原発47キロまで避難対象 大津市の計画案
大津市は17日、市原子力災害避難計画案をまとめた。同市は原発から30キロ圏外にあり、国の原子力災害対策指針では、原発から30キロ内のUPZ(緊急時防護措置区域)圏外の自治体に避難計画の策定義務はない。しかし、福島第1原発事故の際、47キロ先の福島県飯舘村が居住制限区域になったことを踏まえ、大飯原発から47キロ圏内に入る市北部を避難対象地域に指定する計画とした。
避難対象として想定するのは葛川、小松、木戸の全域に加え、和邇北浜と栗原、伊香立上龍華町と伊香立途中町の最大計約1万1千人。原子力災害時には、国や県からの指示を受け、対象者は屋内に退避。さらに放射線量が高く一時移転が必要になれば、小学校など最寄りの13カ所の避難時集結場所に集まった後、避難中継所にバスなどで移動し、除染を受けてから、再びバスなどで市内212カ所の避難所に向かう。
バス手配や避難中継所の設置は県が行う。現状では県はUPZ内の長浜市と高島市に対応した広域避難計画しか策定していないため、市は今後、県計画に市の避難計画に合わせた避難中継所の場所の明記や、バス手配の協力などを盛り込むよう求める。
UPZ外では国の指針で必要性が明記されていない安定ヨウ素剤の予防服用についても計画案に盛り込んだ。市はすでに1万6300人分を備蓄している。
避難計画を策定する範囲を原発から47キロに設定したことについて、越直美市長は「今後、市民意見も聞きたい」とし変更もあり得るとの考えを示した。
計画案は市ホームページで公表し、25日から10月14日まで市民意見を募り、11月上旬に正式決定する予定。
【 2015年09月17日 23時00分 】