Doris Carrion
[15日 ロイター] - トルコやレバノン、ヨルダンの難民キャンプなどで暮らしていたシリア難民の多くが欧州へと押し寄せているが、背景にはそうした国々での暮らしがますます困難になっているという現実がある。
支援が減少しているため食料や生活必需品が入手困難となり、仕事や教育、基本的サービスを得られる機会も減っている。地元住民との緊張も高まっており、危険が増している。
たが、シリア難民は安全保障上の脅威と思われているかもしれないが、実際にはそうではない。
シリアと周辺諸国で治安情勢が悪化する中、難民たちはその責任を転嫁されているにすぎない。シリアと国境を接する難民受け入れ国などはシリア人が脅威をもたらすと考えている。それ故、彼らは移動の制限を余儀なくされている。
例を挙げると、トルコ南部キリスに滞在する難民たちは、近くで衝突が発生した際にはキャンプを離れることは禁止された。(トルコでの移動制限は、アフガニスタン人などシリア人以外の難民の方が実際にはひどい)セントジョセフ大学の調査(2015年)によると、レバノンでもシリア難民の半数近くが何らかの攻撃にさらされている。
難民の武装化や、急進化を恐れる人たちの根拠は過去の歴史にある。特に、ヨルダンとレバノンにおけるパレスチナ人武装勢力のことが頭にある。レバノンの自由愛国運動の政治家たちは、自国の内戦でのパレスチナ人の役割を引き合いに出し、同じことがシリア人でも起こり得ると主張するのが常だ。
その反面、歴史は難民が受け入れ国の安全保障面でマイナスの影響を及ぼさなかった例も示している。イラクやレバノンの難民たちがヨルダンやシリアの安全保障を脅かすことはなかった。難民の存在自体が安全保障の脅威になるわけではない。実際、現在のシリア難民のほとんどは、母国に送還されずに、ただ生き延びたいだけなのだ。
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