緊急取調室 2015.09.16


(物音)
(佐原俊夫)あっ…!
(佐原和子の悲鳴)
(パトカーのサイレン)
(携帯電話)
(真壁則行)お母さん…携帯!早く!
(真壁有希子)はい。
うわ…。
(梶山勝利)寝てたか。
「当たり前でしょう。
今何時だと思ってるの?」目覚めに俺の声が聞きたいんじゃないかと思ってな。
朝っぱらから笑えない冗談やめてください。
「今すぐ来い」はあ?今日非番なんですけど。
非番じゃない。
出番だ。
君の時間は俺が預かっている。
ふざけんな…。
ああ…。
(真壁奈央)仕事?奈央朝ご飯頼むね。
知らない…。
ノリはお父さんにお水とお花ね。
はーい。
(ため息)ねえお母さん。
何?宿題なら自分でやって。
僕のお父さんってなんで死んじゃったの?事故って言ったでしょう。
どうして事故に遭ったの?いい人はね早死にするって言うの。
(則行)ふ〜ん。
お母さんはきっと長生きだね。
だって僕たちの事すぐ怒っていい人じゃないもん!どの口が言った?ノリ。
ちょっとお布団の上やめて!ほらお姉ちゃんまだ寝てんの。
(監物大二郎)奥さんもういいですか?
(佐原利香)すみません…。
午前6時25分殺人の容疑で逮捕します。
ガイシャは経済産業省の役人佐原俊夫43歳。
事務次官候補とも言われた超エリートです。
管理官も負けますわね。
顔と人格と将来性以外は!東大卒。
父親も外務省の上級官僚。
昨年政策局長に就任。
逮捕後すぐキントリに取調要請が入ったのは国家の機密に関わる業務を行っていたため。
そんな雲の上のエリートがよりによって女房に殺された…。
美人の女房に…。
若くて美人の女房に…。
若くて美人かどうかは関係ない。
関係大ありだよ。
美人なら不倫や愛情のもつれなど男の線が出てくるだろう。
写真ではいい母親にしか見えませんがね…。
女の顔はあてになりませんよ。
おとなしそうな顔してても裏で舌出してる女は山ほどいるんです。
あれ?若い女に嫉妬してるの?まさか…!許せないの。
理由はどうあれ母親が子供から父親を奪うなんて…鬼よ!悪魔よ!鬼か悪魔かはこれからだ。
被疑者は女性だ。
今回は君に主取調官を務めてもらう。
オーケー。
丸裸にしてやろうじゃない。
お手柔らかにお願いしますね。
女相手に油断するとこっちが丸裸にされます。
いつも以上に真剣にむきます。
取り調べを担当する真壁です。
小石川です。
あなたには黙秘権があり質問に答えたくない時は答えなくて構いません。
ここで供述した事は真実であれ偽りであれ証拠として裁判所へ提出されます。
承知致しました。
(小石川)これは正しい取り調べを行い…。
(監物)110番通報があったのは昨晩午後9時43分。
佐原が自宅階段で倒れているところを母…えっと…。
和子。
ああ和子が発見。
(監物)その悲鳴を聞いた近所の人間が通報した。
急行した渋谷東署員によれば発見時妻利香は階段の上に呆然と座っていた。
死因は?転落による頸椎骨折。
(中田)頸椎?頭部からの出血が多いようですが…。
(渡辺)鑑識によると佐原は先に頭を殴られ衝撃で平衡感覚を失い階段から転落した模様。
頭部を攻撃した凶器は?
(監物)電車。
電車?息子のおもちゃです。
(渡辺)佐原利香の指紋が多数見つかり現場で本人に尋ねたところ犯行を認めました。
(中田)息子のおもちゃ使うとはね…。
今その子はどうしてるんですか?発見時息子大地は2階子供部屋のクローゼットの中にいた。
現在事件のショックで何も喋れないそうだ。
お子さんの前でご主人を殺害するとはよほどの理由があるのだと思います。
一体何があったのでしょう?
(利香)私が殺しました。
間違いありません。
正直に罪を認めるのは大事な事ですがあなたがなぜどのように犯行に及んだかをはっきりと解明しなければなりません。
それにもしやむを得ない事情があるのなら情状酌量の可能性も…。
情状酌量なんて結構です。
私を罰してください!お子さんは?どうなるんです?あなたが一日も早く罪を償う事がお子さんを救う方法ですよ。
そうですね…。
大地…!
(中田)最初からあんなに厳しく飛ばして大丈夫でしょうか?女同士は怖いねえ。
素直に応じてるのに。
我々ならもっと紳士的に取り調べを行いますけどね…。
彼女にも計算があるんでしょう。
(菱本)そういや善さんおばはんともめたまんまだったな。
いやそんなんじゃありませんよ!私あの…心配してるんです。
真壁さんの暴走を。
(鼻をすする音)
(利香)原因は主人の…愛人です。
ご主人が不倫をしていたという事ですか?
(利香)はい。
私と別れて愛人と一緒になると言われて…。
それだけで?最初は殺すつもりなんかありませんでした!でも…。
(佐原)淳子はな頭がいいんだよ。
お前と違って若くて美人だしな。
それだけじゃない。
自分の考えってものをちゃんと持っている。
それに比べてお前は俺の財産が目当てで近づいてきたんだ。
そうだ…。
お前は自分の事しか考えてない!でもなあ淳子はそうじゃない。
お前と違って親もちゃんとしてるしなあ。
大地も淳子に任せた方がまともに育つだろう。
大地を置いていけっていうの!?嫌…!大地…大地起きて…。
(佐原)何してんだよ…離れろ…離れろ!離して!あぁ…!
(佐原のうめき声)その…淳子さんというのは?
(利香)名字はわかりません。
主人の部下だと思います。
経産省で裏取りを。
(監物)また命令するのか?キントリに来た事案については一課の全面協力を仰げる事になっています。
なんなら課長に指示を出して頂きましょうか?すぐに不倫相手を特定して参考人聴取をしてやる。
ただしお前からの命令だからじゃない。
現場のデカとして真相を…。
行くぞナベ!はい!!それは悲しい思いをしましたね。
同じ女として気持ちはわかりますが…。
わからないわ。
刑事さんなんかに私の気持ちはわからない。
(小石川)実際にどのような体勢でご主人を殴ったかやってみせてもらえますか?はい…。
「ご主人は立っていたんですか?それとも座っていたんですか?」
(利香)「立っていたと思います」「こうです…」「ここですか?」
(菱本)えぇ!?ちょっと待てよ…。
ほら!解剖の結果と違うなあ。
(中田)おお…右斜め後方上部から殴ってる。
そもそも佐原より20センチ以上も身長の低い利香には難しい角度ですね。
(小石川)「間違いありませんか?」え?あっ…。
こうだったかも…。
よく思い出してください。
わかりません…!冷静に思い出せるような精神状態なら人を殺したりしません!!
(監物)あなたが淳子さん?
(木村淳子)なんでしょうか?ナベ。
亡くなった佐原さんと親しくされていましたね。
(淳子)私がですか?やめてください。
(監物)佐原さんご本人があなたとの…まあご関係を…。
あり得ません!亡くなった方にこんな事を言いたくありませんが私はあの人が大嫌いでした。
(渡辺)あっ職場の皆さんには知れる事は…。
冗談じゃないわ!佐原さんは出世しか考えず人を道具と考えるような人でした。
迷惑です!ねえねえ…。
うるさーい!
(監物)「木村淳子はものすごい剣幕で否定した」認めるはずないでしょう。
自分が原因で殺人事件が起こったなんて。
(監物)「いやあのブ…木村淳子は嘘はついていない」わかりました。
引き続きガイシャの周辺を探ってください。
(監物)「はあ!?おいふざけ…」
(通話を切る音)監物係長は直情的すぎる。
人格には相当問題がある。
…が一課の経験は長く捜査員としての勘は持っている。
(菱本)おばはん嘘をついてるのはこの女の方じゃないのか?
(利香)「子供は元気にしていますか?」その点は心配ありません。
お姑さんと女性刑事がついています。
食事もとっていますよ。
はあ…でも心は相当傷ついたみたいね。
大地君ひと言も喋らないそうですよ。
そうですか…。
まだ6歳だっていうのに突然パパをなくしママはいなくなっちゃったんだから。
ご主人に愛人がいたという話ですけどねその淳子さんとやらは関係を否定しましたよ。
お子さんに恥ずかしくないんですか?ご主人を殺害した上にその理由まで嘘をついて!本当は…。
本当は?頼まれたんです。
主人に…殺してくれって。
なぜです?それも言わなければなりませんか?全て言ってください。
主人は…苦しんでいました。
(佐原)バレたらクビだ。
一生が終わりだ…。
みんなあなたが?信じられない…!!
(佐原)やめようと思ってもやめられないんだよ…。
自分で自分が止められないんだよ。
利香…俺を殺してくれ。
俺を殺してくれ…なあ?なあ!俺を殺してくれ…。
イヤーッ!大地…大地起きて。
大地…。
利香…利香なあ殺してくれ俺を殺して…。
(利香)離して!
(利香の声)主人が知らない人に見えて怖くて恐ろしくて…。
(佐原)お前と大地殺すぞ。
(利香の声)大地まで襲われるんじゃないかと思って。
その盗撮写真は今どこに?カメラの画像は全部消しました。
「梶山だ。
今から科捜研へ回ってくれ」一係はキントリのパシリじゃねえ!「遺留品のカメラのデータに写真が残っていないか」それから凶器の電車に佐原の指紋が残っていたかどうか調べるんだ。
大地は私の命です。
子供のいない人にはわかりません。
残念ながら私にも子供はいます。
ほとんど大地君と変わらない年頃です。
えぇ…!?とてもお子さんがいるようには見えませんね。
まあ…あまり母親らしい事はしてませんから。
どうして?どうして?だって…子供って宝物じゃないですか。
全てを捨てても守りたい存在でしょう?仕事のため…?なんだか…お子さんがかわいそう。
…かもしれません。
ただ私は子供から父親を奪うような事はしませんよ。
それは…刑事さんが本当には子供を愛してないからじゃないですか?本気で子供を守らなければならない事態に陥ったら母親はなんだってするわ。
だから…私は後悔はしていません。
ここで子育て論を語る気はありません。
少し休憩にしましょう。
あの女…相当な食わせ者よ。
どういう過去があるのか調べ直して。
何感情的になってるんだ。
一気に攻めるとこだろう。
男にはわからないのよ。
こっちの一番弱いところをついてくる。
ただ者じゃない…。
(監物)科捜研に行ってきてやったぞ。
凶器となった電車のおもちゃから検出されたのは利香の指紋だけ。
すなわちガイシャの指紋は付いていませんでした。
デジタルカメラは?画像は1枚も残っていません。
それと中のメディアには充当するようなデータが書き込まれた形跡はなし。
じゃあ何百枚も撮ったっていうのは?
(監物)嘘だろうな。
また嘘かよ!随分手が込んだ嘘だよなあ。
しかし自分の犯行を認めているのになんで嘘をつくんですかね?面白くなってきたじゃない…。
どうする?管理官あの嘘つき女。
出てくる嘘は全部潰す。
潰して潰して何も出てこなくなるまで付き合おう。
持久戦です。
おう!ほらっ。
おう!はい…。
つらい事を聞いてごめんね。
お部屋で何があったか教えてくれますか?大地君覚えている事だけでいいんだよ。
んっ!電車のおもちゃが好きなの?じゃあね…こんなのとこんなのとどっちが好き?
(和子)木で出来たものは全て息子が買い揃えたものです。
ああ…優しいパパだったんだね。
はい。
あれ?ケガしてるの?大丈夫?大ちゃんお昼あんまり食べなかったでしょう。
はいこれ食べましょうね。
(中田)息子さんと利香さんはどうやって知り合ったんでしょう?何か言いにくい事でも?
(和子)まさか…!ただ順番が逆でしたのでちょっとわたくしとしては…。
(電話)抵抗がございましたね。
失礼致します。
順番が…逆。
失礼致します。
あの…順番が逆って出来ちゃった結婚の事ですか?ええ。
これまでうちの親族にはそのような者はおりませんでした。
正直申しまして…嫁は幼い頃に父親を亡くし食堂でお勤めをしていた母親も二十歳の時に亡くして満足な教育を受けておりませんでしたので亡くなった主人は反対しておりました。
金目当てに決まっているって…。
じゃあ利香さん嫁として大変だったでしょうね。
え?いいえ!まあ最初の頃は色々ございましたけれども嫁姑のような事はありませんでしたのよ。
嫁は努力をして家庭を守り大地を育ててきました。
うちにはなんの問題もございません。
誓って本当です。
(中田)わかりました。
ご協力ありがとうございました。
(中田)行きましょう。
最後にすみません…。
大地君の手首のケガは事件の時のケガで…?いいえ!あれは…。
あの…先週…幼稚園で転びまして。
そうですか。
じゃあよかった。
事件の時のものだとつらいケガですもんね。
(中田)どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
失礼します。
(利香)刑事さんには本当の事をお話しします。
亡くなった私の父によく似てるので…とても懐かしい。
そうなんですか…。
お父さん何歳の時に亡くなったんです?私が幼稚園の時に病気で。
あっ…ちょうど今の息子と同じくらいでした。
(菱本)随分お父さん老けてらっしゃったんですねえ。
え?あなたが幼稚園の時ならお父さんまだお若かったでしょう。
頭の薄いもうすぐ還暦の私に似てるなんてねえ。
私…無理心中を迫られたんです。
何!?無理心中?主人は心を病んでいました。
眠れなくて病院にも通ってたんですけどどうしてもダメで…。
あなた!あなた…!
(佐原)どうして眠れないんだ…。
利香…俺はもう永遠に眠りたい。
一緒に来てくれ。
やめて…!大地はどうなるの?心配するな。
大地は連れていく。
おふくろもだ。
だから一緒に…。
(利香)いや…嫌!
(監物)また嘘だったぞ!ガイシャには不眠や睡眠薬を処方された記録はなかった。
また遺体からも薬物反応は出なかった。
ご苦労。
それだけかよ!?おい!おい!!はい。
「睡眠薬投与の記録なし」わかりました。
奥さん残念です。
父親に似てる私には本当の事を言ってくれると言ったのにご主人が不眠症で悩んでいたというのは嘘ですね。
あんたが言った事の裏を取るために捜査員が駆けずり回ってるんだぞ。
それは…お気の毒です。
いい加減にしろ!一体何が目的なんだ?警察なめるなよ!おい…。
ちょっとそんな言い方をしてはいけませんよ。
嘘をつくのは奥さんにも事情があるのかもしれません。
じゃああんたが調べろよ!俺はごめんだよ。
何が父親に似てるだよおちょくりやがってよ。
本当の娘だったらよケツを蹴り上げるところだ!こんなふうによ!
(小石川)「すみませんね」「こういう事がないように記録を取っているのですが…」お疲れさん。
(利香)「はあ…。
やっと…」やっと本当に話を聞いてくださる方が…。
私はね人を信じられるのだけが取りえでね。
刑事には向いてないかもしれないがだまされてもだまされても人様を信じてきました。
あなたも私をだましていいですよ。
いいえ。
そんなふうに言ってくださる方をだませるはずありません。
今度こそ本当の事をお話しします。
私好きな人がいて…。
それで主人が…邪魔になったんです。
どなたか教えてくれますか?ゴルフ練習場のコーチで田崎さんという人です。
はいゴルフコーチ田崎。
また行けってのかおい!嫌なら他に頼む。
はぁ…。
行きましょうモツさん。
ここで下がったら男がすたります。
はい。
バイバーイ。
さようなら。
(子供たち)先生さようなら!これが大地君の日誌です。
ありがとうございます。
(中田)あっここですかね。
この「おけが」というのは?1か月くらい前に骨折したって言って。
ほとんど治ってましたけど。
幼稚園で骨折したわけではないんですか?おうちでパパとサッカーしてて転んだって…。
家にサッカーボールはなかったですよね?誰にもあなたから聞いたとは言わないから。
実は…あの…。
本件の隠された動機がわかりました。
被疑者佐原利香は嘘の供述を繰り返していましたが被疑者の息子大地6歳に会ったところ彼の手に虐待とおぼしき傷がありました。
この点については大地の通っていた幼稚園の教諭数名と骨折で治療を受けた病院からも裏が取れています。
(相馬一成)ガイシャが虐待していたのか?恐らく。
その点については我々の探った情報と一致します。
(男)これ以上は出世が望めないみたいな事を言ってましたね。
(監物の声)佐原は次期事務次官候補と目されながら現在の上司に疎んじられ相当荒れていた。
飲むと暴力を振るうところがあったという証言が同僚から上がっています。
佐原は仕事上のうっぷんを息子にぶつけ母親である利香はそれを守るために夫を殺害した線が濃いと考えられます。
ならどうして佐原利香はその事を言わない?最も情状酌量出来る理由じゃないか。
その点については今後の取り調べで解明します。
あの…ちょっといいでしょうか?
(相馬)なんだ?虐待については否定はしませんがガイシャを殺したのは佐原利香ではないと私は考えます。
(相馬)じゃあ誰がやったんだ?息子大地君です。
佐原利香はなぜ下手な嘘をつき続けるのか。
誰かを庇っているからと考えれば全て辻褄が合います。
そして彼女が庇うのは息子大地君以外にはありません。
待ってください。
大地君が父親を?まだ6歳です。
幼稚園児ですよ?子供でも人は殺せます。
いえ子供だから殺してしまう事があるんです。
(中田)私は少年課時代に虐待やネグレクトなどやむを得ない理由で親を殺してしまった子供たちをたくさん見てきました。
子供たちの傷は深くそれを解消する術を知りません。
でも大の大人の頭を殴るのは…。
凶器の指紋はどうですか?指紋?凶器の電車に佐原利香の指紋しかないというのが引っ掛かっていました。
おもちゃから子供の指紋が出ないというのは不自然じゃないですか?確かに。
子供が一度も触らないおもちゃなんてないわ。
それはつまり利香は自分がやったと見せるために大地君の指紋を拭き取って新たに自分の指紋だけを付けたって事ですか?最も考えたくない事ですが6歳の殺人者の可能性は…高いです。
おはようございます佐原利香さん。
戻って参りました。
(利香)嬉しいです。
女性同士の方が話しやすいですから。
それは光栄です。
あなたの大事な大地君に会ってきましたよ。
ひと言も喋りませんでした。
痛々しかった。
彼はショックを受けたというより何か言えない事があるんじゃないですか?ご主人が殺された凶器は大地君の電車のおもちゃでしたよね。
そこからあなたの指紋が検出されました。
いいえ。
あなたのものしか出てこなかった。
大地君に容疑がかかる事を恐れた誰かが彼の指紋を拭き取ったとも考えられる。
それはあなたじゃないですか?本当は大地君がご主人に手をかけた。
あなたは息子の罪を警察に知られたくない。
だから色々と嘘の供述をして捜査を混乱させようとした。
(利香)やめてください。
大地君にそう直接聞いてもいいですか?ダメ!やめて!ではお母さんの口から本当の事を言ってください。
大地は何も悪くないんです!人が死んでるんですよ!私には…こうするしかなかったんです。
おかえりなさい。
遊んでばかりいないで少しは勉強をさせたらどうなんだ?春から小学校なんだぞ。
お前がそんなだから大地は頭が悪いんだよ!なんだその被害者面は!
(佐原大地)ママをぶたないで!生意気言うな!
(利香)やめて!私ちゃんと勉強させますから!
(佐原)まったくお前は…。
(利香)ああっ!
(佐原)運を落とす女だよ!
(利香)あっ!ああっ!
(利香)ごめんなさい!あっ…!
(大地)やめて!このクソガキ…!うわあーっ!
(和子の悲鳴)あなたが…。
私が…やった事にします。
(和子)じゃあ大地が…?
(泣き声)
(利香)お義母さんは何も知らなかった事にしてください。
あとは私がなんとかしますから。
大地のためなんです!大地を人殺しになんか出来ません。
あの子は悪くないんです。
あの子を助けてください!私なんでもしますから!
(泣き声)助けてください!助けて!助けてください…!
(小石川)6歳の殺人者とはね。
(菱本)善さんさすがでした。
いえ嬉しくありませんよ。
何歳であれ事件として処理しなければならないですからね。
しかしとんでもない女だと思ってたけどさっきの涙を見てたら母親ってのはすごいね。
どうした?おばはん。
別に。
ところで大地君は今後どうなるの?彼はまだ6歳だ。
刑事裁判の対象にはならない。
家庭裁判所で保護処分を受ける事もない。
通告された児童相談所でこれまでの育成状況などが調べられるだろうが保護者が無実で問題がなければ家に帰されるだろう。
じゃすぐに自宅に戻れるんだ。
ええ。
家族で暮らせる日も遠くないでしょう。
(中田)まあよかったんじゃないですかね。
(菱本)めでたしめでたしだ。
なんか…変じゃない?たとえDV男でも人が1人死んでる。
なのに元通り家族が暮らせる。
それをよかっためでたいと言ってる。
おかしくない?しかし6歳の子供ですからね。
なんか私あの涙…。
助けて!
(有希子の声)本当の涙に見えなくて…。
中田さんが少年課刑事の勘ならこっちは女の勘としか言いようがないんだけど…。
おいおい善さんにやられて悔しいのか?違います。
私かなわないと思いました。
でもどうしてもあの涙が引っ掛かって…。
管理官。
もう一度取り調べの映像を見てみませんか?私も今回真壁さんの交渉力には感心しました。
私にはとても聞き出せない情報もありました。
それに彼女には女の勘だけじゃなく同じ母親同士の勘があると思うんですよ。
わかりました。
始めてください。
(利香)「お手数をおかけ致します」
(足音)
(刑務官)佐原利香さん。
(刑務官)これからご同行願います。
釈放じゃないんですか?どうして?もう一度取り調べをする必要が出てきたからです。
(中田)座りなさい。
はぁ…。
もう全部洗いざらい話しました。
あなた何度も我々に嘘をつきました。
そのたびにそのハンカチで涙を拭いたり汗を拭いたりしながら。
心理学でも人間が嘘をつく時身振り手振りが多くなるのは立証されています。
例えば髪を触ったり腕を組む癖のある人は多い。
だから何?あなた大地君がご主人を殺した事を告白する時も同じようにそのハンカチで盛大に涙を拭いました。
それまで嘘をついていた時と同じだったんです。
(有希子の声)取り調べで嘘をついていた犯人がいよいよ真実を告白する時それなりの変化があるものなんですが…。
知らないわそんなルール。
うんそうおっしゃると思ってもう一度大地君がご主人を殺したという供述に従って事件を調べ直してみました。
すると見落としていた事があったんです。
これを見てください。
凶器となったおもちゃです。
958グラム。
子供のおもちゃにしては結構な重量です。
大人の私でも振り上げるには力がいる。
大地君は今利き手の右手首にケガをしていますよね?佐原さんが殴って出来たケガです。
何が言いたいんですか?でははっきり言います。
手をケガした6歳の子供がこの電車を振り上げて大人を殴るのは不可能です。
殺したのは…やはりあなたです。
ではなぜあなたは凶器に自分の指紋だけを残したか。
それは警察に不自然だと思わせるためです。
おもちゃに子供の指紋がなければ誰かが拭ったと思うだろう。
その拭われた指紋の持ち主が真犯人だと思うだろう。
つまり大地君に罪を被せようとしたんです。
フッ…バカバカしい。
数々の嘘も息子を庇うけなげで愚かな母を演じるため。
いきなり6歳の子がやったなんて言うより意味ありげな態度を取っていた方が警察も躍起になって突き止めようとしますからね。
代わってください。
私この人嫌いなんです。
やだぁ偶然。
私もあなたの事が大嫌い。
完敗です。
我々は完全にあなたにだまされました。
でもここからは巻き返しますよ。
なぜ大地君に罪を被せたの?誰も罪に問わないからよね?大地君は6歳。
人を殺しても刑務所に入る事はない。
犯罪記録が残る事も。
どうしたの?次はどんな嘘をつく?いくらでもつけばいい。
全部潰してあげるから。
大地のためよ。
まだ言ってるの?大地はまだ6歳よ。
母親がいなくなったら困るでしょう?大地のそばにずっといてあげるために嘘をついた。
離れ離れにならないためにはこうするしかなかったの!
(利香)ごめんなさい!あっ…!
(大地)やめて!
(佐原)このクソガキ…!
(利香)ああっ!出てきちゃダメ!
(パトカーのサイレン)いい?ママがいいって言うまで誰にも何も喋っちゃダメ。
ママ…。
その約束が守れなければママはいなくなっちゃうのよ!
(利香の声)あなたも子供がいるならわかるでしょ?母親がいなければ子供は育たない。
全て大地のためなのよ!気持ちは痛いほどわかる。
私も子を持つ母親だから…。
(机を叩く音)んなわけないでしょ!わかってたまるか!あなたの話は全部嘘っぱち。
あなたは本当に大地君を愛してなんかいない。
愛しています。
もしそうなら息子にずっと黙ってろなんて言えない!愛してる!大地君は言いつけを守ってずっと黙ってる。
一生黙らせる気?なんてむごい事を言ったのよ!あなたはね結局自分の事しか愛せない。
自分が一番大事な女なのよ!けなげでかわいそうな母に酔ってるだけ。
あなたは自分自身にも大きな嘘をついていたの!うるせえよ!
(机を叩く音)私に偉そうに言うんじゃねえ。
お前みたいな女に何がわかる!私はな金目当てで孕んで結婚したってずっとバカにされてきたんだよ。
夫は学歴もなんにも持ってない私の子だから大地をかわいがらず殴るようになった!夫に殴られてる息子を見てどんな気持ちになるかわかるか!?私を踏みにじり私との結婚には後悔しかないって言われてるような気持ちになるんだよ!あんなクソ野郎殺されて当然だろうが!そんな男を選んだのはあんたじゃないの?人からうらやまれるような結婚がしたかったのかもしれない。
でも一度は本気で愛したんじゃないの?だから子供を産もうと思ったんじゃないの?
(利香)「うるせえな!」
(中田)「座りなさい!」「触らないで」セクハラになりますよ。
殴りなさいよ私を。
旦那への恨みを込めて殴りなさい。
愛が受け入れられなかった恨みを込めて!かっこつけんじゃねえよ。
本当に殴ると思ってなかっただろ。
気が済んだ?済むわけねえだろ!木のおもちゃはな賢くなるんだってよ。
夫が私に似てバカな大地のために買ってきたんだ。
その姿を毎日毎日毎日毎日見てる私の気持ちがわかるか?わかるか?わかるかよ!
(嗚咽)全部話せるわね?
(泣き声)ママがね全部本当の事を話したの。
だから君ももう話していいんだよ。
あの…。
何?何が言いたい?僕ね…ママが好き。

(和子の嗚咽)そっか…。
いささか行き過ぎた取り調べとなってしまいました。
(郷原政直)いやいやいいんじゃないの?いい取調官になるよ彼女は。
精一杯やらせなさいよ。
ありがとうございます。

(有希子の声)彼女には勝ちましたが大地君には負けました。
今回私は真壁さんにやられましたね。
母親の勘の勝ちです。
まあでもまだまだ私の経験の方が勝る時がありますよ。
どうぞ。
(かやの)お待たせしました!はいどうも!はい。
はいから揚げ!おお美味しそう!
(しんじ)天ぷらでーす!すごい豪華!あの…今日は中田さんにお知らせがありまして。
なんだい?赤ちゃんが出来たんです。
そう!ああそれは嬉しいね!
(菱本)おめでとう!
(小石川)いやぁおめでとう!しんじ君はね昔中田さんが補導した少年なんだよ。
そうですか。
(菱本)よーしぐっといけ!大地君もきっと強くなるよ。
あの歳で本当の事を受け止めたんだ。
奈央ノリちょっとこっちに来て。
どうしたの?改まって。
うん…。
ノリお父さんね…事故で死んだんじゃない。
えっ?殺されたの。
ごめんね今まで黙ってて。
でもほらノリはまだ赤ん坊だったから。
犯人は?捕まったの?いつかお母さんが捕まえる。

おしゃべりあるき目です
2015/09/16(水) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
緊急取調室[再][字]

“嘘まみれの女”
夫殺しを認めながらも、供述内容が二転三転する利香(安達祐実)。キントリ班は嘘だらけの供述を追及するうち最も考えたくない可能性を視野に入れ始め!?

詳細情報
◇出演者
天海祐希、田中哲司、速水もこみち、鈴木浩介、篠井英介、草刈正雄、でんでん、大杉漣、小日向文世 ほか

【ゲスト】
安達祐実

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:38393(0x95F9)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: