殺人:埼玉・熊谷で4人殺害か ペルー人の男確保

毎日新聞 2015年09月16日 20時21分(最終更新 09月16日 23時49分)

立てこもり事件が起きているとみられる民家を取り囲む捜査員たち=埼玉県熊谷市石原で9月16日午後5時半過ぎ、安藤いく子撮影
立てこもり事件が起きているとみられる民家を取り囲む捜査員たち=埼玉県熊谷市石原で9月16日午後5時半過ぎ、安藤いく子撮影

 16日午後4時半ごろ、埼玉県熊谷市石原の無職、白石和代さん(84)の義理の娘から「家の中に血痕があり、義母の姿が見えない」と110番があり、自宅に駆け付けた県警熊谷署員が白石さんが浴室で死亡しているのを発見した。同午後5時半ごろ、西に約100メートル離れた民家に男が立てこもっているとの110番があり、署員らがこの民家に駆け付けたところ、2階の窓から顔を出した男が自分の胸を刃物で何度も刺して飛び降りたため、署員が近くで男の身柄を確保した。捜査員が家の中に入ったところ、この家に住む無職、加藤美和子さん(41)と娘の美咲さん(10)=小学5年=と春花さん(7)=小学2年=の計3人が死亡しているのが見つかった。県警は、4人が男に殺害された可能性があるとみて調べている。

 男はペルー人で、けがをして同県深谷市内の病院に搬送されたが、意識不明の重体。同署は、近くの民家に13日に無断で立ち入った住居侵入容疑で男の逮捕状を取っていたという。同じ13日には、熊谷市内の交番から「意味不明のことを言っている男がいる」との通報があり、熊谷署員がよく似た男から同署で話を聞いていたという。男は「母国のペルーに帰りたい」などと話し、署外でたばこを吸いたいといって出たきり、姿が見えなくなっていた。

 14日夕には、現場から約1キロ南東の同市見晴町で、無職の田崎稔さん(55)と妻のパート従業員、美佐枝さん(53)が自宅の2階で殺害される事件が起きている。県警はこのペルー人の男が14日の事件にも関わっている可能性があるとみて捜査している。

 14日の事件では、田崎さん夫妻が2階の洋間で血を流して倒れているのを美佐枝さんの父親と友人が発見した。稔さんはうつぶせで、美佐枝さんはあおむけで倒れており、死因は失血死だった。刺し傷や切り傷があったが、室内から凶器などは見つかっていない。

 また、現場からは美佐枝さんのスマートフォンがなくなっており、県警は2人を殺害した犯人が持ち去った可能性もあるとみて調べていた。田崎さん方から車がなくなっていたが、15日朝、約300メートル離れた駐車場で発見された。県警は犯人が田崎さんの車で逃亡し、車を放置して逃げたとみて捜査していた。

 16日の事件現場に居合わせた毎日新聞の記者は、午後5時過ぎ、熊谷署員が白石さん方付近から逃げたとみられる男を追跡するのを目撃した。その後、男が立てこもった加藤さん方を取り囲んだ捜査員が「119番通報をお願いします」と緊迫した様子で叫んだ。また、他の捜査員が「刃物で手首を切った」と叫ぶ声も聞こえた。間もなく多くの捜査員が集結。午後6時過ぎ、救急車が加藤さん方に到着し、サイレンを鳴らして病院に向かった。【山寺香、木村敦彦、遠藤大志、安藤いく子】

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