総合診療医 ドクターGセレクション「疲れがとれない」 2015.09.15


8時半までに作業の全てを完了できるようにテキパキとお願いします。
ファイ!
(一同)ファイ!体力には自信があったはずなのに…。
どうしたんですか?主任。
ここは私がやりますから。
すみません…。
いつもできていた事ができなくなった。
疲れがとれないせいなのか…。
きゃ〜っ!オープニング見て頂きましたけど…。
激務なんですかね。
相当疲れてますが…。
でも元気だったんだよ。
まだ30という事だとね…。
更年期とかじゃないよね。
何なんでしょうか?思い当たる節ありますかお二人。
思い当たる節ねぇ…。
でも若いでしょう?若い!やっぱり40越えたぐらいからちょっときますけどね疲れが。
僕はもう60越えましたけど最近はもうおしっこ近くなっちゃいまして…。
大変なものですよ60って。
まい子さんは医学大好きでわざわざ大学入って勉強したぐらいなんですよ。
今大学4年生です。
すごい!
(玉ちゃん)じゃあ今日はずばり。
今日はずばり病名を…。
いやいやいや無理ですよ!患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか。
意外な手がかりを一つ一つつなぎ合わせ病気を探り当てる。
私たちは彼を「ドクターG」と呼ぶ。
さあそれではいよいよドクターGの登場です。
(玉ちゃん)今回のドクターGは…
(拍手)よろしくどうぞ先生。
でもビシビシ現場ではいきますよね。
(玉ちゃん)カンファレンスが始まるとすばらしい事になりますので。
カンファレンスでのキーワードは…。
研修医のあげる病名に「本当にいいのか?」と問い続けてきた。
果たして研修医たちは池田先生の問いに答えられるのか?さあ病気の正体を探り当てるために今回全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(拍手)
(拍手)
(拍手)
(玉ちゃん)加奈子先生と俊亮先生でいいですかね。
俊亮先生医者になるきっかけが漫画だったという話で…。
「バカボン」かなんか読んだんですか?「バカボン」も読んだ事ありますけど「バカボン」ではなくて「ブラック・ジャック」でもないんですが…。
「ブラック・ジャック」じゃないんですか?「スーパードクターK」という…。
ああ〜っ…。
加奈子先生は自分の入院がきっかけでお医者さんになりたいという…。
(加奈子)自分が入院した時に医療スタッフ主治医の先生とか看護師さんとか全員で見守ってくれてる事がすごくありがたかったので自分自身も同じように患者さんに…。
それ何歳の時ですか?15歳の頃です。
さあ角先生。
自分の持ってる知識を最大限に生かして患者さんの疾患を見つけていって救っていくというその科に憧れて総合診療医を目指しました。
ピーンときたのあります?若い方の疲れやすいというのはやっぱり難しくて何かまだはっきり分からないんですけど次のVTR見て頑張りたいと思います。
(玉ちゃん)なるほど。
今日はよろしくお願いします。
さあそれでは病名を探るため再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えてみて下さい。
ドクタージェネラル!
(ノック)どうぞ。
失礼します。
なんか…疲れがとれなくて。
(沢田いつき)
私清掃サービス会社で主任をしています。
いろいろなビルに行ってお掃除するのが仕事です
自分より年配のパートさんたちを使う立場なので若い私がまず動いてお手本にと頑張ってきました
実は私大学時代はバリバリの運動部だったんです
気をつけて下さいね。
ネットのついたスティックでボールを投げるスポーツをやっていました。
体力には自信があります
いずれは独立して自分の会社を興すのが夢なんですが…
2か月くらい前でしょうか…。
あと30分です。
皆さんテンポアップでいきましょう!ファイファイファイ!うわっまた出た〜!主任のエール。
大学の時のクラブの掛け声なんだって。
クラブってディスコ?じゃなくてラクロスとかって。
体育会系…。
スポーツのノリでやられちゃあこっちの体はもたないわよね。
たまんないわよね〜。
大ベテランのパートさんばかりなんで気も遣うし…。
つい無理しちゃう事も多いんです
あれ?昨日なんか重い物持ったかな?う〜んそんな事ないよな…。
いえ。
実は昼休みも…。
おなかすいたすいた!いただきま〜す!
お昼はコンビニのお弁当で済ませる事が多いんですが…
あらやだ主任。
まだ食べてるの?あらほんと珍しい。
食欲ないんですか?食欲…なくはないんですけどね。
よくかむダイエットですか?ハハハ…!ダイエットって痩せる必要なんかないでしょ。
休憩あと20分ありますよね。
ちょっと寝ます。
このところ忙しくて掛け持ちで現場を回っているせいかもしれません
(チャイム)
こまめに睡眠をとって体力を回復させながら乗り切っているという感じです
沢田戻りました。
はいお疲れさま。
どうした?えっ?あっ…ちょっと疲れて…。
そうか。
シフトがきつくて大変かもしれんけどお前に頑張ってもらわないとな。
分かっております。
疲れたりストレスはあるだろうけど顔に出さないようにな。
はい気をつけます。
…とは言ったものの人の目を気遣うと余計につらくて…
ハァ…。
そうした疲れ方は…はい。
はい。
ぐっすり眠れます。
一度寝たらめったな事では目を覚ましたりしません
1週間ぐらい前だったでしょうか。

ラクロス部の同期会でカラオケに行ったんです
いつき今日はどうしたのよ?もっと盛り上がろうよ。
そうだね。
じゃあいっちょうコールでもしますか?エンジェルス…ファイファイファイ!ファイファイファイ!
でもやっぱり疲れてしまってみんなのようには楽しめなかったんです
うん?あれおかしいな…。
どうしたの?このストロー詰まっちゃった。
シェークが凍ってたのかな?どれ?吸えるよ。
本当?
そんな事初めてでした
もういいや。
その翌日も…
さあ始めましょう。
は〜い…。
仕事中疲れがたまって体が思うように動かなくなって…
きゃ〜っ!わっ!どうしたの?あらあら大変!すみませんつまずいちゃったみたいで…。
主任らしくもない。
このままだとチームの足を引っ張るばかりです。
先生私病気なんでしょうか?
どこが痛いわけでもないのになぁ…。
(玉ちゃん)働きすぎじゃないかな?だけどあれだけ陽気ではつらつとした子ですからねこれはおかしいと気が付くんですがバイタルデータ。
こちらでございます。
沢田いつきさん30歳ですね。
ドクターGこれを見て…。
ちょっと熱はある感じですよね。
高いですよね。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
(玉ちゃん)どうぞ〜。
(夢枕)ギリギリだよね。
「温泉行きゃ治るよ」というののスレスレのところなんだけど…。
30歳の女子にしてはしかもスポーツやってる子にしては明らかに体力の衰えが…。
早い時期に始まる更年期障害かと最初思ったんですけど。
そんなに早く始まるんですか?30代で始まる方いるらしいんです。
(夢枕)腎臓の機能なんかが落ちると疲れたりすると思うんだけど…手が上がらないとかストロー吸えないというのはちょっとね…。
さあそろそろ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン。
(玉ちゃん)どうぞ!さあまず角先生からお願いします。
(玉ちゃん)加奈子先生お願いします。
(玉ちゃん)俊亮先生お願いします。
(玉ちゃん)3人そろっちゃいましたね。
ここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート!3人とも同じ診断だったわけだけれどもこの病気はどういう病気であるかという事。
俊亮先生。
「重症筋無力症」は朝方は筋力がしっかり保たれてるんだけれど夕方や夜にかけて同じ筋力を何回も使うと疲れが出やすくなるという病気で…。
ビデオでもタンバリンをたたいててたたき終わりぐらい最後の方にしんどくなっていたのでそこから僕はこういう病気を…。
(玉ちゃん)ボックスの中でですね。
呼吸筋を…吸気の問題があるという事なので呼吸筋の筋力低下もあるのかなという事で…。
原因はどういうものが…?原因はどんなものがありますか?化学物質ですがそういったものが足りなくなって力が入らないという症状は出ますので…。
運動神経と筋肉の間には神経筋接合部と呼ばれる隙間があります。
神経に信号が伝わるとこの隙間にアセチルコリンという化学物質が放出され受容体に伝わって筋肉は動きます。
しかし重症筋無力症では抗体がその伝達を邪魔するため筋肉の動きが悪くなります。
フリップにはドーンと重症筋無力症と書いちゃったけどもこの病気しかあがらなかったわけじゃないですよね。
ここに至るまで実はいろんな病気が頭の中にあがってきたはずなんです。
それが沈んでってその結果この病気が出てきたわけで…。
それは常に我々考えておかなくちゃいけない。
研修医は3人ともVTRで見られた症状をもとに重症筋無力症をあげた。
しかしドクターGは問いかけた。
本当にこれでいいのか?俊亮先生具体的にどういう病気が除外されていったんですか?そしてそれはなぜですか?物を持ち上げたりするより体幹体の幹に近い筋肉を「近位筋」近位の筋肉と言うんですがそれがやりづらそうに見えたので僕が思い浮かんだのは多発性筋炎という病気があるんですけれども。
ただそれだとしたら関節が痛くなったりというのがあるんですがVTRの最後に言ってた「痛みはないんですけどね」という辺りでその可能性は少し下がるのかなと考えました。
でも出ましたねまた違う病名。
具体的な病名が出てきましたね。
これは俊亮先生だけじゃなくて加奈子先生も角先生も考えてみて。
(玉ちゃん)う〜ん…。
俊亮先生が注目したのはこのシーン。
「痛みがない」というこのひと言で多発筋炎を除外していた。
しかし…。
痛みのない多発筋炎は山とあります。
(玉ちゃん)へぇ〜。
どうでしょう?痛みがある多発筋炎もある痛みもない多発筋炎もある。
痛みがある場合でもももが痛くて腕は痛くないなんていくらでもあるしあるいは病気が進んで初めて痛みが出てくるものもあるし…。
これを勘案しながら考えていく事が大事。
当然…出てきましたかね?考えてはいたんですが痛みがないというのにつられて外してしまいました。
白黒のデジタル思考は怖いんですねこのぐらいに。
つまりそうすると…そもそも沢田さんの主訴は「疲れがとれない」だった。
そこで疲れから思い浮かぶ病気について質問があがった。
全身の倦怠感とかというよりもダイレクトに症状として筋力が落ちているのが出てるので…。
それは一体どういうシーンでした?
(俊亮)最初の頃は朝は元気で大丈夫だけれども昼になるとしんどくなる。
それは肝炎が悪くなってしんどくなったと考えない?そこに関して10分20分の小休止が肝炎の全身倦怠感というのを改善させるとは考えにくいかと。
どうですか?それはいいですか?さっき夢枕さんの方から「腎臓」という言葉が出ましたね。
腎臓は考えないで大丈夫ですか?加奈子先生どうですか?腎臓に異常が出てくる事がありますので…。
加奈子先生があげた強皮症は…だが…。
他の症状は強皮症で合いますか?
(加奈子)いえ。
強皮症の場合は夕方に症状が強い事はあまりないと思います。
また他に手がすごく腫れてくるという特徴的な所見があるのでそういったものがないので今回はあまり考えていなかったです。
重症筋無力症にこういう症状がありだありだありだからバーンと突っ走るんじゃなくて後ろも固めて「これは腎臓じゃないよな。
すい臓じゃないよな。
肝臓じゃないよな」というその「ない」という除外診断の証拠固めをしながら少しずつ進んでいく。
それが的確な診断につながるわけ。
他にどうですか?夕方に筋力が落ちるというのが合わないんですが若い方で…それらの病気の除外に関してはどうですか?「若い」というのは当てはまってますし力が入りにくくなるという病歴も合ってるとは思うんですが先ほど見せてもらったバイタルで甲状腺機能亢進症というとかなり脈拍は高くなりますし血圧もどちらかというと上がる方向に動くと思うのでバイタル的には少し合わない部分もあるんじゃないかと考えられます。
角先生は沢田さんの病気が甲状腺機能亢進症であればもっと脈拍が多くなるはずだと考えた。
じゃあこのバイタルサインは……と言われるとちょっと分からないです。
分からない。
加奈子先生助け船出せる?重症筋無力症がどうやって起こるかという事を説明してくれました。
そのどうやって起こるかでこのバイタルサインは説明できますか?それはやっぱり…重症筋無力症では通常発熱は見られない。
37.7℃という熱は矛盾している。
(玉ちゃん)どうなんでしょうね?我々は全く分からないですね。
僕はすごいって思うんですよ聞いてて。
これは臨床ではごくごく基本的な情報で生きてるか死んでるかですから。
そうですね。
生きているという証拠以上にじゃあその活きが…。
…という事を示すのがバイタルサインです。
ですからこれを無視して診断に飛びつくというのはこれは気を付けなくちゃいけない。
なるほどね〜…。
じゃあこのバイタルサインを説明できる病気はどんなものがあるだろう。
(玉ちゃん)さあどうでしょうか?ここでドクターGは基本に立ち返りバイタルサインで沢田さんの病気を考え直すよう促した。
多発筋炎などはやはり熱も出ると思いますしこのバイタルに熱の問題だけで言うと合ってるのかなと思います。
そういうものだと脈が速くなったり体温が上がったりする事があると思う。
多発筋炎ももちろんいわゆる自己免疫疾患の中の大きなくくりの中に入りますけれども多発筋炎以外にこのバイタルサインが出てこういう症状が出てきた出てくる病気はないだろうか?ウイルスとか細菌とか外来性の異生物が体の中に入っていろいろ悪さする病気ですが…。
ひとつ考えたのは…腸炎を起こした2週間後ぐらいから筋力が低下してくるという事でこの方も若くて筋力低下が主訴という感じなので…。
感染症状が明らかでないギラン・バレー症候群の方が多いです。
だから感染症状がないからという理由一つだけでギラン・バレー症候群を除外してはいけません。
これ見逃す。
だけども加奈子先生は考えたはず。
考えるんですけども合わない点としては下肢からだんだん上行性に…。
下肢って脚の方ですね。
脚からだんだん症状が上がってくるという事。
それが典型的な経過になっております。
そういうところが少し合わないかなと考えました。
カラオケボックスまで歩いてきてるわけですよ。
歩いてきてるのにタンバリンが上がらない。
でストローが吸えない。
これはギラン・バレーの経過と違うだろうと。
病状の経過というのは非常に診断には実は重要なんですね。
上から始まるような特殊なタイプのギラン・バレーの仲間の病気であれば…?可能性としてはあまり高くはないですが…この病気の名前聞いた事ありますか?特徴的なのは目を動かす筋肉に筋力低下が起こって目が動かしにくいという症状が出るので…目は特に横方向に動かしづらくなり…でも重症筋無力症というのも目が動かなくなるんじゃなかったでしたっけ?
(加奈子)そうですね。
実際には眼球運動の診察をしてどっちに向く時に動かないかとかいうのを見るとフィッシャー症候群らしいのかなというのが分かるかなと思います。
さあさまざまな病名があがってきましたね。
答えは一種類でしたが実はこんなに隠れてたという事が分かってきましたがゲストのお二人このカンファレンス…。
いや〜…。
いやこれはすごいですよ。
だっていろんな事を考えててそれを全部先生が「それはなぜですか?こういう事は考えないんですか?」というのを次々に…。
(いとう)総合診療だったら多角的にこれだけの事を考えて頂けるって事ですもんね。
ありがたいですよねたらい回しにならなくて。
先生の所に行けば「こうじゃないかああじゃないか」という事をね…。
一方で最終的には絞り込まなくちゃいけないのでそのタフな仕事がこれから待っているわけですよね。
初めから風呂敷だけ広げればいいというものでもないので。
じゃあどういうものが出てきたら重症筋無力症の可能性が高くなるかという事も考えて第2のビデオを見るんだよ。
今のところは重症筋無力症かなというところで…。
あとは多発筋炎に伴って関節痛などの痛みの症状が出てくるのか注意していきたいなと思います。
私も一番は重症筋無力症を考えています。
合わない点としてバイタルで体温が高いという事がありますのでそういった病歴を確認するという事をしたいと思います。
僕は今一番考えてるのは多発筋炎にしました。
その理由として先ほど出てきたバイタルを大事にする事を考えて重症筋無力症で熱が上がるというのはあまりはっきり分からないので合わない部分があるかどうかを見ながら次のVTRを見たいと思います。
それでは診断を絞り込むために再現ドラマの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!では症状がひどくなったこの1週間の事を詳しく聞かせて下さい。
はい。
(沢田)
いいえ。
ふだんの生活でもあるんです
あっ私。
今駅前だからもうちょっとで帰るね。
うん。
今は彼と2人で暮らしています
ただいま〜!おかえり。
ラーメン作ってるけど食べる?感謝!ご苦労〜!どうしたんだよ?うんちょっと疲れて…。
2丁目の坂道上がりきれなかった。
お前らしくないな。
飯やめとく?ううん食べる。
あんまり疲れて帰ってくるので彼が気を遣って食事を作ってくれる事が多くなりました
ほい。
食事は何でもおいしいんですが…
そうですか…。
私先お風呂入っていい?ああ。
髪を乾かすのが何だか疲れて時間がかかるんです
もう少しお聞きしますね。
はい。
だるいと思う事はありますけどしびれる事も痛いと思った事もありません
毎日お風呂に入る前に量るんですけど変わりありません。
便秘とか逆に下痢とか…。
いえ。
規則正しい方です。
どんな事でも結構です。
そうですね…。
仕事をしている時におかしな事がありました
あっ!
夕方事務所に帰った時も…
ハァ…沢田戻りました。
沢田このシフト表チェックして。
何だ?何か不満でもあるのか?言いたい事があるなら言えよ。
いえ違います。
何でもないです。
いえ。
一瞬首を振った時だけでそのあとは何ともありませんでした
むしろ本当に怖くなったのは…。
それではミーティングを始めます。
突然話しづらくなって…
(ろれつが回らずに)5階の西側フロアで全部で5室。
まずは受付部分の清掃から。
時間帯は…退社後の17時からでよろしくお願いします。
なんか…今も…しゃべりにくい…です。
それに…喉が…狭くなった感じがして…つばも飲み込めなくて…苦しいんです。
さあ新たなヒントが出そろいました。
それでは研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
おっしゃってた物が二重に見えるというのが今2番目のVTRに出てきたのでああこれかと思って…。
これですよね。
一瞬というところがポイントでしたよね。
筋力が動かなければ長い間二重だけど一瞬というのが多分何かヒントなんでしょうね。
それでは最終鑑別です。
フリップオープン。
はい!さあそれでは角先生からお願いします。
加奈子先生お願いします。
俊亮先生お願いします。
(玉ちゃん)おお〜!強化されたんでしょうか?再びドクターGと研修医との真剣勝負それでは最終カンファレンススタートです。
ではまず角先生。
VTR2を見る前は多発筋炎があがってきたけれども多発筋炎が最終的に落ちて重症筋無力症になった理由を教えて下さい。
そうですねやはり「複視」という症状…。
複視…物が二重に見えるという事ですね。
左を向いた時右を向いた時だけ出るという事で目の動きが悪くて目が動かせなくて二重に見えているんじゃないかと考えました。
目を動かす筋肉ですね。
はい。
重症筋無力症は悪くなる所が電気の配線というかね言いますとね家庭の電球とかコンセントとかそのレベルがおかしくなってる。
だからやられる所もやられない所もあるんです。
窓を続けて洗ってふっと下を見た時に二重に見えた。
それから課長が二重に見えた時もふっと目を振った時にこの時に素早い筋肉の動きが要求されるわけです。
で負荷をかけてその時は二重に見えたけども元に戻った。
重症筋無力症の病態を考えればそういうふうに言える。
では多発筋炎と今問題になってる物が二重に見えるの関係はどうなりますか?やはり多発筋炎だと先ほど出た近位筋大きな部分の筋肉体に近い部分の筋肉が落ちるという事で目の動きに関して外眼筋のような筋肉に関してはそれほど影響しないんじゃないかと思います。
おっしゃるとおり。
一瞬だけ二重に見えるという症状から沢田さんの病気は重症筋無力症である可能性が高くなった。
しかし…角先生そうするとさっき最初の時にあった…ドン!そうですね。
熱に関しては正直はっきりと分からないんですが胸腺腫がもし絡んでいるのであれば胸腺腫から発熱は考えられるんじゃないかなと思います。
確かに加奈子先生は鑑別に胸腺腫を加えている。
胸腺は心臓の上部にある免疫機能を担うリンパ系の臓器。
という事で加奈子先生バトンタッチされましたけれどもでは夢枕さんの質問に答えて下さい。
私もやはり発熱という点は胸腺腫からの腫瘍熱の可能性があるのかなと考えました。
重症筋無力症ならば胸腺腫があるという事は不自然ではないですよね。
(いとう)なるほど。
しかしドクターGは問いかけた。
本当にこれでいいのか?それでは俊亮先生胸腺腫以外でかつ重症筋無力症に折り合いがつくあのバイタルサインを説明できるものは何か?胸腺腫よりもはるかに頻度の多い疾患として熱を起こす疾患何がありますか?いわゆる風邪みたいな「上気道炎」みたいな…。
風邪だとこのぐらいの重症感は説明できませんよね。
とすると風邪よりも重症な気道炎。
可能性は低いかも分からないですけれども嚥下の機能が落ちていて…。
ものを飲み込む。
飲み込みにくい。
ものを飲み込む機能が落ちていて例えば飲み込む際にむせてしまったりとかで「誤嚥」といって誤って肺の方気道の方に物が入ってしまってそれは例えば…もう一回ビデオチェックしてみましょう。
沢田さんが問診の最後で発したひと言をドクターGは聞き逃していなかった。
ばい菌がたくさんいる唾液が食道へ入っていけば何も起こさない。
しかしそれが気管気管支肺に入れば当然肺炎が起こる。
それをさっき俊亮先生が言ったように「誤嚥性肺炎」と呼ぶわけです。
患者さんの教えてくれる…それを頼りに…脈拍90いくつでしたっけ?高いですよね。
脈は92回ですよね。
(夢枕)多いですよね。
これについては…?さてどうですか?加奈子先生。
そうですね。
感染症の場合は体温が上がるんですけども普通は体温が上がった時には脈拍も一緒に上がります。
ですので誤嚥性肺炎で説明がつくと思います。
では最終診断は…?せ〜の!
(拍手)正解が出ました。
(玉ちゃん)いや〜たどりついた。
研修医が診断に苦しんだ…いずれにせよ重症筋無力症が悪くなった時臨床医としては悪いシナリオを考えておかなくちゃならない。
「つばが飲み込みにくい」。
あるいは「ろれつが回りにくい」という言葉からどういう緊急事態を想定しなくてはなりませんか?俊亮先生。
筋力が落ちる事で…重症筋無力症は…ええ〜っ!そうなんですか。
ここでいつも…やられる。
常に最悪の事態として呼吸停止を考えておく。
そして呼吸停止を起こすような病態では当然唾液の誤嚥が起こってるだろう。
だから肺炎をかぶっているだろうというふうに見て対処する。
…という事はかなり悪くなりつつある。
やばいっすね沢田さん。
これは治療ができる病気なんですか?もちろん。
時間がかかるんですけれども…
(玉ちゃん)「かかる」じゃなくて「かける」。
もちろんそうです。
そのためには…沢田さんのようにしんどいのに悩んでる期間怠け病だとかラベルを貼られて見逃される事が非常に多いんです。
もちろん初めから二重に見えればそれは分かります誰でも。
だけどもこのように二重に見える時が来るまであんなに悩まなくちゃいけない。
そして「お前何やってんだ」と言われる。
考えとかなくちゃならない。
池田先生が「本当にそれでいいのか?」と繰り返すのには理由がある。
5年前吉野茂子さんは全身の筋肉が衰え命の危機に直面する病気「筋萎縮性側索硬化症」ではないかと思われた。
しかしそれを最終診断とせずその後の経過を見続ける事で病気は自己免疫疾患の多発筋炎であると分かった。
病名が明らかになった事で吉野さんは適切な治療を受け日常生活を送れるまでになった。
「本当にその病名でいいのか?」。
池田先生はいつも自問自答を繰り返し診療を行っている。
(玉ちゃん)一番最初から「重症筋無力症」といって2つ目のカンファレンスやってまた「重症筋無力症」。
「最初の時点で正解です」と何で先生言わなかったんですか?お願いします解説を。
あそこで「正解です」と言ってしまったら他に見落としてはいけない病気それを逃してしまう。
当てればいいってもんじゃない。
そこまで行くまでのプロセスです。
全員が一致したからってその病名という事にならないですもんね。
おっしゃるとおり。
全員一致しているという事は全員一致して逃している可能性を十分に考えなくちゃいけない。
さあ研修医の皆さんどう思われましたか?決めうちというのはやっぱりよくなくて診断というのはその場で全部つくわけではないので常に可能性を頭の隅において診療を進めていく。
そういう姿勢が大事なんだなって改めて実感しました。
患者さんの言葉やしぐさから一つ一つ積み上げて不安をできるだけ早く取り除いてあげる事が大事なんだなと思いました。
(角)ふだんの診療だと検査だとか画像診断とかに頼ってしまう部分が多いと思うんですけども今回このカンファレンスを通じて改めて患者さんの話を聞いて症状から診断をつけるという事の大切さを学べたのでほんとすごく勉強になりました。
ゲストのお二人いかがでした?いや〜ほんと科学なんだなって。
やっぱりみんなドクターは科学者なんだなというかねロジックきちんと積み重ねてここまで病名と病気といろんなところまで積み上げるのは大変な歴史があったんだろうなと聞いてて今実感しましたね。
まい子さんどうでした?いや〜ほんとにねこういう事を積み重ねて私たちが病気になった時に関わって下さると思うと頼もしいなって今日は思いましたね。
さて次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるのでしょうか?さようなら!2015/09/15(火) 14:05〜14:55
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターGセレクション「疲れがとれない」[字]

新感覚!病名推理エンターテインメント「総合診療医ドクターG」。今回の患者は30歳の女性。2か月前から疲れが出始め、最近、疲れがとれなくなった。はたして病名は?

詳細情報
番組内容
ビルの清掃サービス会社で現場主任を務める30歳の女性。学生時代からスポーツが得意で、体力には人一倍、自信があった。しかし、2か月前から、仕事中に、疲れるようになった。しばらく休めば回復していたが、近頃、ますます、疲れがたまってきて…、仕事ははかどらず、ごはんを食べるのさえおっくうだと訴える。はたして彼女の病気は?
出演者
【出演】香川大学医学部附属病院医師…池田正行,【ゲスト】夢枕獏,いとうまい子,【司会】浅草キッド

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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