「おおかみこどもの雨と雪」の大ヒットを放った細田守監督と、ソフトバンクモバイルの「白戸家」シリーズを手がける澤本嘉光氏の異色対談連載。多くの人の心を動かすコンテンツの作り手同士が、オンからオフまで語り合います。
澤本:細田さんと僕は、実は初対面ではなく、ツイッターでつながっていまして。
細田:ツイッターつながりなんですよね。
澤本:というか、もともと僕は一ファンとして細田さんの作る映画が、すごく好きだったんです。
細田:ありがとうございます。
澤本:それで、あるとき細田さんがツイッターで僕をフォローしてくれているのに気が付いたんですよ。
細田:僕も澤本さんの一ファンでしたので(笑)。
澤本:そうだったんですか!
細田:広告界のすぐれたクリエイターの方たちの発想とか考え方は、映画にも生かすことができると思っていたんです。僕は「広告批評」をずっと続けて読んでいたんですよ。
それで、ある時期から誌面が澤本さん一色になっていって、「この人、どういう人なんだろう?」と、興味をひかれていたんですね。もっといろいろ知りたいなと思っていた。そうしたら、まだ十分に澤本さんのことが分からないうちに、「広告批評」が休刊になっちゃって。
澤本:ああ(笑)。
「原田知世も好きですが、アニメ版も大好きで」
細田:だからツイッターでアカウントを見つけたときに思わずフォローしました。そうしたら澤本さんからお返事が来て、びっくりしまして。
澤本:僕がアニメ映画の監督として「細田守」の名前を認識したのは、「時をかける少女」を見たときなんです。まあ、とにかく、僕はあの映画が好きで好きで、しょうがなくて。
細田:あはは。原田知世が出た実写版の方じゃないですか?(笑)。
澤本:そうそう、原田知世のときの「時かけ」も好きですよ。その話をすると、たぶん2時間ぐらいいきますよね(笑)。
※「時をかける少女」(細田守監督版) ボーイッシュで放課後に男友達とキャッチボールに興じるような高校2年の元気な紺野真琴が主人公。原作の筒井康隆『時をかける少女』で主人公だった芳山和子は、博物館の学芸員を務めるミステリアスな叔母として登場。
※「時をかける少女」(大林宣彦監督版) 1983年公開。同級生の深町一夫と関わる中で、突然、タイムリープの能力を身に付けてしまった高校1年の芳山和子を、映画初主演の原田知世が好演。記念すべき80年代のアイドル映画となった。
細田:そっちはそっちで、別の話があるんですよね(笑)。
澤本:だいたい大林宣彦さんや、相米慎二さんの話を始めると終わらなくなるんです。
細田:ふふふ(笑)。
澤本:とにかく細田監督の「時かけ」は、ものすごく好きで。何が好きって、雲とか空が大好きで、さらに野球が好きなんですが、雲がきれいで、空がきれいで、しかも登場人物が野球のキャッチボールをやっているという(笑)。
細田:野球。そうですよね。そうなんですよね、ええ。
澤本:あと、これを言うとあれなんですけど、主人公の女の子のキャラクターが好きなんです。
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