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【群馬】

「命の尊さ」脅かさないで 安保法案反対の31歳産婦人科医

メンバーおそろいのTシャツを着て訴える白石知己さん=前橋市で

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◆若者グループ「PAG」で活動 白石知己さん

 安全保障関連法案の審議が参院で大詰めを迎える中、県内のある若手医師が法案に反対する若者グループの結成メンバーとなり、デモや集会で声をからしている。「命を守る仕事をしたい」と志して医師となり、その中でも産婦人科を選択した青年。「お産の現場で日々、命の尊さと家族の愛を実感している。その命をなぜ、将来脅かすようなことをするのか」と訴えている。 (菅原洋)

 この青年は前橋市の白石知己さん(31)。白石さんは高崎高、群馬大医学部を卒業し、医師になって七年目となる。

 白石さんが医師になった原点は、小学生のときに祖父と遊園地に行った際、心臓が弱くて体調を崩した祖父が救急車で搬送された記憶だ。「祖父に何もできず、恥ずかしかった」と振り返る。その思いを抱いて医師を志し、実習でお産の現場に立ち会って、命の大切さを最も感じた産婦人科を選んだ。

 そんな白石さんは法案の報道に接する中で、国会前で反対デモを続ける学生グループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」を知った。

 「衝撃を受けた。自分は社会人として働いているのに行動していなかったが、(選挙権がない人も含む)学生たちがこんなに声を上げるなんて。群馬の若者にも刺激を与えたい」

 こう考えた白石さんは医療関係の仲間たちと七月、「Peace Action from Gunma」(PAG)を結成。「安保関連法案廃案を目指すGUNMA若者緊急行動」と題する活動を始めた。

 PAGはリーダーや事務局を置かず、二十〜三十代の男女約二十人が実行委員となり、インターネットを通じてつながる緩やかな組織。学生や会社員たちで構成し、中には政党に所属する人もいるが、特定の政党を支持したり、支援を受けたりはしていない。

 これまで前橋、高崎両市で開いた集会やデモには、延べ数百人が集まり、白石さんは「インターネットで呼び掛けが拡散し、県内外から好意的な反応が次々と寄せられた」と手応えを感じている。

 「日本はさらに医療や技術の支援で国際貢献し、他国と絆を深めるべきだ。仮に法案が通っても、運用面などの問題点を追及し続け、自分たちは決して屈することはない」。白石さんは言葉に力を込めた。

 

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