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【千葉】

元陸自の習志野市幹部 TVで「安保」容認発言

 国会で審議中の安全保障関連法案を肯定的にとらえた陸上自衛隊出身の習志野市幹部のテレビ発言が、市議会で論議を呼んでいる。十五日の総務委員会では、発言の真意を問う市民の陳情も審査されるなど、議論は市民を巻き込む形で過熱している。 (服部利崇)

 発言したのは、市危機管理監(部長職)の太田清彦氏(59)。第五次イラク復興支援群長を務め、二〇一二年五月から新設された同ポストに就任した。太田氏は七月十四日のTBS「ニュース23」にビデオで出演。安保法案反対の出演者と対比する形で約四分紹介された。

 取材は二日間で計四時間行われ、安保法案について「(自衛隊の活動の幅を)広げるべきだ」などと肯定的な発言を行った。「習志野市危機管理監」と紹介され、「危機管理監」と記した作業服も着用、執務室でも取材に応じていた。

 市によると、五月に取材依頼書を公文書として受理し、宮本泰介市長らが出演を認める決裁印を押した。イラクでの経験を通じ現場に何が必要か、国会での議論で思うことなど以外に、危機管理監として働く様子も撮影したいという依頼内容だったという。

 市議会ではこれまで、入沢俊行(共産)、立崎誠一(民意と歩む会)の両氏が「市は戦争法案に賛成しているのか、と市民が懸念している」などと質問。

 宮本市長は「(決裁は)市の事務に関する部分だけに対応したもの」と答弁。それ以外の見解を求められたら、個人の意見と明言し取材に応じるよう指示していたと明かし、「(指摘された部分は)一職員の個人的発言。(憲法の)基本的人権でも保障されている」と述べた。

 「九割の憲法学者が違憲と指摘する法案を肯定する発言は、公務員の憲法順守義務に違反している」との質問には、「違憲と確定していない。一職員の個人的見解に論評はしてはならないし、この場での議論はなじまない」と反論した。

 太田氏は本紙の取材に「自分の経験に基づいた個人の意見、考えを話しただけ」と話した。

 この日の総務委員会では委員が「個人としての出演なら、市長の決裁は要らない。明らかに公務としての発言だ」などと批判。市側は「(太田氏は)明確に『個人の意見』と断って発言したが、編集上カットされた」と説明した。陳情は採決の結果、賛成少数で不採択となった。

◆ 太田・危機管理監の発言

 七月十四日に放映されたTBS「ニュース23」での太田清彦・習志野市危機管理監の発言の一部。

 (「日本の形を大きく変える安保法案について太田さんは肯定的にとらえていると話す」とのナレーションに続き)「周りの状況を見て、それに一番有効に対応できる組織が自衛隊であるのならば、(活動の幅を)広げるべきだと思う。自衛隊を有効に活用することはリスクも高まるが、非常に意味があると考えているからです」

 (日本人の文民警察官が死傷したカンボジアPKOについて)「『危なくないと言ったじゃないか』『うそついたな』。そういう議論ではない。国がPKOに参加することは国としての責任を負うことなんです。国際社会に。それを決めたのなら、覚悟を持って、起きたのは残念ですが、続けないといけない。続けることが意味がある、ということを、国民にも組織にも明確に説明することが必要」

 「できればもし派遣されるときに、国民全員がとは言いませんが、国民の大半が『頑張ってきてね』と言ってもらえたら、私は非常にうれしい」

 

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