ドキュメント72時間「ファミレス人生劇場」 2015.09.16


見慣れた郊外の朝の風景。
お互い言葉を交わす事もなく行き交う人々はどんな人生を歩んでいるのだろう。
都心から1時間ほどのベッドタウン埼玉上尾。
24時間眠る事のないファミリーレストランが今回の舞台だ。
いらっしゃいませ。
ようこそ。
時間はこれからランチタイム。
37あるテーブルはあっという間に埋まっていく。
(笑い声)ひときわ盛り上がる年配のグループがいた。
(取材者)そうなんですか。
今まで生きててよかったね…。
昔から地元に住む仲良しグループ。
もともと農家だった人が多いけど今は宅地開発の波に乗り不動産業に衣がえしたらしい。
悠々自適となった今このファミレスを拠点にして人生をおう歌し始めた。
結構浅間台の人は…こうやってやってんの?盛り上がった勢いでゴルフの腕前を実演すると言いだした。
まさかここで打つの?さあお昼の書き入れ時。
1時間に150人ものお客さんが集中する。
(店内のチャイム)はい3番です。
チーズケーキ先で。
先でお願いします。
近所にある中小の工場や事業所から来る人が多い。
何と言っても魅力は値段にあるようだ。
皆さん節約。
しかもゆっくり味わう暇もなさそう。
ええ。
食事もそこそこに書類とにらめっこする女性を見つけた。
来られた理由って何かあるんですか?仕事は有料老人ホームへの勧誘。
聞けば入居費用はそれなりのお値段。
でもこの地域かなり有望なマーケットらしい。
確かに周りを見渡すと年配のお客さんが目立つ。
そこにビジネスチャンスが湧き出ているという訳。
早速こちらも…。
そうですね。
あ〜そうですか。
急速に進む都市郊外の高齢化。
こんなに高齢者ビジネスがヒートアップしているとは…。
夕方5時を過ぎるとお客さんもがらりと入れ代わる。
目立ち始める家族連れ。
手ごろな値段でちょっとした外食気分が味わえるのもファミレスの魅力かな。
2人だけでテーブルを囲む親子がいた。
子どもが小さいから…。
パートの帰りだという岸さん。
2週間に1度はここで子どもと食事をする事にしているそうだ。
2人にとってこのお店に来る事は特別な楽しみがあるみたい。
これもそうなんですか?これもそうなんですけど…締めて1,000円余り。
2人で過ごしたファミレスのひととき。
頑張ります。
(雷鳴)雨宿りのビジネスマンに交ざって店にやんちゃそうな若者3人組が入ってきた。
恐る恐る声をかけてみた。
仕事は建物などの解体業。
帰りが遅くなるといつも仲間を誘ってここで食事をするらしい。
何かすみません。
まずいだろ。
意外に人懐っこそうな彼実は成績が振るわず高校を中退した。
でも8か月前から通信制の高校に通い始めたそうだ。
なんでも目指すものが出来たらしい。
やっぱ…。
突如芽生えた「誰かの役に立ちたい」という気持ち。
彼の始めた挑戦を家族は喜んでいるという。
お父さんと?いい話聞いた。
24時間眠る事のないファミレス。
深夜になってもいろんな人が集まる。
反省会です。
何の?ちょっとギャンブルの。
こんばんは。
恥ずかしいどうしよう。
早朝。
ちょっとインパクトのあるご夫婦がやって来た。
どんな関係なんですか?佐藤正一さんカツ子さん夫婦。
最近になって建設会社の寮で朝晩60人分の食事を作る仕事を始めたという。
一緒になって40年。
本当はもう一人家族ができるはずだった。
いい時も悪い時も2人は並んで歩んできた。
一朝一夕ではできない家族の形があった。
それじゃ頑張って下さい。
ありがとうございました。
朝9時を過ぎると1人で訪れる年配の男性客が目立ち始める。
ファミレスはよくいらっしゃいますか?来ますよ。
離婚して以来妻と子どもとは一切連絡を取っていないという。
警備員をしているというが休みもろくろくないそうだ。
どうしてそんなに頑張るのだろう?いつか父親らしい事をしたいという思いが今の男性を支えている。
どうもありがとうございました。
そうなんですか?そうなんです。
誘惑多いね。
親がうるさいよね。
すみませんNHKなんですけども…。
アップにすれば。
どれですか?これです。
あ〜っ!「誰?」って。
すごいですね。
何かすごいケバいですよね。
変わりますね。
ありがとうございます。
じゃまたね。
またね。
土曜日の朝。
会社は休みのはずなのにテーブルで仕事をする人の姿が…。
何を読んでいるんだろう?一念発起のきっかけは会社を取り巻く状況の変化だった。
そうですね…静かなベッドタウンにもグローバル化の荒波。
こちらも何か資格かな?6年間臨時教員として毎年学校を転々としながら正式採用の試験を受け続けているそうだ。
それでも頑張ってこられたのは胸に刻まれた恩師の言葉があったからだという。
試験頑張って下さい。
ありがとうございます。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
何だか生きづらいこの世の中。
だからこそ誰もが一息つける場所を探している。
深夜お酒を飲んでやたら盛り上がるグループがいた。
じゃあ本当は?みんな3年前に副業のアルバイト先で知り合って以来の仲間らしい。
この日の集まりに久しぶりに顔を出した男性がいた。
バイトはね…そうなんですか。
深い話ですね。
深刻な話のはずなのにみんなあえて冗談を絶やさない。
ハシモトさんもそうだよね。
何だっけ?おととし。
気兼ねない仲間とのひととき。
いわばこれも「家族のようなもの」かもしれない。
撮影最終日の朝気になるお客さんがいた。
前夜からずっと時間を過ごしている。
「顔を映さないなら」と話をしてくれた。
ほぼ毎日ですか。
なかなか詳しい事は話してくれない。
店を出てからようやくぽつりぽつりと話し始めた。
「ここにもいた」っていうのは?ギャンブルが原因で家族を失い今は帰る家もない。
それでも毎日ここに来る。
いつものように混み始める前に店を後にした。
また人は今日を生きていく。
撮影っすか?マジで!ファミレスはよくいらっしゃいますか?これ映ってるんすか?映ってる。
お座りができるようになった一人で。
あ〜そうですか。
お座り。
本当だ!私離婚危機です。
えっそうなんですか?…ってかもうしますね。
ファミレスにはよくいらっしゃったりしますか?はい。
今日はどうだったんですか?それは聞かないで下さい。
反省ばっかですけどね。
(笑い声)
(店内のチャイム)・ありがとうございま〜す。
来週はどうですか?勝ちますよ。
当たり前じゃない。
勝ちますよ。
ありがとうございました。
頑張って下さい。
2015/09/16(水) 02:00〜02:25
NHK総合1・神戸
ドキュメント72時間「ファミレス人生劇場」[字][再]

舞台はベッドタウンにある24時間営業のファミリーレストラン。朝から深夜まで背中合わせのテーブルでさまざまな人生が交錯する不思議な空間の3日間。72時間の傑作選。

詳細情報
番組内容
都心から電車で1時間ほどのベッドタウン、埼玉県上尾市。その片隅にある24時間営業のファミリーレストランには朝から深夜まで客足が途絶えることがない。毎日独りで食事をするため通うお年寄り。不況のためか資格取得に熱心なサラリーマン。少しでも子どもに楽しい思い出を作ってやりたいと願うシングルマザー。背中合わせのテーブルで様々な人生が交錯する不思議な空間、ファミレスの魅力を掘り下げていく。72時間の傑作選。
出演者
【語り】吹石一恵

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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