性とはまるで別人のような冷たいまなざしだった…
うう…。
うっ…。
あっ…!ああ〜!あれ!?この人…!何なの?あっこの人あのときの男性ですよね!?ほらこの人…。
夕刊の記事によると犯行時刻は今朝の9時半ごろ
鋭い刃物で背中を数か所刺されておりその1つは心臓にまで達していたという
でもこのときはまだ私自身がその事件に関わりあうことになるとは考えもしなかった
断言はできませんが殺害方法はよく似ていますね。
主任!おはようございます。
おはよう真弓ちゃん。
おはようございます。
おはよう。
おはようございます。
おはようございます。
(久我達也)おはようございます。
捜査主任の花村警部補ですね?ええ。
そうですけど。
あなたは?今日からお世話になる久我です。
よろしくお願いします。
(倉田剛)おうもう来ていたのか?あっ課長。
おはようございます。
おはよう。
ああ紹介しよう。
今度うちの課に配属された久我…誰だっけ?達也です。
ああそうか…。
達也巡査長だ。
よろしく。
それじゃあ新任の捜査官?
(望月春樹)えっそんな話聞いてませんよ。
そりゃそうだろう。
急に決まった話だからな。
あっ君の席は三崎君の前のここだ。
はい!頼むよ。
(真田)失礼します。
こちらの責任者の方は…?課長の倉田ですが何か?愛知県捜査一課の者です。
職務で久我という巡査長に話を聞きたいんですが。
久我にですか?はい。
おい。
はい。
早速ですがあなたは先月の24日午前9時30分ごろどこで何をしていらっしゃいましたか?えっ何でそんなこと?俺が何をしたというんです?
(宮川)質問しているのはこっちだ。
君は訊かれたことに答えればいい。
ちょっと待ってください。
それじゃあまりにも一方的じゃありませんか?あなたは?主任の花村です。
久我捜査官に何かの疑いがかけられているんでしょうか?いえ決してそういうわけでは。
ただ殺人事件の容疑者のアリバイを立証していただきたいだけなんです。
容疑者のアリバイを?先月24日名古屋駅前のホテルで殺人事件が発生しました。
被害者は東京新宿の金融会社社長青柳恒夫50歳。
この人です。
東京の金融業者がなぜ名古屋で?青柳社長の会社「ブルーファイナンス」は名古屋に支店があり月に一度は業務チェックのために来てました。
殺人現場となったホテルはその際の常宿でした。
その事件のことは新聞で見ました。
鋭い刃物で背中を刺されていたそうですね?おそらく凶器はサバイバルナイフのようなものだと思われますが加害者が持ち去ったらしく現場には残されていませんでした。
でも背中を刺されたのは相手に対して無防備だったということじゃないんですか?おっしゃるとおりです。
私共も加害者は女性だと考えています。
女と泊まっていたんですか被害者は…。
少なくてもチェックインの段階では1人でした。
しかし隣の部屋に泊まっていた客が若い女の声を聞いたと証言しています。
そこで名古屋東京と聞き込みを続けた結果1人の女性が浮上してきました。
若宮夕子25歳。
大手商事会社大明興産の重役秘書ですが事件の半月ほど前被害者と激しく口論しているのを目撃されています。
口論というと?
(真田)詳しい内容はわかりません。
そこで本人に会って確かめたところ…。
(真田)それじゃ青柳さんと口論した理由は話したくないと…。
(若宮夕子)はい…。
私の個人的な問題ですから…。
被害者とどういう関係だったんだ?おい警察を甘く見るんじゃないよ。
ちょっと調べればわかることなんだよ。
まあいいでしょう。
それよりあなた先月24日の午前9時半ごろどこにいました?旅行中で信州のほうへ。
その時間は電車に乗っていました。
電車に?飯田線の上り。
各駅停車の電車です。
本当かな?そのことを証明する方法はある?はい。
旅先で知り合った男の人と一緒でしたから。
久我達也さんという警察官の方です。
えっ!?警察官?どうなんだ?君に覚えはあるのか?はいその人の言ったとおりです。
あの日の午前中俺たちはJR飯田線の電車に乗っていました。
間違いありませんか?ありません!長野県の辰野駅を朝の5時前に出発して終着駅の愛知県豊橋まで6時間半。
ずっと若宮さんと一緒でした。
東京へ帰ってから彼女と会ったことは?一度食事に誘ったことは…。
ああつまり彼女に好意を持っているわけだ…。
だから何なんです!?俺が若宮さんをかばっているとでも言いたいんですか?いやいや!別にそういうわけじゃないよ。
だったら若宮さんを疑うのもやめてください。
あの人が殺人事件の容疑者だなんてとんでもない誤認ですよ。
そうですか…。
あの人たち久我さんのところへも?ご迷惑をおかけしてすみません。
いやそんなことはどうだっていいんだよ。
彼らの勘違いだってことははっきりしているし。
それより今度また食事でもどう?今日は俺も予定があるけど明日の夜なら…。
せっかくですけどそれはちょっと…。
どうして?何か都合の悪いことでもあるの?ええ。
あの…私もう会社に戻らなきゃ…。
えっ若宮さん?ごめんなさい。
それじゃあ…。
若宮夕子さんね?ええ。
あなたは?私は花村乃里子。
久我巡査長の上司にあたるものです。
久我さんの…?あなた亡くなった青柳さんと口論した理由は話したくないと言ったそうだけどどうして?ですからそれは個人的な問題だと…。
もしかしてあの人の会社からお金を借りていた?やっぱり…。
でも借りたのはあなたじゃなくてあなたのお父さんね。
どうしてそのことを?ご近所の人から話を聞いたの。
去年の夏工場を閉鎖するときに従業員に支払う退職金やら何やらでお金が要るってこぼしていたって…。
お父さん今はどうしていらっしゃるの?ちょっと体を壊して入院しています。
そう…。
それであなたは青柳社長に会いに借金の返済を延ばしてくれるように頼みに行ったのね?ええ…。
でもそのことと社長さんが殺されたことには何の関係もありません。
私にはアリバイがあるんですから…。
ええ。
それは知ってるわ。
だったら私のことを調べる必要はないはずです。
もう帰ってもらえませんか?わかったわ。
お邪魔して悪かったわね。
お義母さんただいま。
(花村光代)おかえり乃里ちゃん。
遅かったじゃないの。
みなさん待ちきれなくて始めちゃってるよ。
すいません。
あっそれじゃこれを私が…。
はいお願いね。
私ほらお酒運ぶからね。
おいしそう〜!おいしそうでしょ。
今日はお前の歓迎会なんだからな。
どうもすいません。
遅くなってすみませーん!ああやっと帰ってきた!どこ行ってたんですか?ちょっと寄り道をね。
それよりはーい!花むら自慢の特別料理!すごいね。
うわぁ〜おいしそう!いっただきまーす。
今夜は貸切みたいなもんですからねどんどんいってくださいね!まあこの人見てるとね吾郎のこと思い出しちゃうんですよ。
ああそういえばちょっと似てますかね。
誰ですか?吾郎さんって。
主任のご主人。
職務中に殉職されたんだ。
殉職…!?ええ。
吾郎ちゃん!?吾郎ちゃん。
吾郎ちゃん!吾郎ちゃん!どうして…。
あらら何だか座をしらけさせちゃった…。
いやいやひとつどうぞ。
私引っ込みますからどうぞごゆっくり!ありがとうお義母さん。
どうもありがとう。
はい。
すいません。
じゃあね。
ねえ久我さんちょっと訊いていい?何ですか?若宮夕子って人のこと。
一緒に6時間半も電車に乗っていたってどういうこと?それには事情がありまして…。
何だよいいから話せよ。
一体どこで知り合ったんだよ?先月の23日に俺は2日続きの非番を利用して信州のほうに旅行に行ったんです。
とりあえず諏訪で降りて諏訪湖のほとりを歩いてみました。
近くに足湯というのがあったので俺もやってみたんです。
それじゃあどうも。
よかったらどうぞ。
私はもう使いましたから。
あっこれはどうも。
拝借します。
どうもありがとうございま…。
何だか夢を見ているような気持ちでした。
ところがそのあと諏訪高島城へ行ったときに…。
はあ…あれ?またお会いしましたね。
やっぱりあなたでしたか。
さっきはありがとうございました。
あっ…本当は洗うべきだったんですけどすいません。
別に返してくださらなくてもよかったのに…。
あのおひとりですか?ええ…。
あなたは?ひとりです。
もしよかったらどこかで昼飯でも。
そのお礼にごちそうさせてください。
それで?お昼ご飯に付き合ってもらえたの?ええ。
会計は割り勘にされましたけど。
でそのあとどうしたの?2人で諏訪の名所を見物して歩きました。
本当言うと俺は木曽路のほうへ行きたかったんですけど彼女と別れたくなかったんで…。
早い話が一目ぼれしたってわけだ。
まあ…。
それから夕方まで一緒にいて同じ旅館に泊まることになったんです。
えっ!もしかして同じ部屋に!?まさか…。
部屋は別々ですよ。
それに旅館に着いたらもうひとり仲間が増えちゃったんです。
恐れ入りますがこちらにご記帳をお願いいたします。
はい。
あら?若宮さんじゃない!ああ…。
あなたもこの旅館だったの?あなたの彼?ううんそうじゃなくて途中で一緒に。
そう…。
私にも紹介してくれる?いいですよ。
久我さんっていうの。
こちらはえっと…小林さんでしたよね?そう。
小林みどりです。
どうぞよろしく。
こちらこそよろしく。
小林みどり?たしかにそう言ってました。
職業はモデルだそうです。
やめて!離してってば!何か心当たりがあるのか?ええちょっと…。
その2人はどういう知り合いだったの?東京から諏訪へ来る列車で席が隣だったそうです。
小林さんもひとり旅ということで3人で夕食を食べたあと旅館のカラオケクラブへ行きました。
「夏が過ぎ風あざみ」「だれの憧れにさまよう」「八月は夢花火」「私の心は夏もよう」
(拍手)ああ楽しい。
久しぶりに歌っちゃった。
小林さんいけるじゃないですか。
ううんみどりでいいわよ。
もう友達なんだからさ。
ねえそれよりおふたりは明日の予定どうなってるの?あっ俺はまだ決めてませんけど。
私は飯田線で豊橋まで行くつもりです。
飯田線で!?ええ。
天竜川沿いの景色がすばらしいって聞いてるんでのんびり各駅停車の旅でもしてみようかと思って。
ふ〜ん。
それもいいわね。
そうだ!いっそのこと3人一緒に行きましょうよ。
そのほうがずっと楽しいわよ。
ねえ久我さん。
はあ…。
ねえ夕子さん。
とんとん拍子に話が決まって翌朝4時52分辰野駅発の始発電車に乗ることになったんです。
4時52分の始発とはまたバカに早い電車を選んだもんだな。
若宮さんが午後2時までに東京に着かなければならない用事があると言うことでそうなったんです。
だから俺たちも豊橋に着くとすぐに新幹線こだまに乗り換えて東京へ帰ってきました。
それだけ長い間若宮さんと一緒にいられてうれしかったんでしょう久我さん。
まあそういうことです。
飯田線の各駅停車だけど始発駅の辰野から終着駅の豊橋までたしか6時間半かかると言ったわね?ええ。
飯田線は駅も多いしおまけに単線ですからね。
上下線の待ち合わせ時間も結構長いんですよ。
その間も小林みどりさんはずっと一緒だったの?もちろんですよ。
ただ途中で隣の車両に寝に行きましたけどね。
隣の車両に?ふわ〜あ。
ああ〜眠い!もう我慢できない。
どこへ?隣の車両へ。
さっきトイレに行ったときに見たらこっちより空いてたから。
じゃああとで。
それ何時ごろだったの?ええと…朝飯の駅弁を食べ終わってすぐだからたしか7時ごろです。
飯田駅に着く少し前だったはずです。
ひょっとして久我さんと若宮さんのために気を利かせたんじゃない?そうかもしれませんけど何しろ3時に起きて4時に旅館を出発したのでよっぽど眠かったんでしょうね。
戻ってきたのはいつ?終点の豊橋に着く30分ぐらい前でしたね。
ぐっすり眠ったらしくすっきりした顔でしたよ。
若宮夕子に会ってきたのか?はい。
清楚な感じで好感が持てました。
ただ…。
ただなんだ?どことなく暗い影が…。
何か隠していることがあるような気がします。
う〜ん。
青柳恒夫と小林みどりは面識があると言ったな。
はい。
半年前のひったくり未遂事件で犯人からバッグを奪い返したのが青柳社長でした。
うん…。
その青柳が殺された。
でその事件の容疑者の若宮夕子と小林みどりが同じ電車に乗り合わせていた。
これはたしかに偶然にしては出来すぎてるな。
しかも久我さんは飯田駅到着直前の7時前から豊橋駅到着の30分前まで小林みどりさんの姿を見ていません。
この間約4時間。
青柳殺害の犯行時刻と時間帯が重なります。
それじゃ何か?君は小林みどりが犯人だと言うのか?いえまだそこまでは。
ただどうも引っかかるんです。
電車の中で4時間近くも寝ていたというのが…。
う〜ん。
たしかに不自然だが終点に着く前に戻ってきたと久我は言っているんだ。
電車に乗っていたという事実は動かせないだろう。
課長私に小林みどりさんの身辺調査をさせてください。
身辺調査を?はい。
彼女の人間関係を洗えば何か浮かんできそうな気がするんです。
理由はそれだけか?えっ?久我のキャリアに汚点をつけさせたくない。
その狙いもあるんだろう?よしいいだろう。
ただし明日一日だけだぞ。
管轄外の事件に人手を割くほどうちの課は暇じゃないからな。
はい。
(羽田岩男)社長この娘…。
この娘使えそうね。
急いで手を打ってちょうだい。
承知しました。
(内線呼び出し音)
(内線)「社長警察の方がお見えになりましたが」お通しして。
それじゃ私はこれで。
お仕事中申し訳ありません。
いいえ構いませんのよ。
さあどうぞこちらへ。
前にお目にかかったことが?はい。
汐留駅の構内で。
先日亡くなられた青柳恒夫さんとご一緒でした。
あああのときの。
たしか鉄道捜査隊の方だったわね。
あのひったくり未遂事件の被害者の小林みどりさんですけどタレント名鑑ではこちらの所属になってますね。
ええ。
あれから1週間ほどしてあの子のほうから世話になりたいと言ってきたのよ。
何でもそれまでの事務所では待遇がよくなかったとかで。
こちらでは順調だったんですか?それはもう!おいしい仕事を回してあげたもの。
あの子も期待に応えてくれて雑誌のグラビアにも出るようになったのよ。
それなのに急に連絡が取れなくなって…。
連絡が取れなくなった…?そうなの。
ひと月ぐらい前スケジュールを勝手にキャンセルしてね。
借りてるマンションや携帯に電話しても全然応答してくれないの。
みどりさんには親しくしていたお友達とか恋人はいたんでしょうか?さあ…。
私はプライベートには立ち入らない主義だから。
若宮夕子さんをご存知ですか?えっ?ご存知なんですね?ううん知らないわ。
そんな名前聞いたこともない。
でも刑事さんどうしてみどりちゃんのこと?みどりちゃん何か法律に触れるようなことでもしたんですか?いえまだそこまでは…。
ところであなたは青柳恒夫さんとどういうご関係だったんですか?どういう関係って訊かれても…。
昔からの知り合いとしか言いようがないわね。
それにしてはずいぶん親しいご様子でしたけど…。
アハハ…刑事さんの目にはそう映ったかしら?仕事の予定がありますからそろそろお引取り願えません?どうもお邪魔しました。
どうも。
(新井由紀夫)みどりのことで?ええ。
前に所属していた事務所の人に聞いて来たんです。
あなたは高校時代の先輩だそうですね。
ええ…。
まあどうぞおかけください。
もう10年近く付き合っていて僕が一人前の設計士になったら結婚するつもりでした。
でも最近は会っていません。
もしかして連絡が取れなくなったのでは…?まあそれもありますが半年前に事務所を移ったころからついていけなくなったんです。
何かみどりさんに変化が?急に派手になったんです。
高いブランド物の洋服やアクセサリー身に付けたり最新のボディケアに通ったり胸を大きくする手術までしたらしいです。
そんなことまで…。
僕が注意すると「一流のモデルになるには必要なことなんだ」って。
まるで人が変わってしまったみたいに。
でもそんなお金どうやって?さあ…。
それほど貯金があったとは思えないしどこかで借金したんじゃないんですか?あなたたち誰に頼まれたの?待ちなさい!車のナンバーは見なかったんですか?見たけど読めないように汚していたみたい。
でも水色のローバーだったのは間違いないわ。
その2人が小林みどりのバッグを狙った連中だというのは確かなんだな?それもチラッと見ただけですから…。
でも私を襲った理由ははっきりしています。
君が小林みどりの身辺調査を始めたんで慌てた奴がいるということだな。
はい。
やっぱり小林みどりは名古屋の殺人事件に関与しているんです。
だが今のところ小林みどりが青柳を殺す動機が見当たらない。
彼女の犯行を若宮夕子がバックアップしたという確証もない。
すべては君の憶測ということになるぞ。
(望月)しかも彼女たちは飯田線の電車に乗っていたんですよ。
その矛盾をどう解決するんですか?・
(真弓)まったく頭にきちゃうわ!何かあったの?私が不正乗車をしたんじゃないかって!誰がそんなことを…?新米の駅員よ。
これ見せて改札を通ろうとしたらいきなり人の手を捕まえて…!そりゃまあ公用の通行証を知らなかったんだよ。
新手のキセル乗車と間違えたんだろ。
最近は不景気のせいかキセル乗車増えてますからね。
ああ…。
まあ許してやれよ。
うん?どうした?課長小林みどりはキセル乗車と逆のことをやったんじゃないでしょうか?キセルと逆…?どういうことだ?飯田線全線の切符を持っていたのに実際に乗車したのは初めと終わりだけ…。
隣の車両で寝ていたという時間は電車に乗っていなかったんです。
えっ!?じゃあその間に名古屋まで行って来たというんですか?ええ可能性はあると思うわ。
しかし一度降りた電車に再び乗ることってできるもんかね?何か方法があるはずです。
きっと…。
真弓ちゃん中部地方の路線地図と時刻表を持ってきて。
話があるんだ。
ちょっとだけ付き合って。
待ち伏せみたいなマネして悪かったけどいくら電話しても君は出てくれないから。
私あなたとはもう会わないって決めたんです。
どうして…?俺のこと嫌いなの?嫌いとか好きとかじゃなくて…。
私…男の人とは付き合いたくないんです。
じゃどうして旅先で俺に声をかけてきたんだ?そのあとも一緒に行動したじゃないか。
観光名所を訪ねたり一緒に電車に乗ったりして。
それに東京へ帰ってからも君は俺の誘いを受けて一緒に食事をしてくれた。
あのときの君はとても楽しそうだった。
あのときの私は本当の私じゃないんです。
きっと無理にしてたんだと思うわ。
現実を忘れようとして…。
現実って何のこと?話してよ。
若宮さん何か困ってることがあるんなら俺力貸すから。
若宮さん…。
夕子さん…俺は君のことが好きなんだ。
できれば結婚を前提にしたお付き合いを…。
やめて!そんな話しないで!夕子さん…。
お願いだからもう私に会いに来ないで…。
そのほうがあなたのためなんだから…!もう私のこと忘れて!何か方法はあるはず。
きっと…。
こんばんは。
こんばんは。
こんばんは。
あっこんばんは。
お疲れ様です。
あっすいません。
はい?あの今の女性のことでお話をお伺いしたいんですが…。
今の人ですか?はい。
(若宮省三)はあ…。
夕子か?ごめんなさい…せっかく眠ってたのに。
今日は調子がよさそうね。
朝子の夢を見た。
姉さんの…?あいつ泣いてた…悲しそうに泣いてた…!何か悪いことでもあったんじゃ…。
何言ってるのお父さん。
姉さんは元気にしてるわよ。
それじゃなぜここへ来ないんだ。
もう1か月以上も…。
だから言ったじゃないの。
海外に研修に行ってるって…。
今日も国際電話で話したから心配ないわ。
はあ…ああそれならいいんだが…。
さっもう少し眠って…私ここを片付けちゃうから。
ああ…。
さすが東京と違って空気がうまいな。
しっかし何でこんな遠くまで来る必要があるんですか?だから言ったろう?お前が旅先で体験したことを再現するんだって。
とりあえず若宮夕子と会ってからの足取りをたどってみよう。
はいすいません!
(ノック)お前前乗れ。
はい。
ここです。
こっちのほうです。
へえ〜諏訪湖がこんなに広い湖だとは知らなかったわ。
昔はもっと広くてあのへんの市街地まで広がってたそうです。
(2人)へえ〜!お前さんよく知ってるな〜。
この先のそば屋の人に教えてもらったんです。
若宮さんと昼飯食べたときに。
(夕子)それじゃお休みの日にはひとり旅を…?ええとにかく電車に乗って旅するのが好きなんです。
若宮さんもひとり旅よくするんですか?いいえ私は今回が初めてなんです。
だから何だか心細くて…。
久我さんこのあとのご予定は決まってるんですか?15時21分の電車で木曽路へ向かうつもりですがまだ時間はありますから一緒に市内見物してもいいですよ。
ほんとですか?うれしい!久我さんお仕事は何を?俺?公務員です。
公務員にもいろいろありますけど…?実は警察官なんです。
警察…!?何っ!?じゃあ警察官と聞いて驚いたっていうのか?それは当然でしょ!普通の女性なら誰だって引いちゃいますよ。
そのあとも気にしてる様子だった?いいえそんなことありませんよ。
夕方まで一緒に名所巡りしてましたよ。
(夕子)楽しかったわ!久我さんに会えて本当によかった…。
俺も…いい思い出になるよ。
(花火の音)ほお…すごいごちそうだねぇ!明日に備えてせいぜいスタミナを蓄えておくんだ。
ねっ。
ああ…はい!そのつもりで遠慮なくいただきます!うん!いただきます!何だこれは…?おお…!おっ!花火もなかなかのもんだね〜!どうした?ちっとも進まないじゃないか。
体調でも悪いのか?いやそんなことは…。
だったら早く食べて早く寝ろ。
明日は3時起きの4時出発だぞ!はい…。
じゃ行くぞ!はい。
あっこれだな。
(発車ベル)
(警笛)前に乗ったときもこの席だったんだな?はいそうです。
よしっ俺は今のうちに一眠りしておくからあっ飯食うとき起こしてくれよ。
はい。
よしっ!はあ〜。
昨日の夕食のときのことだけど…。
えっ…?あなたとても寂しそうだった。
夕子さんのことを考えていた?やっぱり…最近彼女と何かあったのね?一昨日会いに行ったんです。
俺の気持ち伝えたくて…。
だけど相手にしてもらえなかった。
交際を断られたの?ええ。
まるで別人みたいに冷たくて…。
何でこうなったのか全然わかりません。
もうあなたに頼らなくてもいいってことかな。
えっ…?夕子さんにとってあなたはアリバイを証明するために必要な存在だったのかも…。
俺に近づいてきたのはそれが目的だったと言うんですか?悪いけど私にはそんな気がする。
冗談じゃないですよ!俺は信じませんそんな話…主任の思い過ごしですよ。
だといいんだけど…。
絶対に違いますよ!シッ…!いずれにしてもこの旅が終わればはっきりすると思うわ。
そろそろ飯田駅だな。
ええ。
あと5〜6分ですね。
みどりさんが隣のハコに移ったのはこのへんね?ええちょうど今ごろでしたよ。
それじゃ私も…。
花村君には小林みどりと同じ行動をとってもらうんだよ。
じゃあとで。
(発車ベル)天竜峡駅では17分停車か。
はい。
上りと下りがすれ違うんで待ち合わせ時間が長いんですよ。
途中下車して天竜峡を見物できますよ。
ああそう。
行ってみるか?はい。
おお…きれいだな。
おい!急がないと電車に乗り遅れるぞ!はい!
(発車ベル)課長!早く!もう…走んなよ!ああもう…。
(警笛)あれ?課長!花村主任あっちのハコにもいませんでしたよ。
当たり前だよ。
この電車には乗ってないんだからな。
えっ?花村君は今から40分前に飯田駅で下車したんだ。
飯田駅で…どうしてですか?フフフッ!今にわかるよ。
まあそれまでせいぜい窓の景色でも楽しむんだな。
ほらきれいだろう!ハッハッ!新城か…ここで下り電車とすれ違うはずだ。
ええ豊橋発10時20分の下り電車です。
(アナウンス)「まもなく列車がまいります」「ご注意ください」時間どおりだな。
(発車ベル)久我君。
小林みどりが戻って来たのはこのあたりじゃないのか?ええ新城を出てからまもなく。
あっちのハコから…。
あれ…!?いやご苦労さん。
いいえ…。
どうして…飯田駅で下車したんじゃなかったんですか?ええそのとおりよ。
私は飯田駅を出てタクシーを拾ったの。
タクシーを!?何のために?まあこれを見ろ。
これが今我々が乗っている飯田線だ。
飯田線は全長約200キロ。
ほとんどが単線でやたらと停車駅が多い。
おまけに山間部を走るんで起伏やカーブが多くてスピードが出せないんだ。
はい。
それくらいわかってます。
平均速度30キロ程度でしょう?さすが旅行マニアね。
それじゃこのブルーの線は何線かも知ってるわよね?中央本線ですよ。
中央本線は飯田線とほぼ平行に走っていて特急や急行が頻繁に運行されてるわ。
特急のスピードはどれくらいかしら?時速80キロ以上…100キロ近いのもあるでしょう。
うん。
つまりこっちの3倍だ。
あっという間にこの名古屋へ到着。
じゃ主任は名古屋へ!?ええ。
飯田駅でタクシーを拾った私は中央高速道路を使って中央本線の中津川駅に向かったの。
所要時間は約45分。
中津川駅に着いたのは7時50分だったわ。
そのあと私は中津川駅8時26分発のL特急「しなの2号」に乗車…。
「しなの2号」の名古屋到着は9時27分。
青柳社長が殺害されたホテルは歩いて数分のところにあったわ。
これがそのときの写真よ。
9時31分…犯行時刻とほぼ一致してるな。
しかしどうやって名古屋からこっちへ…?新幹線を使ったの。
新幹線…「こだま」ですか!?名古屋発9時44分の「こだま406号」ならホテルに10分間いたとしても間に合うし豊橋駅にも停車するわ。
10時10分豊橋駅に着いた「こだま406号」から降りた私は大急ぎで飯田線のホームへ向かい…。
10時20分の下り電車に飛び乗ったというわけ…。
それじゃさっきこの電車が新城の駅で待ち合わせたときに…?ええ。
あっちの電車からこっちの電車へ乗り換えたの。
ギリギリの綱渡りだったけど何とか間に合ったわ。
飯田線は時速30キロ中央本線は90キロ…。
その速度差を利用したトリックだったんだな。
ええこれで小林みどりのアリバイは崩れましたね。
いやそいつはまだ早いだろ。
彼女が実際に名古屋に行ったという証拠はないんだからなぁ…。
タクシーの運転手さんから証言を取れないでしょうか?タクシーの…?ええ。
飯田の駅から中津川まで40〜50分かかります。
彼女がタクシーを使ったとすれば必ず記憶に残ってるはずです。
なるほど…よし!東京へ帰ったら本庁を通じて長野県警に情報収集を頼んでもらおう。
ええ。
しかしお前さんもうかつだったなぁ。
殺人犯のアリバイ工作に利用されるとはな。
俺が証明したのは若宮夕子さんのアリバイだけです。
小林みどりとは関係ありません。
結果的には同じことなんだよ。
2人は共犯の可能性があるんだからな。
共犯!?飯田線に乗るって言い出したのは若宮夕子なんだろ?それがなければ3人で旅することもなかったはずじゃないか!しかし夕子さんが殺人の共犯だなんて…。
まだ…。
主任もそう思ってるんですか?2人の女性は旅先で偶然に出会ったのではなくてあらかじめ示し合わせてアリバイ証人になってくれる人間を捜していた…。
そう考えるとすべてのつじつまが合ってくるわ。
そんな…。
夕子さんが急に冷たくなったのはあなたをだましたことに後ろめたさを感じているからじゃないかしら。
そうだよ…。
はいただいま〜。
お帰りなさい。
ただいま。
久我君は…?今日は帰らせたよ。
疲れてるみたいなんでな。
頼んでおいたこと調べてくれた?はい。
まずは若宮夕子の父親の病気は胃がん。
それも末期症状らしいです。
他にご家族はいないの?母親は10年以上前に亡くなっています。
彼女と2つ違いの姉がいて私立高校で英語教師をしていたんですが先月の初め自宅で首をつって…。
自殺したのか?はい原因は不明ですが…。
こんなに若くてきれいな人がどうして自殺なんか…。
(望月)次に小林みどりですが居所は依然としてわかりません。
マンションに帰った様子もないし…。
若宮夕子との接点はどうだ?これもまったくダメです。
2人は生まれも育ちも別の土地で共通の友人もいません。
これじゃあ完全にお手上げですよ。
馬鹿もん!!お手上げなんて言葉は俺たちの仕事にはないんだよ!はあ…ああ…。
(夕子)「若宮です。
お帰りになったら電話をください」「8時ごろには自宅に帰ってます」
(夕子)「若宮です。
ただいま留守にしていますのでメッセージをお願いします」久我です。
また電話します。
ふう…。
(電話)はい久我です。
(夕子)「夕子です。
ごめんなさい今帰ってきたの」「事故で電車が遅れちゃって…」俺に何か用でも?実はあなたに謝ろうと思って…。
この間はひどいことを言ってしまって…。
そんなことはいいんだ。
君に聞きたいことがあるんだ。
今から会えないかな?それはちょっと…。
私すごく疲れてるから…。
でもそのうちきっとまた会えるわ。
そのうちっていつ?そのときがきたらこちらから連絡します。
それまで待ってて。
わかった待ってるよ。
ありがとう…それじゃおやすみなさい。
(パトカーのサイレン)こちらです!
(電話)はい花村でございます。
あっおはようございます!いつも乃里子がお世話になっておりまして…。
あっちょっとお待ちくださいませ。
乃里子さーんお電話よ!・はーい。
課長さんから。
あっ…。
はいおはようございます。
えっ!?オフィス麗の社長が…!?今朝他殺死体で発見されたそうだ。
非番のところを悪いが至急現場へ行ってくれ。
はいわかりました。
あっ花村さん!おたくの課長から電話がありました。
青柳恒夫殺害事件と同一犯人の可能性があるって。
断言はできませんが殺害方法はよく似ていますね。
凶器は見つかったんですかね?死体の脇に血まみれの登山ナイフが放り投げてあったそうです。
指紋は見つかっていません。
殺害されたのはいつごろ?昨夜の7時53分から8時27分の間です。
えっ…?廊下の防犯カメラに犯人が映ってたんですよ!
(宮川)小林みどりという女ですか?さあこれではちょっと…。
まっいいでしょう。
凶器の刃型と青柳恒夫の遺体に残されていた傷跡を照合すればはっきりすることですから。
(アナウンサー)「東京都内のモデル会社の社長が自らが経営する会社内で殺されているのが発見されました」「照合の結果先月24日に名古屋のホテルで殺された金融会社社長青柳恒夫さんの傷跡と一致しました」「2つの事件は同一犯による犯行の可能性が濃くなっています」「警察では重要参考人としてオフィス麗に所属する27歳の女性モデルの行方を追っています」「次に…」27歳の女性モデルか…。
何かご用?私小林みどりです。
何ですってあなたが!?はい。
そう…もう逃げきれないと悟って自首してきたのね?違います。
私は無実だということを言いに来たんです。
アリバイがあるんですか!?小林みどりには。
うん柏木麗子が殺されたとき横浜のバーで飲んでいたと主張したそうだよ。
そんなでまかせに決まってます!ところが違うんだ。
所轄の連中がウラを取ったところ店の従業員も顔見知りの客もみんな彼女の証言どおりだと言ったんだそうだよ。
それで身柄はどうなったんですか?そのまま帰されたよ。
もともと逮捕状が出ていたわけじゃないからな。
でも名古屋の事件に関しては身柄を拘束できるんじゃないんですか?アリバイは崩れたんですから。
いやいや。
そっちのほうも確証がない限り無理だろう。
2つの事件が同一犯という見方で考えれば彼女は完全に無実ということになる。
そうか凶器のナイフが見つかったことが逆に彼女を助けたことになったわけですね。
凶器は1つでも犯人は2人かもしれません。
犯人は2人…?ええ。
名古屋で青柳社長を殺したのは小林みどり。
東京で柏木社長を殺したのは…。
夕子さんだと言いたいんですか!?そうよ。
2人が共犯だとすればお互いに1人ずつ殺す計画を立てても不思議はないでしょ?いや理屈ではそうなりますけどね犯行時刻彼女は自宅にいたんです。
えっ…自宅に!?お前どうしてそれを知っているんだ?俺彼女と電話で話したんです。
8時25分に。
えっ!?これは絶対に間違いありません。
おい久我!!
(電話)はい捜査課…ちょっとお待ちください。
課長長野県警からです。
はいはい…。
あっもしもし…。
夕子さんまた久我さんのアリバイ証言に救われたわね。
ああよっぽどアリバイに縁があるんだな!久我君は。
ええええ…。
そうなんですよ。
8時25分に夕子さんと電話で話したと言ったけどどうしてその時間に電話したの?まだそんなことを…。
もういいじゃないですか。
ううんこれは大事なことなの。
答えて。
アパートの留守電にメッセージが入ってたんです。
8時に自宅に帰ってるから電話をくださいって。
それじゃどうして8時に電話しなかったの?それは俺が帰宅して留守電を聞いたのが8時15分だったからですよ。
そのときなぜすぐに電話しなかったの?いやしましたよ。
だけど向こうが留守だったんです。
それでまた電話するとメッセージを入れて…。
10分後にかけなおしたわけ?
(電話)はい久我です。
どうしたのそんな顔して。
いっいや別に…。
もしかして二度目の電話は夕子さんのほうからかけてきたんじゃないの?もしそうだとしたら彼女は自宅じゃなく別の場所から電話をした可能性が生まれるわ。
別の場所…?例えばオフィス麗の社長室。
違いますよ!違います!彼女は自宅にいたんです!どうして言い切れるの?だって彼女は俺がアパートへ帰っているのを知っていた。
それは俺のメッセージを聞いたからじゃないですか!そうとは言えないわ。
彼女の家の電話に転送機能がついていればどこにいても携帯でメッセージを聞くことができるもの。
久我さん正直に言って。
二度目の電話はあなたがかけたの?それとも彼女のほうから?どうなの久我さん?電話をかけたのは…俺のほうからです。
本当に!?彼女は間違いなく自宅にいました。
もういいですか?・バカな奴だ!まったく。
あいつは越えてはならない一線を越えてしまった。
警察官としては失格だ。
それじゃあ飯田駅で小林みどりを乗せたタクシーは見つからないと?うん。
長野県警も手を尽くしてくれたようなんだがな。
その代わりと言っちゃ何だが先月の24日の未明から早朝にかけて水色のローバーが駅前に違法駐車していたという情報も教えてくれたんだ。
水色のローバー?うん。
君を襲った連中を乗せて逃げた車と一致するな。
持ち主はわかります?それが何と…名古屋で殺された青柳恒夫が社長をしていたブルーファイナンスの専務で…。
羽田岩男という男なんだよ。
お待たせしました。
私が専務の羽田でございます。
そう…あなたが羽田さんだったの。
はあ?とぼけないで。
前にお会いしたことがあるでしょう。
さあ…覚えがございませんが。
どうぞ。
先月24日の朝あなたはどこにいました?先月24日といいますと…。
うちの社長に不幸があった日でございますね。
あの日はたまたま実家に帰っておりましたが。
実家に?はい。
私信州の飯田という町の生まれでございまして。
それであのへんの交通事情に詳しくて小林みどりさんに教えてあげたのね?どなたですって?オフィス麗所属のモデルさん。
先月24日の朝あなたは飯田駅の近くに車を停めて彼女を待っていたでしょ?そして電車から降りてきた彼女を乗せて…。
中央本線の中津川駅まで送り届けたのよね?一体何のことをおっしゃっているのか…。
お訪ねになる相手を間違えてるんじゃありませんか?アハハハ…とにかくもうお引取りください。
私も仕事がありますから。
若宮朝子さんはどうして自殺したの?若宮夕子さんのお姉さんの朝子さんご存知でしょ?まったく知りません。
そんなはずはないわ。
朝子さんが自殺したのはひと月ちょっと前。
その直後から夕子さんは青柳社長に付きまとい始めた。
その理由もあなたは知っているんですね?アハハ…知らないと言ったら知りませんよ。
本当ですよ。
まあいいわ。
いずれわかることだから。
警察を甘く見ないほうがいいわよ。
案の定動き出しましたね。
・
(警察官)ちょっとあなた!何をしてるんですか!?どうもご苦労さまです。
余計なことを…。
私ねここの関係者なんですけどちょっと入らしてもらえませんか?ダメです。
許可なく進入した場合には逮捕します。
あいつ何が目的だったんですかね?多分証拠を隠滅しようとしたのよ。
証拠って…何の?それはわからないけど…。
彼青柳社長の後を継いでここの女社長と何か法に触れることをしていたに違いないわ。
任意で引っ張って吐かせますか?それより応援を呼んで彼が欲しがってるものを探しだすのよ。
はい!どうそっち?何か見つかった?
(望月)イタッ…!ダメだ…あるのはほこりだけ。
あきらめないで!必ず何か隠してあるはずよ。
(一同)はい!はあ…。
あった!これはミュージックCDか?違いますよ!わかった…。
ビデオディスクだよな?全然わかってない。
これはCDロム!パソコンのデータを保存しておくものなんです。
どんなデータが入ってるんだよ?まあ見てください。
どれどれ…。
うん…?モデルの宣伝にしては過激だな。
ひとりひとりに時間単位の値段がついてます。
これはコールガールのカタログですよ。
コールガール!?別のページの顧客リストには政治家や財界人の名前もありました。
あの事務所裏でこんな商売やってたのか!?ええ。
インターネットを利用してこの女性たちをセールスしていたんでしょう。
殺された女社長はやり手ババアってところだな。
えっ…でこの女は?若宮夕子のお姉さんです。
それからこの人…。
小林みどりもクラブのメンバーだったんです。
そうか…。
小林みどりと若宮夕子2人の接点はここにあったんだ!主任…。
久我さん…。
夕子さんのお父さん昨日の朝亡くなったそうよ。
それで夕子さんはどこへ?親戚の人の話ではお葬式の後どこかへ出かけて行ったそうよ。
主任はどうしてここへ?夕子さんに訊きたいことがあって…あなたは?彼女に逃亡を勧めるため?何で俺がそんなこと…。
違うと言うの?もちろんですよ。
彼女は何もやってないんですから。
アリバイもちゃんとありますし…。
いい加減になさい!久我さんあなたは警察官なのよ。
情に溺れて犯罪者に加担してどうするの。
私たちは法を守るのが仕事なのよ。
そのためには例え肉親でも見逃してはいけないの。
心を鬼にして手錠をかけなければならない場合もあるのよ。
(携帯電話)はい花村。
はい…わかりました。
夕子さんが小林みどりに会いに行ったらしいわ。
一緒に来る?主任…!俺がやります。
パトカー乗務の経験で腕には自信ありますから。
そうじゃあお願いするわ。
ここですか?小林みどりの隠れ家は?ええ。
504号室。
(チャイム)留守かな…小林さん!
(ノック)小林さん?小林さん!すみません。
あの…。
ああその部屋の方ならお友達らしい人と一緒に埠頭のほうへ歩いていきましたよ。
どうも。
(みどり)ねっ…。
潮風がいい気持ちでしょ。
で話って何?みどりさん…私と一緒に自首して。
やっぱりね。
そんなことじゃないかと思ったわ。
もう二度と会わないって約束だったのに話があるなんて電話してくるからおかしいと思ったのよ。
私…あなたの言うとおりにするつもりだった。
でも人殺しは悪いことよ。
罪を償わなくちゃ。
私はそうは思わないわ。
あの2人は当然の報いを受けたのよ。
悪いとも何とも思ってないわ。
そう…それじゃあ私ひとりで行く。
ダメよ。
あんたが口を割ったら私まで捕まっちゃうじゃない。
じゃあどうすれば…。
あんたさひとりで消えてくれねえかな。
この人は…!?紹介するわ。
ブルーファイナンスの次期社長…というより私の恋人と言ったほうがいいかな。
羽田といいます。
キャーッ!こっちへ来い!・待ちなさい!やっぱりあなたたちは青柳社長殺害の共犯だったのね。
何言ってんのよ。
青柳社長が殺されたとき私は電車の中にいたのよ。
あなたのお仲間の久我さんって人が証明してくれるわ。
その久我さんと一緒に私はアリバイ崩しの旅に行ってきたの。
飯田線と中央本線の速度差を利用して名古屋駅前のホテルに10分間とどまることができたわ。
その10分の間にあなたは青柳社長の部屋に行きそしてすきを見て彼の背中にナイフを突き刺したのよね。
(チャイム)何だお前か…どうしたんだこんなところへ?大事な話があるんです。
人に見られたくないので中で…。
で何だ?大事な話って。
うわーっ…!ううっ…!でも愛知県警はあなたではなく別の人に疑いの目を向けたわ。
それがあなた。
若宮夕子さん…。
あなたが疑われたのは青柳社長と口論したという事実があったから。
その口論の原因は自殺したお姉さんのことだったんでしょ?どうしてそのことを…?あなたの親戚の人とお話ししてわかったの。
あなたのお父さんがブルーファイナンスからお金を借りるときお姉さんは連帯保証人になったんですってね。
私知らなかったんです。
姉が連帯保証人になってたなんて。
あとになって姉の残した日記を読んで初めてそのことを…。
恐らく青柳は初めからお姉さんを狙っていたのよ。
オフィス麗の社長と組んでやっていたコールガール組織に引きずり込む目的で。
そうなんです。
父が入院している間に利子が何倍にも膨らんで…。
困った姉は青柳社長に返済を待ってくれるように頼みに行ったんです。
それじゃあ体を売れって言うんですか?他に売るものあるのかい?家も土地もとっくに抵当に入ってるっていうのに…。
でも私そんなこと…。
どうしても嫌だと言うなら今すぐ全額返してもらおうか?それとも入院中の親父さんのところに取り立て屋を差し向けようか?やめてくださいそれだけは…!だったら私の言うことを聞くんだ。
そうすれば万事丸く収まるんだよ。
結局お姉さんは承知させられたのね?ええ。
姉は元々潔癖な人でしたから自分のしていることに耐えられなかったんだと思います。
ある日会社から帰ってみると…。
鍵をかけているはずの工場の扉が開いてました。
キャーッ!
(夕子)ああっ…誰か…!姉さん!姉さん!!姉さん…姉さん!?それであなたは青柳社長に会いに行ったのね?ええ。
姉の恨みをたたきつけてやろうと思って…。
でもなかなか会ってくれないので姉の日記に書いてあったモデルクラブの前で待ち伏せしたんです。
あんたが青柳さんね?ああそうだが君は?若宮朝子の妹よ。
ほ〜う…君が…。
姉さんは気の毒なことしたね。
何よ白々しい。
あんたが殺したも同じよ!そんな人聞きの悪いこと…。
私は金になる仕事を世話してやっただけだよ。
その仕事がどんなものなのか警察に行って話してもいいの?ああ構わんよ。
証拠があるわけでもないし小娘のたわ言としか受け取ってもらえないよ。
悪党…!人殺し!!そんなことより私の金はどうやって返すつもりだ!?いっそ…姉さんと同じ仕事したらどうだ?それはいいわね。
あなただったらいいお客がつくわよ。
冗談じゃないわよ…。
誰がそんなこと!まあそう言わずに考えてみるんだな。
ちょっと待ちなさいよ!まだ話は終わってないのよ!
(嗚咽)そんな夕子さんを見てあなたは今回の計画を思いついたんじゃないの?私の恨みはその娘のお姉さんよりずっと大きいわ。
だって初めから狙いうちでだまされたんだもん。
汐留駅で青柳社長に救われたときのことね。
そう。
あれがそもそもの罠だったのよ。
私柏木社長の事務所に移籍して社長に言われるままに自分にお金をかけたわ。
ブルーファイナンスで借金をしてね。
そのうちつけが回ってきた。
200万の借りが1500万になってたのよ。
返せないと言ったら体を売れって…。
それを断ったらあいつらあのときの連中を連れてきて…。
何するのよあんたたち!イヤーッ!やめてー!!キャーッ!誰か助けて…!社長ここまでしなくても…。
うるさい。
お前あっち行ってろ。
青柳社長とはうまくいってなかったの?元々あいつの強引なやり方が嫌いだったんだよ。
俺はむしろ…あいつに同情していた。
(羽田)それがきっかけで俺とあいつは親しくなったんだ。
そして…2人を殺す計画を練ったのね?言い出したのは私よ。
この人はブルーファイナンスを乗っ取る目的で手伝ってくれただけ。
私は本心からあの2人に復讐したかったの。
だから…。
大丈夫?ええ…ありがとう。
ホントにひどい奴ら!お金のためなら人の心までズタズタにしちゃうんだから!それじゃあ…あなたも?ねえ2人であいつらに復讐してやらない?復讐?どうやって?私にちょっとした考えがあるの。
あなたが協力してくれたらきっとうまくいくわ。
その考えてるのが今回のトリック。
あなたが青柳社長を殺し夕子さんが柏木社長を殺す一種の交換殺人みたいなものね。
ええそうよ。
絶対に成功する自信があったわ。
柏木社長を殺したとき留守電を転送するトリックを考えたのは誰?それも私。
この娘は嫌だと言ったけどとにかくアリバイを作らなくちゃいけなかったのよ。
私はもう久我さんを利用するのは嫌だったんです。
父が生きてる間は警察に捕まることはできないので仕方なく…。
柏木社長には姉と同じ仕事をする気になったから会いに行くとあらかじめ電話をいれておきました。
(ノック)・
(麗子)どうぞ。
あんたどういうセンスしてるの?そんな格好で商売できると思ってんの!?すみません。
まったく…。
これでも着なさい。
ああっ…あんた何をするの!?それから15分待ち続けました。
(携帯電話)「久我です。
また電話します」
(夕子)そしてさらに10分待って私のほうから電話したんです。
結局あなたも利用されていたのよ。
この人たちは最初からあなたひとりに責任を押し付けるつもりだったんだわ。
そんな…。
みどりさんそうなの!?ええ。
あなたには悪いけどその人の言うとおりよ。
それだけ聞けば十分だろ。
さあお前もこっちへ来い。
下手なマネするとホントにこいつを刺すからな!来い…早くしろ!あのダンプで私たちを…!?そうだ。
ここでお前たち2人は事故死するんだ。
キャーッ!夕子さん!夕子さん逃げるのよ!オラオラ!逃げないと死んじまうぞ!オラ!早く走れー!
(クラクション)早く乗って!久我さん…!チクショー!しっかりつかまってて!
(パトカーのサイレン)課長!大丈夫か?てめえだけは殺す!ヤアッ!小林みどり羽田岩男殺人容疑で逮捕する!
(真弓)小林みどり!ごめんなさい…。
私あなたをだましてたの。
わかってる。
だけど俺は君が…。
私も…初めて会ったときからあなたが…。
でも自殺した姉の恨みを晴らしたかった。
だから無理に自分の気持ち抑えつけて…。
つらかった。
いっそ何もかもあなたに打ち明けてしまいたかった。
夕子さん…。
夕子さんあなたは自首するつもりだったんでしょ?はい。
そのときは久我さんのところへ行くつもりでした。
それじゃあ今からでも遅くないわ。
一緒に行ってあげたら?はい。
行きましょう。
おいおい!みんなまたもらったぞ!あっまた感謝状もらったんですか!ああそりゃそうだよ!当然だろう!2つの殺人事件一挙に解決したんだからね。
それとね今回またこれももらったよほら!どうせそれも額縁代に消えちゃったんでしょ?何をおっしゃる!今回は自腹で買ったの。
これはね今回からこの部屋を飾るこの花代に使わせてもらうんだよ。
おいわかんねえだろ。
この花はナデシコといってな花言葉は「純粋な愛」っていうんだよな。
そうですよねぇ。
課長!えっ…何だ?何のマネだよ?言わなくてもおわかりのはずです…。
俺にはさっぱりわからんな。
えっ?これわかる者いるか?私にはわかります。
これはこうすべきだと思います。
あっ主任…。
あなたはこの課の一員なの。
新米だからといって甘ったれちゃダメよ。
はい!それじゃ手始めにパトロールの実地訓練!ついてらっしゃい!早く!はい!行ってきます。
よし!ヘヘヘッ…純粋な愛ね。
手作りの帽子・ベスト・ワンピース
2015/09/14(月) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
鉄道捜査官4[再][字]
愛と哀しみの飯田線 諏訪湖〜名古屋三本の列車の時刻表トリック!!
詳細情報
◇番組内容
大好評!鉄道捜査官シリーズ第4弾!辰野〜豊橋、飯田線7時間に仕組まれた時刻表トリックの謎!?新任捜査官の危機を救う沢口靖子の大活躍!!
◇出演者
沢口靖子、地井武男、遠野なぎこ、川合千春、野村祐人、小林健、藤田憲子、山村紅葉、団時朗、冨家規政 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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