Una Galani
[香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンク(9984.T)の時価総額は、保有資産の総評価額を大幅に下回る「ディスカウント」状態が定着してしまった。
孫正義社長が率いる巨大な複合企業全体に対する投資家の評価は、事業や投資などを別々に評価した額の合計よりもずっと低い。中国電子商取引最大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)の上場後は、ソフトバンクの価値の大半は同社が保有する他の上場銘柄と密接に結びついている。
まずはソフトバンクが保有する内外の上場銘柄に目を向けてみよう。アリババのほかには、米携帯電話大手スプリント(S.N)やインターネット検索のヤフー・ジャパン(4689.T)、オンラインゲームのガンホー(3765.T)があり、時価評価の総額は780億ドル前後となる。
次に利払い・税・償却前利益(EBITDA)に基づく株価収益率(PER)で6倍という業界平均をソフトバンクの日本国内における通信事業に当てはめて、そこから債務を引くと事業価値は170億ドルと見積もられる。
だがソフトバンクの時価総額は610億ドルで、上記合計の950億ドルより36%も低い。このディスカウント比率は、昨年のアリババのニューヨーク上場前に比べると2倍以上に拡大した。
孫氏は以前、自身が「金の卵を産むガチョウ」と称するソフトバンクグループを投資家が正当に評価していないと不満を漏らしている。アリババだけみても、2000年に行った2000万ドルの出資が今や520億ドルの価値を持つようになった。
ソフトバンクは最近、タクシー配車アプリからオンライン小売りまでアジアの新興企業に幅広く投資しており、投資案件は1300件余りに及んでいる。しかし投資家はそれらのほとんどについて、ごくわずかの価値しかないか無価値だとみなす。
ソーシャルトレンド