空を飛びたい
プラモデルを見るため、近所にあるおもちゃ屋さんによく遊びに行っていた。そこのおじさんが優しくて、飛行機の解説をしてくれたり、プラモデルを一緒に組み立ててくれた。
こんな人が父親ならよかったのにと思っていた。
幼いことから約十年虐待を受けていた。殴る、蹴る、罵倒する、言う事やること全否定、体にタバコの灰を落とす、柱に縛り付けるとかいろいろされていた。
持病が原因で約十年いじめられていた。
きもい等の悪口陰口、クラス全員からの無視、教科書に落書き、ランドセルにゴミ、背中に悪口を書いた紙、靴に画鋲、かつあげ、暴行など結構古典的ないじめを受けていた。
家にいるのが怖いから、よく近所の公園で宿題やったりしていた。
成績はよかった。
十代後半も終わるころ、父親から虐待を受けた。目を蹴られた。失明した。
人生ではじめての彼女は「障がい者と付き合うとかないわ」という理由で別れることになった。
空が憎くなった。「お前は一生飛ぶことができないんだよ 残念だねー」と言っているように見えた。外に出なくなった。
ニュースで飛行機の話題を見ると死にたくなるからニュースを見なくなった。
一年ほど、無表情無関心の放心状態だったが昨日感情が爆発した。
部屋の壁を殴って穴だらけにした。食器を床に投げつけた。
自分と似たような経験をした人たちに、環境や遺伝が悪くても夢をかなえられるということを証明して、勇気を与えたかったが、
残ったのは怒り狂い泣き喚く、哀れで惨めな男だけ。
地を這い蹲りながら、一生を過ごす人生なんて自分にとっては無意味。空へのコンプレックスを抱きながら地上で生きたくはない。
どこまで逃げても、この醜い体と心はついてくる。
なんでこうなったんだろう。
もっと早くに死んでおけばよかった。空に憧れなければよかった。
親から逃げればよかった。すべてが無意味だった。全部生まれてきた自分が悪い。
その責任を取って死ぬことにする。死んだらどうなるのだろうか?空を飛べるのだろうか?そんなことを考えつつ、この文章を書いた。首にロープを掛けながら。
プラモに当たっちゃ駄目でしょ! 壊すなら父親にしないと!