生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは、10時5分「くらしきらり解説」です。
きょうの担当は島田敏男解説委員です。
テーマは、こちらです。
激しい議論が続いているこの法案ですが、安倍総理大臣は今月27日までの今の国会で必ず成立させると繰り返していますね。
島田⇒安倍総理は、ことし4月にアメリカ議会の上下両院合同会議で演説をしてことしの夏までに成立させると宣言したんです。
しかし自衛隊の活動を大幅に拡大させる内容ですからこれは議論が分かれるのは当然です。
きのうまとまったNHK世論調査をもとに政府与党が目指す参議院での法案の採決、これを国民がどう見ているのかをお伝えします。
その前に安倍内閣の支持率ですが先月よりも少し上がったようですね。
安倍内閣を支持すると答えた人は先月よりも6ポイント上がりました。
これに対して支持しないは7ポイント下がりました。
7月8月と2か月連続で支持しないのほうが支持するを上回っていたんですが今月は支持が不支持を上回りました。
その差は4ポイントですがこの差をどう見たらいいですか。
この差は統計的には横並び誤差の範囲内の開きという位置づけですね。
ただ先月からの変化は誤差の範囲を超えているのではないですか。
そこはそうですね。
年代別に見ると60歳以上の人たちで安倍内閣を支持すると答えた人が増えたのが目立っています。
ただこれが理由だというはっきりしたものは見えてきていないんです。
1つ考えられるのは8月の調査のときは原発の再稼働、戦後70年の総理談話そして沖縄の普天間基地の代替施設建設といった対立の大きな課題が目の前に並んでいて国民の視線が特に厳しかったそれと比べると今回は課題がやや分散してきたということが影響しているかもしれません。
安全保障関連法案に対する国民の見方が変わってきたということではないですか。
あまり大きく変わっていないんです。
安全保障関連法案を今の国会で成立させるという政府与党の方針について聞きました。
先月と比べると賛成は3ポイント増えていますね。
6月以降の調査で、初めて前の月よりも賛成が増えました。
これについて自民党の幹部は法案の審議が参議院に移ってから支持者などへの説明に力を入れてきたことの成果だろうと言っています。
しかし今の国会での成立に反対と答えた人が依然45%こういう数字であります。
これで見ると国民全体の厳しい見方に変化はないと言えるかと思います。
自民党、公明党の与党支持者ではかなり理解が進んでいるんでしょうか。
そうとも言えないんです。
今月の調査結果今のものを詳しく見ます。
与党の支持者で今の国会での成立に賛成と答えた人は4割弱です。
それと同じくらいの人がどちらともいえないと答えているので与党支持者の中での浸透もまだまだという状況です。
野党支持者、無党派層ここは依然として反対が多数を占めています。
安倍総理は審議は尽くされてきたと言いますけれどもこれはどうなんでしょうか。
衆参両院で合計200時間近い審議を重ねてきてはいる。
だけど野党の多くは平行線の議論が続いて、詰めるべき問題点はまだまだたくさんあると反発しています。
そこで国民は議論は尽くされたと見ているのかどうか今月の調査の結果です。
衆議院の採決の直前に行われた7月の調査結果と比べてみると審議が尽くされたというのはやや減りましたが、その分尽くされていないが増えています。
国民の目に議論が必要な点がはっきりと見えてきたということなんでしょうか。
おっしゃるとおりです。
政府の説明を聞いていてもなかなか納得できないと感じる人が決して少なくないということです。
例えば政府は抑止力が高まるこの法案の成立によって、抑止力が高まって日本が攻撃を受けるリスクが下がるんだと説明しています。
この説明に納得できるかどうか聞いてみました。
納得できないというのが納得できるのダブルスコアです。
与党の支持者では、なんとか過半数が納得できると答えていますが野党支持者、無党派層は8割前後が納得できないです。
政府の説明が国民に、なかなか理解されないというのはどうしてですか。
私はこの法案の提出のしかたに大きな問題があったと思います。
安全保障関連法案細かく分けると11の法案です。
その内容を主な柱で整理しただけでもこのような図になります。
集団的自衛権の行使の限定容認2つの法案に分かれている。
外国軍隊への後方支援の拡大そして国連PKOなどへの協力の拡大など実に多岐にわたっているんです。
したがってさまざまに違いのある活動を十把一からげにして納得してくれと言われても政府にお任せしますという人以外はノーと答えるということです。
でも政府与党は今の国会で成立させるという姿勢は変えていませんね。
そうですねカレンダーを見ていきましょう。
参議院が採決をしなくても衆議院の3分の2以上の賛成で法案を可決できるいわゆる60日ルールがきのうから適用が可能になっています。
つまり衆議院から参議院に法案が送られて来てから60日たったその翌日から可能になるという仕組みになっています。
そういう中で、きょう午後には参議院の特別委員会で中央公聴会が開かれまして与野党双方が推薦する専門家などの公述人が意見を述べます。
そしてあすは横浜市で地方公聴会が開かれます。
与党側は、このあとの17日、18日で一気に参議院での採決に踏み切りたい構えです。
これに対して民主党などは参議院で採決が強行されるならば衆議院に内閣不信任決議案を提出したりして抵抗する構えです。
国会の会期末は27日ですから平日で考えると24日、25日もありますよね。
野党の中には連休も返上して24日、25日まで審議を重ねるべきだという意見もありますが与党側は、そこまでいくと法案が廃案になりかねず危険だと考えているんです。
そこで17日、18日が大きな山場になりそうです。
野党の中には法案を廃案に追い込もうと訴える党だけではなくて与党と修正の話し合いをしている党もありますね。
この違いはどう見たらいいんでしょうか。
各政党の支持率をご覧ください。
赤い線の自民党の一強状態が依然、続いています。
そうした中で、どの政党も来年夏の参議院選挙で党勢を拡大する、そこに向けて今のこの場面でどうふるまうのが得策かということを考えているんです。
与党側は衆議院の3分の2の再可決という国民の反発を買いやすい手法は使わないで法案を成立させたいというのが本音です。
野党の中のばらつきという点についてはそれぞれが独自性を示したいという思惑から出ているものです。
そういう違いなんです。
安全保障関連法案に対する各党の姿勢は今私たちはしっかり見ておく必要がありますね。
今後の政治の流れを左右するのは、この国会の終わり方ということになると思います。
ですから国民一人一人の政治に向ける視線が今厳しく問われている局面だと思います。
島田敏男解説委員でした。
次回のテーマは、こちらです。
国勢調査が10月1日から始まります。
今回は、初めて全国規模でインターネットによる調査が行われ、パソコンやスマートフォンで回答できるようになります。
担当は、太田真嗣解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/09/15(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「安保法案採決と国民の視線」[字]
NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢
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出演者
【出演】NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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