※すみません…しばらく所用が続き、コメントにすぐには対応できませんが、後日また対応いたします。

ヨンスモデルを使用することの危険性はもうありません。
この点については、本当にご安心ください! 


2009年1月に起きたこの騒動について、あれから約6年半が経ちました。
当時直接に体験した方、その後ヘタリアのFANになってネットや人づてで何となく聞いたことがある方、それぞれいらっしゃると思います。
また、この騒動の概要が何であったかわからず、何気ない不安だけをもっていらっしゃる方もいらっしゃると思います。

私は2008年10月にヘタリアFANになって以来、ずっとこれらの騒動の経過、そしてそれぞれの背景を調べてきました。

アジアキャラが好きで、動画の投稿等も行っていたのですが、韓国騒動が起こり、投稿した動画が荒れたり、粘着されたりと当時は心苦しい経験をしました。
「大好きなアジアをもっと穏やかに楽しむことはできないだろうか」と感じ、アジア地域の歴史を専攻していたこともあり、自分にも何か出来ないかと考え、いろいろと調べてみました。

そして、縁あって実際に韓国のヘタリアファンの方と関わる機会などもあり、日本内での韓国騒動の受け止め方と韓国内での受け止め方が大きく違うことが分かってきました。

詳細はまた後で記述しますが、まず結論からいうと、今現在はっきりと言えることは、もはやこの騒動の再発を恐れる心配はないということです。
(今、この問題を気にして動画が荒れるのは、ニコニコ動画だけとなっています。)

しかし、まずは韓国の状況がどうなのか心配される方がいらっしゃると思います。
このことについては、韓国在住ヘタリアFANであるTOMATINAさんが、これまで韓国内で起きた騒動の流れ等について、日本語で文章をまとめてくださいました。

一言でいえば、この騒動がここまでになった要因は、韓国内で自国語(韓国語)以外を読解できる人が非常に少ない(これは日本でも事情は同様)。そのため、マスコミ報道(さらにネット情報)を客観視して判断する手段を得られず、それらによるデマに騙されてしまいがちになる。ここに尽きると思います。

どのような状況であったかは、TOMATINAさんの文章をご覧ください。
(なお、2009年1月当時はTOMATINAさんはまだヘタリアFANではありませんでした。韓国内にいて外部から見た当時の騒動という視点でご覧になってください。また、日本語の表現でわかりにくい部分については、TOMATINAさんと確認しあった上で私の方で読みやすく修正しています。)


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2008年の段階では、日本のWEB漫画であったヘタリアの韓国内での認知はほぼ皆無であり、また韓国語に翻訳されていなかったため、日本語が出来る人でないと見ることはできませんでした。
そんな時、ある個人のネット上での扇動が全ての発端となりました。

(今現在はこの扇動の源は存在せず、マスコミで記事となる何日前からネットでヘタリアの事が小さく騒ぎになり始めたという流れから、このように確認できるだけです。また、扇動内容も悪意からだったのか、あるいは拙い日本語能力から生じた誤解からだったのかも、私からはわかりません。)

これらの内容に扇動され怒ったネチズンによってまた新たに編集された情報がネットに拡散されていき、ヘタリアがどうこう言われ始めたのがおよそ2009年1月1日からでした。

もともと韓国のネット上では告発、訴え、扇動など色んなタイプの『拡散してくれ』系の文があちこちから山のように噴出してきます。

しかし、それらが熱い話題となりいろんな影響力を持つようになるのは、ほんのごく一部で、ほとんどはちらっと何人かの興味を引いた後、すぐ忘れられていきます。

(今はTwitterなどでちょっと事情が違うかも知りませんが、少なくともその当時の韓国内ではそうでした。)

この件も、内容が内容なだけあってある程度の波及力はあったものの、一部の部類(オタク)を中心にちょっと話題になっただけのものでした。

しかし、これが運悪く韓国のマスコミに取り上げられ記事化されたことで、状況が急変しました。今まで知る人しか知らない程度にしか広まっていなかった扇動文は、それが記事化された1月12日を境目として、凄まじい波及力を持って大規模な騒ぎとなりました。

今、このようにヘタリアを楽しんでいる私たちは、ヘタリアがどんな作品性を持つかを理解していますが、この時の韓国では、作品に接して理解する機会の代わりにいきなりこんな情報を持たされた訳です。
事前情報なしに扇動された内容から見るヘタリアは、国家関係の問題以前にモラルに大きく反していて、非常に不快に思われる内容でした。

そして、この歪んだヘタリアの情報が韓国マスコミによって報道され、それに怒った大勢の人達によって二次拡散される過程で、さらに質の悪いデマが雪だるま式にとんでもない勢いで加えられていきました。韓国ではまだオタク文化に対して、全然理解していない人と唾棄している人の方が断然多かったことも、拡散に拍車をかけました。

記事化された次の日の13日、国会の『独島(竹島)領土守護対策特別委員会』でヘタリアのことが議題化されました。

それと同日にヘタリアアニメでは韓国が登場しないと言う記事が報道され、12日から13日にかけてまるで嵐のようだった騒ぎは、あっという間に落ち着きを見せ、16日放映中止の記事が報道されると共に、大勢の人達の関心の外になり、ヘタリアの一件はすぐ静かになりました。
(韓国では、一瞬で熱くなり、一瞬で冷める傾向があります)


ここまでの流れを時系列でまとめると、以下の通りです。
(現在TVと新聞記事からは調べられなくて、当時ウェブ記事の大部分を占有していたサイトNAVERを参考にしています。)

2009年1月1日 ネット上でヘタリアが問題視され始める。(規模微弱)

2009年1月7日 キッズステーションでヘタリアの放映中止が告知される。

2009年1月12日 韓国マスコミでヘタリアのデマが記事化され、大騒ぎ勃発。

2009年1月13日 国会議題化される。/  アニメに韓国が登場しないとの報道。

2009年1月16日 キッズステーションでヘタリア放映中止が改めて告知。
        韓国マスコミでヘタリア放映中止が報道される。

2009年1月22日 この日を最後に一応ヘタリアデマ関連の報道は終わる。

2009年1月28日/2月3日  韓国マスコミによるヘタリア劇場版化の記事が各1件ずつ有り。


最後の劇場版の記事は、劇場版のお知らせ以外に特に何らかの内容があった訳ではなく、既にヘタリアの騒ぎが鎮まった後でもあったので、大勢の人々の興味を引けませんでした。
その後は、本当にただ1件すら韓国ではヘタリア関連のことは報道されていません。

そして、放映中止になった7日は、まだ韓国内で騒ぎになる前だったのですが、この時点で放送中止となったことについて、アニメ側から説明がまったくない点から見て、記事化する前に韓国マスコミ側とアニメ側との間で、何らかのやり取りがあったではないかと推測されます。


では、マスコミはそうだったとしても、国会では何故ヘタリアの事が議論化されたのか。単に放映中止で収めるつもりだったら、7日に放映中止が決まった時点で、国会で議論化される事はなかったと思います。この時点での韓国側としては、ヘタリアで戦争を美化し反人倫的な内容を扱うと共に、韓国に対する露骨的な侮辱について、最低限何らかの謝罪でも受けるつもりであったと思えます。

しかし、動画でもわかりますが、国会で議論化された内容自体、尾ひれをつけて拡散化されたデマを根拠とした事実無根な内容でした。
(動画の中の議論で、"これが24日から放映される予定だ" と言及がありますが、7日にすでに放映中止されたのを知らなかったのではなく、これこそ放映中止とかの問題ではなくこんな反人倫的な内容が子供を相手に放映される予定であったことに、この野党議員は憤慨していたのです。)

また国会で議論され国際関係にまで影響を与えかねなくなった時点で、その内容が実はデマであったことはすぐわかったでしょう。国会もまた、韓国キャラが削除されただけでアニメはずっと正常放映されてるのにも関わらず、13日以来まったく言及もしなくなりました。

デマに騙された、誤解でこちらの過ちだったと悟って口を噤んでしまった…。

刺激的なネタが大好きで、些細な事でもすぐ記事にしてしまうマスコミですら全然ヘタリア関連には触れてこなくなったこれまでの状況を見ると、私はもうヘタリアの事で韓国から公式的な圧迫をされる恐れはないと見ています。


それでは、なぜデマ・誤解が解明されず、ここまでの動きになってしまったか。
ここが私が言いたいところです!!!!!!
…こんな状況になりながらなぜ解明されなかったのか。

まず指摘できることは、コミックス連載ではなくWEB掲載だったヘタリアは、韓国に輸入されておらず知名度がなかったので、この件について解明することができるファンの数が、かなり少なかった点です。

どこでもある傾向なのですが、韓国では特にアニメなどについては、子供が見る物と考え、オタク文化への蔑視が酷い状況で、ネット上で活動するオタクもほとんどが未成年者です。
(ナルトのファンコミュなんかに行ってみたら、大体が小・中学生でした…)

当時、韓国内にもヘタリアファンコミュがあったのですが、その状況はあんまり違わなかったと思います。その幼いヘタFANさん達がどれだけの日本語が出来て、どれだけ作品の事を理解していて、どれだけ上手な事情説明文が書けたか。詳しくないまま漠然とキャラが好きって方が大体だったと思います。

そのような状態で、『漫画だから笑い流して』『ただのギャグだよ』『私はキャラだけが好きだからいいよ』のような下手な解明は、逆に火に油を注ぐことにしかなりません。

残念な事に、現在ネット上に残ってる事情説明のほとんどがただの油祭りで、何点か見られる少し真摯に書かれた事情説明文も、書き手自身のヘタリアに対する理解度が低くて、この騒ぎが何が問題でどの部分をどう解明したらいいのか、重要な所が全然掴めていませんでした。
その中で、コミュの韓国ヘタFANさんたちが力合わせて拡散させようとしたという事情説明文があります。しかし、これもあまり内容に違いはありませんでした。

─それは高校生の方が書いた事情説明文で、文章自体は落ち着いていてとても綺麗だったのですが、内容は自爆しているものが多くて、騒ぎの根本的な問題点をわかっていませんでした。たぶん彼女が韓国ヘタFANの中でも一番年上の人で、その事情説明文をみんなが素晴らしいと思ったからこそ、彼女を頼りにしながら皆で力を合わせてその騒ぎに戦ったんだろうと思うのですが ─

マスコミの威力のゆえ、その中で過激で行動を選ばない人達が多数出たと思います。マスコミ報道された後の何日間は本当に修羅場のようだったと聞きます。人間以下の扱いをされ、本当に酷い事をたくさん言われ、身辺情報を取られてネット上に公開されるとか、いろいろ徹底的に排斥され虐められたといいます。本当にやるせないことです。


騒ぎが鎮まった後、ヘタリアは一般人からはほぼ忘れさられた存在となり、オタク界では極右とか嫌韓の作家/作品などの事が論争になる時に回想されるぐらいで、普段はほぼ話題に出てこなくなりました。

そして、韓国内のヘタFANは2009年の騒ぎ当時の何回かのやりとりに負けた後、今も影でひっそりと活動しています。理由は今でも韓国内のヘタFANはごく少数の人数で、新しい流入がないせいです。

作品にハマるにはどこかで作品と接して興味を持つきっかけが必要なのですが、ヘタリアは韓国内では誰も見ておらず、外国と外国のネットなどで接して初めて興味を持つのが一般的です。
また、ヘタリアという作品を知って、作品情報をネットで検索してみようとしても、目の前に2009年当時の汚いデマが広がっている訳ですから、韓国内でヘタリアに興味をもつのはとても難しいです。作品の詳しい内容を知りたいと思っても、韓国語に訳されていないのもありますし…。

でも、私は本当に韓国内でのヘタリアに対する誤解を解きたくて、どうにかしたくて;;;;でも難しさを本当によくわかってて…この誤解のことが解明されヨンスが皆に受け入れられるってのが本当に;;;;
もう泣いてしまいます;;;;こんな素敵な作品を韓国人は接する機会のないって事が惜しいほど私にとって素敵な作品だから;;

本当に長くて整理されてない文を読んでくださってありがとうございます!!


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私からの補足としましては

1月7日にキッズステーションでの放映中止が告知されながら、なぜ12日に韓国マスコミは報道をしたのか

TOMATINAさんは、この時アニメ側から説明がまったくない点から、記事化する前に韓国マスコミ側とアニメ側との間で何らかのやり取りがあったではないかと推測していますが、私もこの時点ですでに両者の間でやりとりがあったのではないかと見ています。

しかし、見ての通り韓国マスコミ側から出てくる内容はデマです。そういう場合、その対応をどうすればいいか。この頃の日本の企業対応としては、具体的な説明はせず、ただし相手とのやりとりが困難を生じる場合は、削除または中止にして、事を大事にしないようにするために、その事自体をなかったことにする。これが基本的な対応であったと思います。
(内容がデマであるなら尚更です。)

ですが、このような対応は韓国を相手にする場合は通じません。臭い物に蓋のような対応で済ませたと感じて、さらに多くの人にこの出来事を知らせて、自分たちの主張にキチンと耳を傾けるよう、もっと大きな声で伝えようとします。
(私も、これまでさまざまな現場で何度もこのような韓国とのやり取りをみてきました。この点については、もともとの韓国の習慣であり、まったく日本とは異なっています。)

野党議員が“放映中止とかの問題ではなくこんな反人倫的な内容が子供を相手に放映される予定であったこと”で憤り、日本からの謝罪を受けようとしていた…という点も、このことから考えると辻褄が合います。


1月13日で国会に取り上げられたその日以降、なぜ韓国ではヘタリアのことがまったく言及されなくなったのか

問題が相手にあるとみれば主張を続けることが慣習である韓国で、その後まったくリアクションがなくなったこと。これもTOMATINAさんのおっしゃる通り、この時点でこの騒動はデマが根拠として膨らんだ誤解で、自分たちに非があることがわかったのだと思います。

誤解でここまで騒いだのなら、騒いだ韓国側に謝罪をして欲しいと思う人もいらっしゃるでしょうが、相手の面子の問題もあります(東アジアでは“面子”はとても重要です)。これ以上何も言わない…これが精一杯の譲歩だと思います。
(日本の大人の社会でもよくあることです;)

そして、1月28日及び2月3日の劇場版化の記事を最後に、マスコミの報道が見られなくなった。このことから見ても、もう関わりを持たないことでこの時点で完全にこの騒動は終了したのだと思います。

原作者のひまさんがこの間に韓国へ説明にいらっしゃっています。これもまた韓国側の面子を満たした…このような見方をすることができるとも思います。
(それほど面子とはややこしいものです…;)


これが2009年1月の時点です。


この騒動後のニコニコ動画ですが、韓国のキャラであるヨンスは排除される(という発想自体)ありませんでした。それもAPHタグではなく、ヘタリアタグで普通に登場し(ヨンスタグも存在)、皆に愛されていました。
日本人だけではない、韓国人の方もヨンスのネタで投稿して、中には若干自虐的なシュールギャグの自国ネタでシリーズ化までいった韓国の男性の方の作品もありました。
(この作品はかなり人気を呼んでいました。)
2009年、2010年【ヘタリア全盛期といわれる時期】に、ニコニコでヨンスが登場することで問題になったことなど一度もありませんでした。

それが2012年あたりから、ニコニコ動画にヨンスが登場するだけで2009年の騒動のことで動画が荒れて、投稿者は人格攻撃までされて大きく批判されるようになりました。

しかし、その他の媒体ではこのような現象は起きていません。2009年から海外ではヨンスというキャラはしっかりと認知され、さまざまな国で二次創作が作られています。
日本でもpixiv、twitter等でも普通にヨンスの二次創作を見ることができます。

またyoutubeをご覧になればおわかりかと思いますが、MMDでも自作のヨンスモデル、最近では草鹿さんのヨンスモデルを使った作品なども見かけるようになっています。

(中国のbilibiliでも、草鹿さんのヨンスモデルが配布されていましたが、5月の時点でモデルを使ったMMD作品がどんどん生まれ、ほのぼのとした雰囲気で、何もトラブルは起きていません。)

そして、ニコニコに唯一残りましたしぇりーさんのヨンスMMD動画作品も、5月のヨンスモデル配布動画投稿時(7~10日)を除いてコメントは荒れず、さらにヨンスタグが付いている状態で、約3ヶ月間穏やかに動画は視聴されています。

では、これらの作品に対して韓国が問題として声を上げたでしょうか?


どこで荒れる事態が起きているのか、私はこれまでしらみつぶしに一つ一つ各種媒体を確認してきました。しかし、結局のところ、この韓国問題については現在ではニコニコ内のみで議論が起きてしまっています。6年半も前のことですから、ひとづてに聞くことで話が大げさになってしまっていたり、よく分からない不安感から過敏に反応してしまうなどもあるのでしょう。

時が経ち、世界の状況も大きく変わっています。そして、二次元と三次元は別物で同一視するものではありません。ヨンスというキャラクターには何の罪もありません。
ヨンスMMDモデルについては、配布方法を厳密に設定するだけで、MMD動画公開についてはそろそろ次の段階へ進んでいってもいいのではないかと思います。 

                                                              天野白妙