中国ヘッジファンドに逃げ場なし、株価急落に打ちのめされる (1)
2015/09/16 10:40 JST
(ブルームバーグ):中国のヘッジファンドの雲行きはさらに怪しくなりつつある。
ハウバイ・インベストメント・マネジメントによれば、中国のヘッジファンド業界は専門知識に乏しく相場下落から身を守る手段も不十分なため、5兆ドル(約600兆円)の時価総額が消失した中国株式相場の急落で1300本近いファンドが清算。同様の数のファンドが危険にさらされる可能性があるという。現在は空売りや他のヘッジ戦略への政府の締め付けが厳しいため、弱気相場での成功は難しくなっている。
相場急落と規制当局の対応は、修復に何年も必要になりそうな業界のひび割れを露呈した。国内ヘッジファンドにとって最大の壊滅的打撃となったのは、ボラティリティ(変動性)を抑制し大きな損失を回避する上で重要な手段である株価指数先物取引に対して中国政府が導入した新たな規制だ。
交銀国際の洪灝ストラテジスト(香港在勤)はインタビューで新規制について、「中国国内ヘッジファンドにとって少なくとも一時的には、終わりを告げるものだ」と述べた。
中国株式相場の大幅上昇とそこから利益を得ようとする富裕層や小規模機関の投資を背景に、中国のヘッジファンド産業は急成長してきた。中国証券監督管理委員会(証監会)によると、中国版ヘッジファンドに当たる私募証券ファンドの数は年初から2倍強に拡大。ピークは8月末時点の1万1159本で、運用資産合計は1兆6200億人民元(約31兆円)。個人投資家のヘッジファンド投資には500万元以上の資産保有が義務付けられており、機関投資家は少なくとも1000万元の資産を有する必要がある。
重要な違い中国のこうしたファンドは大まかにみてヘッジファンドに分類されるものの、米国や欧州、香港のヘッジファンドとは重要な違いがある。中国のファンドの大部分はロングポジションだけで運用し、相場の上昇しか見込んでいない点だ。政府が空売りなどの手法を規制する前でさえ、多数のファンドは相場上昇から得る利益の最大化を図るためヘッジを制限していた。中国株は2014年までの2年間に約50%、今年6月半ばまでにさらに60%上昇した。
相場上昇だけに賭けているため、中国国内ヘッジファンドは株価下落時に極めて痛手を受けやすくなる。ゴテックス・ペンジン・アセット・マネジメントの香港在勤最高投資責任者、ウィリアム・マ氏は、清算されたファンドの大部分がバリュエーションが高かった4月や5月に設定されたものだったと指摘。昨年後半や今年の早い時期に設立されたファンドも相場が一段安となれば清算のリスクに直面するが、そうしたファンドの数は比較的少なく現金比率は高いとも述べ、「システムリスクは現時点でさほど大きくはない」との見方を示した。
原題:No Escape for China Hedge Funds Overwhelmed by Stocks Collapse(抜粋)
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更新日時: 2015/09/16 10:40 JST